チランジアに花芽 | 岩石翁の多肉ブログⅡ

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メセン栽培を主軸として、多肉植物の「岩石栽培」という新手法を実験中。その記録です。

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チランジア・カプトメデューサの花芽

 喜ばしいと同時にちょっと寂しいニュースなのだが、うちで育てているチランジア、カプトメデューサの一つに花芽が付いてしまった。「付いてしまった」なんて変な言い方なのだが、これには訳がある。チランジアの類いは開花に関しては多肉でいうとアガベ属と同じで「一生に一度しか開花しない」、すなわち、開花したらその株は枯れてしまうことになるからだ。枯れるとはいっても、両者とも株元から子株が出てくるから絶種してしまうわけではないのだが、せっかくここまで大きく育ててきたものを…という、一種の喪失感はある。まあ、何十年もかけて育て上げたアガベが開花→枯死するよりは(我が家の場合は、30年以上育ててきた吉祥冠がそうだった)チランジアの方がショックが少ないのだが、実は今回花芽が付いてしまったのは、2株あるうちでちょうどコルク材への着生が成功していた方だったのだ(嘆)。逆に言えば、根を張って着生するほどよく育っていたから着蕾に至ったともいえるわけだが、せっかく張った根は子株がそのまま引き継いでくれるものなのだろうか? 恥ずかしながら、今までチランジアを開花に至るまで育てられたことがないので、そこら辺がよくわからない。ちなみにチランジアは、花芽が出てから開花するまで何ヶ月もかかる植物らしい。このあと多分夏頃にやっと開花(!)して、それから更に何ヶ月もかけて子株と世代交代するという、とても気の長い話になる。

 ついでなので、我が家でうまくいっている、ネットで先人たちから学んだ新しいチランジア(エアープランツ)栽培法を以下にまとめておく。

①通風が大事なので、(種類によって例外はあるが)冬季以外は原則として屋外で栽培する。一年中室内に置いてインテリアとしてオサレに栽培しようなどという邪念(笑)を捨てない限り、まともには育てられない(←たくさんのチランジアを枯らしてきた、昔の私の姿)。多くの種類では、屋外といっても直射光下ではなく木漏れ日くらいの場所がいいとされる。

②うちの場合、最低気温が10度を切りそうになったら室内に取り込み、その上で更に加温もしている。大部分(※例外はある)のチランジアの自生地は我が国の冬ほどの低温にはならないらしいので、冬の屋外は論外だが、室内であっても場合によっては低温で枯れる可能性がある。

③多肉と同様にCAM植物らしいので、真っ昼間の灌水は好ましくないと考えている。うちでは、温暖期は夕方にホースで水をかけ、冬場は朝に霧吹きでシリンジ、という形で灌水している。それ以外は自然の天候に任せているが、さすがに梅雨時の長雨は避けるべきだといわれているので、状況に応じて一時的に雨よけをつけることがある。

④灌水の手段において、いわゆる「ソーキング」は全く必要ない。というか、緊急時(ミイラ化寸前の株を導入した時とか)以外はむしろ有害であるといわれており、私もその通りだと思う。自然界において、チランジアが何時間も水没することなどあり得ないのだから。

⑤ただ置いておくよりもヘゴ材やコルク材などに着生させた方が生育状態が良くなる、という先人の比較実験結果がある。自然界でのチランジアは樹皮等に着生して生育しているわけだから、この考え方は理にかなっているし、実験結果も当然のことだろうと思う。そもそも本来はしっかり固定されて生きているものが、時々とはいえ人間の手で持たれて動かされたりあれこれされるのはストレスになるのではないだろうか。私もこの考えにならってコルク材への着生栽培を試みており、仮固定用の針金を調整する時以外は基本的にチランジア本体に触れることはない。このようにして2年ちょっと続けてきたが、その成果が今回の着蕾と考えれば、着生栽培有効説は正しいのではないかと判断している。