密漁はやめましょう!と言われても知らぬ間に密漁してたとならぬよう漁業権について勉強しましょう。

因みにブログ等にワカメやアサリ、亀の手など採取した云々を記載されている方をよく見かけますが、漁業権の無い場所、若しくは管轄漁協に許可を得て採取したものでしょうか?
許可が無い場合は密漁(窃盗)の証拠を自ら記載しているようなものですし、密漁を助長することになりますので直ぐ様、削除されたほうが良いかと思われます。

全釣協の立場柄、海上保安庁と海難事故防止のため、釣り教室や救護訓練でお話しすることがありますが、基本的には逮捕された時点で事前に海産物を採取している様子の動画や写真は海上から陸地から高性能望遠カメラにより、必ず撮られており、併せて現認による証拠により、言い逃れはできません。そして、ほとんどの逮捕者が言うことは「皆んな獲っているし、知らなかった」と言うそうです。知らなかったで済まないことも、あるのが法律です。そうならないためにも、漁業権について勉強しておきましょう!


今回はプロのアングラーはもちろんのこと、釣り人ならば知っておきたい漁業権について説明します。


春先になるとあちこちで見かけるのが禁漁区での密漁風景。


因みに密漁という言葉ですが、漁業関係法令上の用語ではなく各種法令に違反した行為の俗称で、平たくいうと窃盗です。


ワカメやアサリなど採取しやすいですが、それらを取るには漁業権(正式には第1種共同漁業権)があるか、ないかです。



漁業権とは、アサリやハマグリなどの貝類や、ワカメなどの藻類等の定着性(回遊しないもの)の水産物をとる権利です。



港などで画像のような道具を作ってワカメを採取する光景を見かけますが漁業権ある場所で、ここまでやると漁業者から通報され海上保安庁に御用になると証拠品として没収され、言い逃れはできません。

検挙されると罰則として始末書と罰金、常習的な悪質な場合は窃盗で逮捕され刑事処罰が科せられます。



 港の岸壁に生えているワカメやヒジキとはいえ、漁業権が設定されている港で無断で採取したり、磯釣りの方が干潮時に亀の手や岩牡蠣、サザエ、アワビ等なども無許可で持ち帰ってしまうのも駄目なのです。



磯遊びは良いですが、無断で貝類や海藻を採取してはいけません。

亀の手


漁業権のある港と無い港。

港には◯◯港と◯◯漁港がある。



◯◯港

例えば○○港という港湾の場合は物流を主目的とした港で交通(フェリー)、貨物輸送の機能が集中している港。



◯◯漁港
○○漁港といった場合は漁船が主に停泊してあり、漁業を主目的として魚市場や水産加工、製氷施設などの機能が集まった港を指し、漁業権の設定された港がほとんどです。



大型の港湾の中には以前は漁業に使っていた場所を物流拠点に特化するため近隣漁協に漁業補償金を払っている場合があり、そういった港湾は漁業権が設定されず、本来漁業権の対象となるイセエビやタコ、ワカメを採取しても良い場合もありますが、この場合は念のため近くの漁協に確認して下さい。


共同漁業権は主務大臣の指定する定着性の水産動植物を目的とする漁業で、漁協がこの漁業権の対象にしている水産動植物は勝手に採捕できません。 漁協によって違いがありますが、以下の水産動植物が対象になっています。


水産動植物

うに、なまこ、かめのて、しゃこ、いせえび、えむし、たこ、とりがい、まてがい、しおふきがい、ばかがい、みるくい、あさり、うちむらさきがい、いそしじみがい、しじみ、はまぐり、かき、ひおうぎがい、いたやがい、たいらぎ、いがい、あかがい、ばい、つめたがい、にし、さざえ、きさご、にな、あわび、とこぶし、いぎす、おごのり、ふのり、とさかのり、むかでのり、てんぐさ、あまのり、ほんだわら、ひじき、わかめ、くろめ、もずく、あおのり、ひとえぐさ、他。



漁港の種類

漁港名の看板に書かれた「第1種漁港」の文字

また、漁港の中にも管轄によって第1種~第4種漁港までが設定されており、漁業開発や避難港が第4種漁港、利用が全国的な大型港湾が第3種漁港、各地域の核となり、主に県が管轄する漁港が第2種漁港。主に市町村が管理するような地域の小漁港が第1種漁港となります。



大分県の津久見保戸島は第4種漁港です。




密漁?


どこからが密漁なのか?密漁とは以下の3つです。



①免許または許可を得ずに漁業を行った場合

②禁漁や禁止漁法を定めた各種法令に違反した場合

③漁業権を侵害した場合


①の解説

漁業とは法令により指定されている魚種(食べられる大体の魚介類)事業として漁獲することです。これには免許や許可がいるわけで、レジャー釣り(遊漁)は事業にあたらないのでOKなのです。事業とは釣り上げた魚を転売すれば事業となります。境界線は、最終的に利益を得ていたかどうかが主な基準です。


②の解説(詳細は都道府県が定めています)

禁漁と知らずに、たまたま釣れちゃった場合は?

故意でなければ許容範囲内ですが狙って釣ると違法です。例えば禁漁区、撒き餌禁止エリアでの撒き餌釣り、産卵期制限区域があるアオリイカや絶滅危惧種のアカメ等。解禁前の河川のアユやサケ、渓流のヤマメなど。



撒き餌さ釣り禁止区域

漁業開発試験のため船釣り、磯釣り等でオキアミ、アミエビ等の撒餌は禁止された区域ですのでフカセ釣り、遠投カゴ釣り、サビキ釣り等の撒餌釣りは全面禁止です。擬似餌、虫餌は大丈夫です。




因みにに遊漁者(釣り人)が行うことができる漁法は決まっており、たも網・手網、投網、もり、竿釣り、テグス手釣り、つかみどり等であれば、レジャー(釣り)として扱われますが、投網やもりについては遊漁券や期間が定められている区域もあります。


どんな魚であっても、漁業権の設定がある区域での潜水具や水中メガネ、シュノーケルを使った採取は故意に取ったみなされ証拠品となります。


③の解説

漁業権がある海域に定着している特定の魚介類を獲る権利で海藻類、タコ、エビ、アサリ、ハマグリ、ウニなどは、ほとんどの海域で対象です。漁業者は、これらの魚介類を所有しているわけではないのですが、一般人の漁獲によって数が減り、漁業権を侵害された事となり、一般者が勝手にとるのは違法となる訳です。



因みにアオリイカ等は回遊性があるため定着性ではなく魚と同じ扱いになります。


潮干狩

特に潮干狩シーズンともなれば貝類を採取することも多くなりますが、アサリやハマグリがたくさん取れる場合は業魚者が放流して育てている区域の場合があり、知らぬ間に密漁となり、逮捕されたというケースがありますので注意を。



基本的には漁協の方々が運営している潮干狩場以外は駄目な場合が多いようです。もしかしてと思ったら、近くの漁協に確認してから採取するようにしてください。





テレビ番組の密漁者逮捕シーン




密漁罰則改定されました!


日本の水産資源を守るため密漁はやめましょう!

一般社団法人、全日本釣り団体協議会