魚の保存あれこれ   前編からの続き☝️




魚を締めるという意味については前編で説明させて頂きましたので、後編は、その中でも氷締めのやり方を説明します。



釣り人それぞれ、やり方はあるようですが、釣り上げられたアジを美味しく食べるため自宅まで鮮度を保って持ち帰るには、どうするのが良いかです。



よく見かけるのが、クーラーに海水を入れて市販の氷を入れて、そこに生きたままのアジを入れて氷点下水温で絶命させる方法。





これは悪くはないのですが、問題は冷やす時間と水氷の量です。まず夏場と冬場、それとクーラーの保温性能にもよりますが、氷締めで絶命させて冬場なら5時間、夏場なら3時間以内ぐらいならば良いのですが、市販の氷(淡水)が多いと溶けて淡水が混ざることによる海水の塩分濃度が薄くなり、夏場などでは半日も置いていると氷がほとんど溶けて淡水になります。

これではいくら氷締めしても後に魚がフヤける現象になり不味くなります。不味くなるのは濃度の濃いものから薄いほうへ流れてしまう原理があり、海水であれば魚の体液や養分が出にくいのですが、淡水であれば養分が流れ出てしまいます。また、海水を入れず氷だけの中に入れて直接、魚が触れてしまうと冷やし過ぎとなり触れている部分は身が焼けて変色して不味くなります。




魚の保存に最適な方法にするために目安として凝固点降下というものがあります☝️





凝固点降下とは水に溶ける混ざりものを入れた水は0度では凍結しないというもので、わかりやすく言うと凍結しないギリギリの温度を冷蔵庫いうところのチルドで、半凍結することをパーシャルといいます。冬場に道路などに凍結防止にまく白い粉、いわゆる塩化カルシウムと同じ原理です。





凝固点降下(ぎょうこてんこうか、Freezing-point depression)とは、液相にのみ溶け,固相には溶解しない溶質を溶媒に溶かすと,溶媒の凝固点が低くなる現象のことで、例えば淡水0℃で凍るが、食塩水や砂糖水はさらに低い温度まで液体として存在することをいう。




チルド状況にするには熱交換の原理☝️


同じ大きさの淡水氷と潮氷を外に出すと潮氷のほうが速く融けます。それならば淡水氷の方がいいじゃないかと思われがちですが、ようするに熱交換といわれる原理で早く融ける方がより早く周りの熱を奪う訳ですから周りを早く冷やすことができるのです。だから、漁師など漁港では魚の保存には潮氷を使用しています。





潮氷ならば、ある程度は溶けても塩分濃度は落ちないので良いのですが、かといって漁港に潮氷を買いに行くのも大変です。




そこで、塩分濃度を落とさずに確実に冷やす方法は、なるべく淡水氷は少なくして、その代わりに1リットル用ペットボトルに塩水(大さじ一杯の塩)を作って凍らせているものをクーラーに入れて使用するのです。先程、説明した通り、淡水を入れたペットボトルより、塩水を入れたペットボトルのほうが熱交換の原理から断然に冷えます。ペットボトルを使用する利点はペットボトル内では溶けても魚には影響を与えないのと、使用後に何度も繰り返して使用できるので経済的です。




因みに各都道府県別に県漁連などが発行している漁師マニュアルというものがあり、潮氷を使用せず、水氷を使用する場合の塩分濃度は容器に対して海水7対淡水3までにとしています。



因みに塩水は淡水に比べて凍らせるのに多少の時間は必要ですので、ペットボトル予備を2〜3本凍らせておくとクーラーの大きさに合わせて使い回しています。また、魚は直接、ペットボトルに触れないようジップロック等に入れて保存しておくと良いです。




遠征時で時間が長くかかる場合は、それに見合う大きめの2リットルクラスの塩水ペットボトルを凍らせて用意しておくと長持ちします。


因みにイカ🦑の場合は氷締めは駄目です。ましてや淡水に触れてしまうと水焼けとなり不味くなりますので、釣り上げたら、即、締めてからジブロック等に入れて氷には触れないように保存して下さい。