私達人間も同じく、地球上に生きている動物は生命を維持するためにはエネルギーが必要です。
そのエネルギーを得るために食物から吸収して分解し、アデノシン三リン酸、略してATPという物質を作り出しています。
このATPが身体を動かすためには必要なエネルギー源になっており、主に筋肉等の組織になりますが筋肉を動かせばどんどん消費されていきます。筋肉と言っても腕や脚だけのいわゆる運動するだけの筋肉だけではなく、内臓器官を動かすのも、頭で考えるのもエネルギーは必要で消費されていき、ATPとはいわばバッテリーみたいなものです。
このATPは魚の死後に分解されていき、イノシン酸という物質に変換されます。イノシン酸はグルタミン酸と並んで「魚の旨み」たるものを形成している重要な物質なんです。
最近、流行りの熟成云々はこれを上手く利用した調理方法です。
青物の中でもサバやカツオなどは釣り上げてしばらくはブルブルと身体と尾ビレを激しく動かしますよね⁉️
これは赤色筋を持つ青物に限って言えば身体に酸素を蓄えておけないので、自ら口を開け尾ビレを激しく動かし推進力にて酸素をより多く取り込む必要があるからです。だから、青物類は泳ぎを止められたことにより酸素を吸収できなくなるので早く死んでしまうのです。
逆に推進力は必要なく静止した状態で口を開け閉めして酸素を取り込むことができる魚で白色筋が多い魚であるウナギ、ナマズ類は体内に酸素を溜め込む事ができるため、しばらくは生きています。その中間の魚ではヒラメやカレイなども、釣り上げてもしばらくは生きており、魚により絶命する時間は違います。
サバやアジなどの青物類は運動量が多いので筋肉を動かすということは、つまりATPを消費する量も多いということ。ATPが少なくなればイノシン酸の量も少なくなり、旨みの少ない魚になってしまうのです。
ようするに、弱って絶命するまで放置しておいた魚はATPを消費してしまう訳です☝️
そんな魚が美味いかというと、もうお分かりですよね👌
魚を早めに締めるという行為はATPというバッテリーを温存させ魚をより美味しく食べるために重要な意味があるのです。
だからアジなどの青物は特に素早く締めてバッテリーが放電(旨味成分)しないように蓄えておく必要がある訳です。
それでは、氷締めの方法を後編に説明します。
魚の保存あれこれ後編に続く👋