5軸のセミトレーラーが作り出すでかい負圧の中に入って
高速道路を走っていた
今朝は相当に冷え込んだ
カイロも前後に貼ってライトダウンの出で立ちだが
歯を食いしばっていないと震えがくる
迷って嵌めてきたグローブは3シーズン用
いや、これは失敗だった
負圧の中と云ってもトラックとは80mくらい距離を取っている
路面の認識とそれへの反応には最低ラインか
それでもトンネルの中くらいの負圧効果は感じる
トラックのリアパネルを眺め続けるのも味気ないが
どっちみち高速道路なんてただ移動でしかない
等速で(といっても左車線だけではない)無理なく
まさに淡々と「移動」の道連れには長距離トラックは最適なのだ
近付きすぎると逆に落ち着かないから
安全面でも車間はしっかりとった方がむしろ楽だ
高速道路の車線境界の破線は線が8mでブランクが12m
つまり前車との間に線が3,4本見えるくらいが良い
三遠南信道へ入るために三ケ日JCTを分岐したが
交通量が途端に0になった
ぶつ切れとは云え三遠南信道は
豊川や新城と云った「地方」によく有りがちな
「逃げ場がない」国道を我慢してやり過ごす地獄から解放してくれる
しかも今のところ無料だ
分断されている鳳来峡から東栄の区間も今年度中には開通するから
佐久間(中部天竜)まで一気に入っていける
先日行った天竜スーパー林道とか兵越、遠山郷なんかへ行きやすい
その遠山郷と云えばずっと休館だったかぐらの湯が再開しているね
高速道路はつまらないけど、まあ役に立つ
鳳来峡ICで国道へ下りて北上する
だいぶ葉が色づいてきているがこの日はまだ始まったばかりの様相だった
平日ではあるけど国道は山道に不慣れな「枯葉マーク」が流れを滞らせる
後ろに5,6台つながっても全く譲る気配もない
この先に追い越し規制が解除されるのを知っているから
まあまあ、と呑気についていくが
正直溜息のひとつも吐きたくなる
新野峠に取り付いて車列を振り切った
渋滞の中を走るときの微妙な回転域で出るSR400の振動で
痺れてしまって左手がグローブみたいに腫れあがって感じる
おまけに手袋が全く防寒してくれないのでほぼ感覚がなくなった
峠を越えて北の谷筋を下りていく
開けた前方の視界には冠雪した南アルプスが望める
長い下りで手をハンドルから離してみるが痺れがどうにも取れない
寄りたくなかったけど千石平の道の駅によって手を回復させることにした
気温は順調に上がってきているみたいだ
この先の和知野まで行って治部坂へ抜ける県道へ行く予定だが
道の駅で左手を回復させるためボッサーっとしているうちに
平岡をまわって和知野キャンプ場辺りから入る県道を思い出した
前に来たのはもう十数年前か
台風の後でそこら中に倒木があって、ああ電柱も倒れてたな
和知野川がエグった深い谷に沿って進むクネクネ道だった
思い付くが早いかSRのキックを踏み抜き
道の駅の先を国道418号線へ入って平岡を目指す
例のかぐらの湯が休業になってから一度もここへ来ていない
この国道も徐々に改良が進められているが(おかげでダンプが多い)
やばい国道だとは記憶にある
相変わらずそのヤバさの記憶の3倍くらいやばい道だった
面白いのはそのおかげで景色がほぼ変わっていなくて
印象深い建物がそのままなのを見て感慨深かったよ
まあそういう意味では平岡の街も変わっていないね
なぜだかこういうこじんまりとした箱庭みたいな街に惹かれる
都会と隔絶されたダムに面した街
遠くから眺めると山の斜面に張り付いて上へ広がり
「ラピュタ」のように見える平岡の街
街を過ぎてすぐに県道1号線へ折れる
この1号線は愛知・静岡・長野三県にまたがるため
愛知県県道1号でもあるし静岡県県道1号でもある
そしてここは長野なので長野県県道1号なのだ
すぐに黒歴史の残る平岡ダムに出る
16門もある洪水吐の真っ赤なラジアルゲートが枯れ色の渓谷に際立つ
水質のせいか地質のせいか知らないがここの水はとてもきれいな緑
ダム湖にはいつも水がたっぷりでいつも眺めは壮観だ
遠山川との合流部にかかるトラス橋を境に県道は高度を上げ
眼下に蛇行する天竜川の渓谷が広がる
天竜川渓谷と云うのか
まもなく和知野川キャンプ場の案内を左折して県道430号へ入る
が、なぜか突然の全面通行止め
天竜スーパー林道の時もそうだったけど
工事で通行止めは仕方ないがもっとネットを活用して告知してもらいたい
わざわざここまで入ってきて結局国道151に戻るなんてねー
しかもこの県道が目的だから落胆も大きい
仕方ないのでもう一本北の県道まで行って
阿南の街から国道へ戻ることにする
帯川トンネルの手前、落合大橋まで戻って和知野JCTへむかう
もちろん和知野JCTなんていう名前はついてないけど
3本4方向の県道が川を挟んで複雑に交差している場所だ
県道46号線は売木川に沿って進み
売木から茶臼山の北麓を山頂付近まで駆け上がる
そのまま西の麓の根羽までつながる主要地方道だ
今日はその北側の和知野川に沿って渓谷へ入る
長野県県道243号線 深沢阿南線を行く
和知野から分岐して県道に入ったとたんに
舗装されたあぜ道のような道路に普通の人はすぐに後悔するだろう
でも、もちろんボクはここが走りたくて来ているから
もううす笑いが止まらないのだ
すぐに和知野川渓谷
花崗岩の岩盤がむき出しの川床は真っ白だ
そのせいで透明度の高い水がエメラルド色に見える
ここいらまでくれば山はずいぶん色付いて秋
細くてクネクネの道がどこまでも続くのだ
白眉はこのロックシェッドかな
ガードレールはいたるところでボコボコ
落石なのか雪なのか
確かに危ないし巻き込まれる可能性もある
でもこの光景になぜかトキメクのだよ
まったくもってバカなのだろうと云わざるを得ない
この辺りはほぼ人の気配がない
ひと気はないがよく見ればまだ生活の色は濃い
元々この阿南の地域は昔から人が住み着いた庄で
江戸時代の住宅や井上靖の小説の題材にもなった戦国の争いの跡も残る
この先にある和合小学校にはまだ児童が通っていて現役だ
ボクが育ったのはここまでの山村ではないけど
山が近くて田んぼが広がるようなところだった
稲刈りが終わった田んぼは広大な広場だったし
山へは季節を問わず入って遊んだ
純粋な意味でボクに故郷はないけれど
この景色にノスタルジーを感じるのは理解できるのだ
というかそれは昭和と云う前時代へのノスタルジーかもしれない
ボクが生まれ、成長したころと
今の社会ではあらゆるものが変わってしまった
それは良いとか悪いとかいう尺度ではなく
「あれ」か「これ」か、という差異だ
それは身体性の有無と云い変えることができるかもしれない
たまには自分自身に問うてみたほうが良い
「ボクのカラダはどうですか?」
安全、便利、容易 と 危険、面倒、困難
世界の本質はどっちだろう?
…たぶん後者だ
ヒトは、否、生物はおよそ艱難辛苦(かんなんしんく)の中でもがき続けてきた
人の生の本質は苦だ
ブッダも説いた「一切皆苦」だと
しかし身体的に見れば四苦も八苦もアタマの仕業でしかない
生き物が死ぬのは当たり前だ
それとも身体も含めたモノはそれすらアタマの産物か
寝ている間の意識がなくても朝になって目覚めるのは
その間にカラダが勝手に心臓を動かし呼吸をしてくれてたからでしょ?
むしろカラダは最初から気付いてる
「オマエはだれだ?」
やがてこの山間の県道は浪合の集落に出る
春になるとサクラやハナモモに華やぐ
御所平公園で昼にする
また今日も「スープデリ」
キノコも好きだけどこの完熟トマトこそ王道
風もなくて気温もそこそこ上がってきた
カラスがガーと喚くたびに「うっさいわ」と突っ込んでみるが
止めるどころかカラスが2羽3羽と増えていく
それぞれめいめいが勝手に替わるコばんコに喚きだすもんだから
そりゃもう大騒ぎ
笑うしかない
そして、ふーっと大きく息を吐きだす
今年の秋も無事に過ぎていったよ
さあ、どこをまわって帰るかな…
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