今年もまた北海道を走ってきた

 

名古屋でフェリーに乗るまでこそ雨に降られたが

 

あちらに着いてからは連日晴天に恵まれ

 

おまけに季節外れの高温状態

 

去年の教訓から用意したダウンジャケットやウィンターグローブ

 

ネックウォーマー、それから使い捨てカイロ

 

これら全部まったく使わずに過ごすことが出来た

 

今年の相棒はクロ介(BMW R100トラッドRSカウル仕様)

 

実はちょっとしたトラブルがあって

 

冷や冷やしながら走ったところもあったが

 

エンジンは終始快調で平均燃費も22km/l

 

距離を延ばせば伸ばす程

 

日程をこなせばこなす程

 

BMWモトの本領を発揮してくれる

 

35年前に製造されたロートルでも真のツーリングマシンなのだ

 

左右のパニアケースにはすべての荷物が収まり

 

外見からはいつもの散歩に出たような出で立ちのまま

 

あの広大な北の大地を1週間走り回れる

 

楽しかった

 

ほんとうにただただそれだけだった

 

 

 

今年も北海道を走っている間に感じたあれこれを

 

少し続けて書いていこうと思う

 

 

名古屋のフェリーターミナルで乗船を待っている時

 

隣にオートバイを停めていた人が声をかけてきた

 

古いBMWはかっこいいね、というくらいの話だったんだけど

 

彼のナンバーを見ると「北見」だったので

 

どこを走ってきたのかと話を向けると

 

九州から四国を回ってきたのだそうだ

 

九州がすごく気に入ったらしくしきりによかったと繰り返す

 

ボクが、でもやっぱりオートバイで走るのは北海道の方があっていないか、と問うと

 

「真っ直ぐな道にはもう飽きたよ」と返してきた

 

もちろんボクは「真っ直ぐな道」=「北海道の道」とは思っていないし

 

「真っ直ぐな道」だからオートバイで走って楽しいとも思っていない

 

本州の人間から、北海道の人である自分にその良さを問われたとき

 

「真っ直ぐな道」というステレオタイプこそがベストアンサー

 

と彼は考えたのかもしれない

 

いずれにしろ「北海道の道=真っ直ぐな道」という方程式は

 

印象としては間違っていないだろう

 

 

実際に北海道を走っていると様々な場所で

 

この「真っ直ぐな道」に出くわす

 

あまり経験がないからか、そのインパクトの強さに胸がざわつくが

 

所詮それは「インパクト」にすぎないのかとも思う

 

ではあるが

 

それを10回20回と数を重ねても

 

案外胸に迫る「なにか」を感じるのよ、ボクはね

 

みんなはそうでもないのかな?

 

 

「道」が「真っ直ぐ」って多分ヒトの脳が大好きだ

 

非線形なモノより、線形なモノの方が

 

掴みどころのない頼りなさより、まとまりのある分かりやすさの方が断然好きなのだ

 

それを心理学ではグッドゲシュタルトと云ったりする

 

ゲシュタルトとは「まとまりがある」とか「価値のある全体像」みたいな

 

「良い形」であることを指す

 

つまりヒトは感覚情報を精密に部分部分を認識しながら

 

実はその総和である全体像として捉えているため

 

まとまりとしての収まりの良さを求める傾向があるらしいのだ

 

「真っ直ぐ」が単に良い形だからということでなく

 

比較的単純な地形が広大に広がる北海道で

 

その中を単純に真っ直ぐ伸びる道はまさに「グッドゲシュタルト」

 

 

だからオートバイで走るからとか

 

他の場所ではほとんどお目にかかれないから

 

といった理由よりもヒトの心理学的な事象なのではないかとボクは思う

 

何かを食べて「旨いな」と思うことは

 

何となくわかる

 

旨いな、と身体が喜ぶ

 

食べることは生きることだから

 

けれど山や渓谷や草原を見て胸が熱くなる理由がわからなかった

 

風景に感動する、とはいったいどういうことなのかと

 

長い間考えてきたけど

 

この真っ直ぐな道を毎日眺め続けて

 

なんとなく答えを得たような気がした

 

「真っ直ぐな道」に飽きることなんて多分ない

 

それは好きとか嫌いといった感情ではなくて

 

きっとヒトの性(さが)なのだ

 

 

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