RAYの1st Album「Pink」、CDは5月23日発売なんですが昨日付で突如配信リリースされました。嬉しい!

https://open.spotify.com/album/0mjkN9n4bxzGZTFBUjK8k3

https://music.apple.com/jp/album/pink/1507723148

昨日今日で6周くらい聴いたんですが、捨て曲がないし流れがいいので何度でも聴ける。この時期に音源出してくれるのほんとありがたいし、このアルバムについて考えるだけで当分楽しく生きられそう。

 

最初に聞いた時は⑦尊しあなたのすべてを⑪シルエットが特にいいなと思ったんだけど、何周かするうちにそんなに簡単に決められないといことに気づいた…ほんと捨て曲がない。

 

ライブを見られない状況なので、いいアルバムと向き合うという楽しみができるのがとても嬉しい…なのでこのアルバムを聴きながらいろいろと考えてみました。

 

基本的な情報として、楽曲の制作陣をまとめると下記のとおり(配信のクレジットには作曲しか出ないんだけど、作詞とごちゃ混ぜになってるっぽい)

①、⑬:菅梓(For Tracy Hyde)

②:作曲はみきれちゃん、菅梓(For Tracy Hyde)※作詞は菅梓、編曲はみきれちゃん

③、⑦:ハタユウスケ(cruyff in the bedroom)

④、⑧:俺たちのKei Toriki大先生、みきれちゃん

⑤teoremaa (※SAKA-SAMAやあヴぁに楽曲提供されている方らしい)、みきれちゃん

⑥:Elliott Frazier(Ringo Deathstarr、作編曲)、Lilia Ijiri(OLDTIMER、作詞)

⑨:みきれちゃん(作曲)、甲斐莉乃(作詞)

⑩、⑫:みきれちゃん

⑪:Hiroyuki Imamura

⑭:みきれちゃん、ジム(←モビルスーツ?)

 

このアルバムについて思いを巡らすにあたっては、インタビューは今のところないので内山結愛さんによる全曲解説がとてもためになった。

https://twitcasting.tv/__yuuaself__/movie/607493815

自分で作っていないからこそ、メンバーが自身の歌っている曲について距離感をもって語れるのは実はアイドルの面白さなのかも。ベルハーの大名盤「13 WEEKS LATER」をメンバーが「暗い」「シャッフルで出てくると怖いから飛ばす」と言っていたように…

全編通してべた褒めしていて興奮がにじみ出ている姿がいいし、「まのちゃんのいい意味で抑揚のない、無機質で透明感ある声」みたいな鋭いコメントも飛び出すのがいい。全てのアイドルが音源出る度にこういう企画をやってくれたらいいのにな。

 

 

1 アルバムの各曲について

①「Fading Lights」

光に対して「導いてほしい」と語り掛ける曲で、光=Fading LightsでありRAYでもあると思うと、「これからRAYの世界に導く」と言っているようでもあり、1曲目として完璧。アルバム初出の新曲らしい。

内山さん曰く、結ぶ、愛など「メンバーにあてたような歌詞」とのこと。どうやら内山さんはこの曲が相当好きっぽい。私もかなり好きです。

 

②「バタフライ・エフェクト」

実はシングルでは「Meteor」と「世界の~」が好きなので飛ばしがちだったんだけど、この流れの中だとすごくいい。間奏のキラキラする辺りのケンケンパみたいな動きが好きなんだけど、内山さんが「ここ!ここがいい」と言っていてさすが…と思った。

仮歌の内山さんのみverがあるらしい。コンプリートBOX(勝手に出ることを想定した物言いをして引き寄せていくスタイル)に収録してくれ…

 

③「世界の終わりは君と二人で」

アルバム出るまではこの曲が断然一番好きだった(あと「彼女が冷たく笑ったら」)。イントロのリフ、サビの胸キュンな美メロ、最高…「覚えていて」「忘れないで」と呼びかけたり「嘘なんてなかったよ」と過去形だったり、「恋をして」「失くした」で終わるこの切なさよ…

大学の頃普通にcruyff in the bedroom聴いてたので、ここでまた名前を見ることになるとは、と嬉しかった。改めてcruyff~も聴き直したいな。

 

④「Blue Monday」

New orderの大名曲オマージュかと思いきや、俺たちのKei Toriki大先生による変態曲。人間が歌うことを想定した曲じゃないような…「感傷も時には必要~」の辺りのメロディとか、初音ミクの曲みたいに人間離れしてる。アイドルにIDM(Intelligent dance musicの略、なんかジャンル名に“インテリジェント”って入ってるの逆にバカっぽいな…w)をやらせたら、というコンセプトで制作されたらしい。

ライブでは観てる方もついていくのが大変な印象だったけど、音源で聴き込むことで今後ライブでの見方が変わりそう。「メロディーは弱く鼓動を刻む」っていう一節が、メロディーで鼓動を?しかも弱く!?と地味に面白い。

内山さん曰く「最初は難しすぎたけどライブで好きになった」「ライブでブルマンがあると顔色が変わる」らしい。

略称は「ブルマン」だそうですが、北海道物産展の常連プルマンベーカリーのプリンパンを連想しますね

 

⑤「ネモフィラ」

轟音と電子音の海の中で漂っているような、クラゲVRのような曲。歌詞も波間から顔を出してるようなくだりがあったような…電子音とドラムだけになる間奏のところがいい。

内山さん曰く「手をつなぐ振りが多い」「最後のポーズがネモフィラの花みたいになる」

 

⑥「Meteor」

この曲は序盤がめちゃくちゃかっこいい!

内山さん曰く「日本語訳がいい」とのことなんだけど、“星々よ、私が影の中にいるときは導いて。もう振り向かない”みたいなことを歌っています(タイトルも“流れ星”だし)。

ちなみに「下のハモリが低すぎて出ない」とのこと(内山さん談)

 

⑦「尊しあなたのすべてを」

2分40秒以降、天から降り注ぐような神々しさすらあるストリングスっぽいシンセからのアウトロが最高。ワンマンとかでこの曲が本編最後の曲で、アウトロが音源に比べてめちゃくちゃ長くなっていて、数分踊った後に一人一人ステージから去っていく…みたいな演出で観たい。

Ringo Deathstarrの前座のときに初披露した曲とのこと。月一位のペースで立ち位置を変えたりしているらしい。個でありつつ、入れ替え可能なものでもあるという試みなのか…

内山さん「ライブだとウイスパーボイスで歌えないけど、音源だと繊細さが出る」「歌詞の言葉数の少なさ(にびっくりした)」「個人的には振付が一番難しい」

 

⑧「星に願いを」

俺たちのKei Toriki大先生のホームラン仕事…

周囲に熱狂的なこの曲のファンがいるんですが、確かにほんと最高。1分50秒の刻むギターとそれ以降の展開が最高。2分58秒辺りのジャーンジャーン!からのポエトリーも鳥肌モノよ。モッシュ、したいよね…

内山さん「リズム取るのが難しいのでライブだとよくズレてしまう」(そりゃそうだろう)

 

⑨「no title」

サビのファルセットが美しい…唱歌のよう

内山さんの「みきれちゃんが作る曲は“楽しすぎて切ない”のがいい、楽しかった時の帰り道みたいな、戻れないなっていう…」というコメントが完璧。

アコースティックver.もある

 

最初は「白魚の数」というタイトルを提案したけど「そのタイトルにする勇気はない」と言われ、それ以外が思いつかなかったので「no title」になったらしい(甲斐莉乃さん談)。

しかしカセットテープのイラスト描いてるくらいなんだから、アルバムもカセットで出してほしいぜ…「彼女が冷たく笑ったら」をボーナストラックに入れるなどして(あきらめない男)

 

⑩「GENERATION」

月見ルで初めて見たときに印象に残ってた曲。疾走感あるギターロック(これまでに世界で50万回位使われたであろう言い回し)だと思ったけど“共闘を歌うバーニングメロディックパンクチューン”らしい。確かに「Make a generation~」で拳を振り上げたくなる。

内山さん「ライブだと振りが激ムズ、ゆるやかな死

これは関口メンディーさんが所属しているグループ「GENERATIONS」

 

⑪「シルエット」

アルバムで初出しの曲らしい。個人的にはアルバムで1,2を争うくらい好きかも。タイトな間奏部が最高。

内山さん「仮歌でもらっていた曲と当日のレコーディング時のメロディが全然違っていた、今の方が断然いい(“君がいて~”のところらしい)」

 

⑫「オールニードイズラブ」

静かな熱を持ちながら続いていく感じがいい。

内山さん曰く「構成が難しい、どこがサビか分からなかった」「みきれちゃんの曲はイントロとアウトロが長い印象がある」「勢いのある語感がいい。“とっておきのファンタジー”を“とっときのファンタジー”と歌うのが好き」「最後の“オールニードイズラブ”はシンガロングをやりたい

シンガロング、したいですね…

 

⑬「スライド」

実を言いますとライブで「スライド」をやる度にRAYになってからの曲の方がいいな~とか思ってたんですが、今回のアレンジがめちゃくちゃいい!上物のキラキラギター(イヤホンの右の方から聞こえるやつ)が最高。ぜひこのバージョンでライブ見たい。正にデイドリーム…

内山さん「私はスライドという曲が一番好きなんですよ」「素晴らしいアレンジ過ぎない?ギターが…もう…」「(Aメロ)ライブだといい子ぶった声出してる」「静かの海も自分の葬式で流してほしいと思ってたけど、この新ヴァージョンも葬式(に)いいなって思う

古のバンギャなので「スライド」といえばマイブラ「Loveless」を臆面もなくSEに使っているヴィジュアル系バンドPlastic Tree(ギターはCoaltar of the deepersも兼任してるナカヤマアキラ)がシューゲイザー路線に行く直前の2000年4月19日に出した地味なシングル曲だろ(私は大好きです)、と思ってたんですが、この新バージョンのスライドは実にいい…スライドにうるさいオタクとしても認めざるを得ない

 

⑭「サテライト」

7分もあるのか、長いな…と思ったらアウトロが長くてサイクゥ~!演奏も再録しているらしい。

ワンマンとかでこれが本編ラストで、アウトロさらに長くしてやってもらいたい…「Shoegazer」というタイトルのツアーを臆面もなくやっていたヴィジュアル系バンドPlastic Treeが「3月5日。」や「アンドロメタモルフォーゼ」でアウトロを超長くやっていたように…シューゲイザーはアウトロを長くしてなんぼだから(個人の見解)。

「サテライト」「サーチライト」ってのもシューゲイザー語彙(※独自の用語)でいい。

内山さん「この曲が一番死ぬ。セトリでブルマン→サテライトとかなってるとメンバーから「MC入りますか」とクレームが入る」。甲斐さんは「サテライト」に心を撃ち抜かれてこの曲を歌って踊れるアイドルになりたいと思ったらしい。

 

 

2 アルバム全体として(個の集まりを標榜するアイドルとシューゲイザー)

RAYは「圧倒的ソロ性」と「『アイドル x ????』による異分野融合」がコンセプトで、「ソロアイドルをしていたら気が合ったので一緒にやることにした」という設定らしい(Wikipediaより。いや直前までグループでやってた人いるだろ、と思ったけどw)。

要するに“個”の集まりとしてのグループであって、無名の記号のような存在を志向していたドッツの真逆のコンセプトを打ち出そうとしているのかな~思った(いろいろこだわりがありそうだから「雑に要約するな」と言われそうですが、話の便宜のために…)。

 

RAYの曲は“シューゲイザー”だけではくくれないけど、シューゲイザー的な色合いが相当前面に出ていると思う。

シューゲイザーって大雑把に言うと“ギターの音がデカくて分厚く、歌は俯いてぼそぼそしてる”みたいなジャンルで、つまり歌声があまり重要にはならないようなジャンルだと思っている。“圧倒的ソロ性”をうたっていながら、個々のメンバーの歌声、個性が埋没してしまいかねないような曲調をぶつけるのが面白い(失礼な話だけど、実際アルバムのみを聴いていても“この曲の●●ちゃんのパートが~というのは正直あまり分からない。内山さんの解説が分かりやすかった。今後ライブで見て行けば解像度が高まっていくだろうから楽しみだな)。

ちなみにドッツのときのインタビューで、みきれちゃん氏はインタビューで「なぜ数あるジャンルの中でシューゲイザーにスポットを当てたのか」という質問に対して「当然ニッチを突くという打算的な戦略もありましたが、個人的な感覚としては女の子がシューゲイザーを歌って踊ることが「正しい」という感覚があって、そんな姿を見たいと思ったんですよね。」と語っていた。感覚的だな…

https://realsound.jp/2018/01/post-149017.html

 

”アイドルとシューゲイザーの交錯”という観点から見ると、ピンクの海のジャケットタイトル「Pink」が結構象徴的なように思った。

いかにもシューゲイザーバンドのアルバムジャケットにありそうな、ドリーミーかつ轟音の海に沈んでいくようなイメージを表した”ピンクの海“の写真。そのピンクとは、これまでRAYが(おそらく意識的に)衣装やジャケット等に使っていなかった、分かりやすい”女性アイドル“の記号的な色としてのピンク(Pink)でもあるという…まあ単純にシングルは「Blue」で次は「Pink」、その次は「White」とかなのかもしれないけど、個人的には相当完璧なジャケット・タイトルだなと思った。白もいわゆるシューゲイザー色(※独自の用語)だけど、「White」ではなく「Pink」って感じなんだよな。淡い色がついてる感じ。

 

 

そうなるとTシャツも欲しくなっちゃうので、disk unionのTシャツ付セット(白)を予約しました

https://diskunion.net/portal/ct/detail/1008114214

 

最初聴いたときは全体の流れとして、「オールニードイズラブ」で一旦終わって、ドッツの曲2曲はアンコールみたいな印象を持った。収録曲が発表されたときは「彼女が冷たく笑ったら」が入ってないじゃん!とぷんぷん丸だったんだけど(34歳男性)、通して聴いてみたら他人の曲であるということをおいても流れ的に入れづらいかもね…でもNirvana「Nevermind」みたいに最後の曲が終わって10分の空白の後急に曲が始まっていてもいいんですよ(あきらめない男)

 

あとアルバム全体を通して聴いて思ったこととしては、歌詞カードが手元にないから適当なこと言うんだけど、たぶんアルバム内で「たゆたう」が頻繁に使われているような気がする。これはいわゆるシューゲイザー語彙(※独自の用語)なので意外ではないけど。シューゲイザー自体がたゆたってなんぼみたいなジャンルですから…

 

意外なのは「星に願いを」ということが割とアルバム内で繰り返し出てくること。

”星に願いを“、8曲目のタイトルであるのみならず「サテライト」も星に願っているような曲だし、「Meteor」もMake a wish…Stars…と星に願っていて、「オールニードイズラブ」でも「星に願いを」という一節が入っている。実は星に願いがちなグループなのかもしれない。ロマンチスト…

 

しかしこのアルバムでほんとRAYサイクゥ~となってしまった…この甲斐莉乃さんの配信も後で聞きます

https://twitcasting.tv/c:norimaika/movie/608077194

内山結愛さんの日記もすごくいいし、これから遡って読もう。

https://lineblog.me/yuua__self/

わちゃわちゃ交換日記も…

https://note.com/_ray_world

 

こんな最高なアルバムを作りながらすぐにライブができないのは悔しいだろうけど、自粛期間中にこのアルバム聴いてRAYのライブにめっちゃ行きたくなっている人はたくさんいるはずなので(もちろん俺もそのクチです)。

ワンマンのフライヤーの文字もピンクだったんだな…やはり「アイドル」の記号的な象徴としての「Pink」、というのもあながち的外れじゃないのかも。ほんとワンマンが楽しみ!