~苦手な人No.1~  【清花side】



                         

教室の入り口あたり・・・すごくにぎやかだな。

何だろう。

私は気になって少し背伸びをした。


・・・!!!


そこには千堂さんと杉野君が楽しそうに話していた。

杉野君、私といるときより楽しそう。

しかも、その相手が千堂さんだなんて・・・


杉野君はどちらかというと私の味方だと思ってた。

いつもニコニコ笑顔で話しかけてきたり、

休み時間にはちょっかいだしてきたり・・・

私はちょっかいをだされるたびに怒るけど、

それが好きなの。

杉野君のことが好きってわけじゃないけど

なんだか「もっとして」って思ってしまう。


これって変かな?

私だけかな?

こんなことを思うのっておかしいのかな・・・


私は、なぜか分からないけど

心がモヤモヤして悲しくなってきた。

杉野君のこと好きってわけじゃないんだよ?

でも千堂さんと仲良くしないでよ・・・


「・・・小野?」

「なっ、何ですか・・・」

どうしようっ。私、杉野君のこと変な目で

見てたかもι

「ってかさ、いつまでオレに敬語使ってんの?

もう同じクラスで大分慣れてきたんだし

タメでよくない?」

「でっ、でも私、杉野君のことあんまり知らないし・・・」

「ほらな。拓也でいいって」

そんな顔で笑わないでよ。拓也なんて言ったら

私のほうが照れると思う。

何回もしつこいけど私は杉野君のこと、

好きじゃないからね!!!


「んー。じゃあさ、今からオレのこと知ってもらったら

拓也って呼んでくれる?」

「そんなこと言われても・・・」

「まぁ、そんなこと言わずに。な?

名前。杉野 拓也、16歳。誕生日は4月16日で・・・」

「ちょっと!!!待って下さい!そんなスピードだったら

覚えられません・・・」


もう!!!なんでなのよ。心臓バクバクいってるじゃん。

好きなの?これって恋?

杉野君のこと、もっと知りたいって思うけど

きっと彼女いるし、私なんかがなれなれしくしたら

他の女子から冷たい目で見られそう・・・

私ってほんと弱い。

「おい、小野。聞いてる?」

「えっ、あっごめんなさい。」

「なら罰として名前で呼ぶことな。

ほら、言ってみろって」

「・・・拓也・・・?」


長い沈黙。

恥ずかしいよっ、早く何か言ってほしい。

「やっと名前で言ってくれた。」

またにこっと笑う。

チャイムが鳴って拓也は自分の席に戻っていった。

私の心臓はまだバクバクいっている。



放課後、私が帰る準備をしていると同じクラスの

中山さんと他の女子が私の席に来た。

皆、メイクもバリバリしてて香水の甘い匂いが

鼻にプンプンくる。

この人達、いつも拓也のことを誘っている人だ。

中山さんはいつもの猫撫で声で私に言ってきた。

「ねぇねぇ。小野さんってぇ~、拓也と付き合ってんの~?」

「いえ、付き合ってないですけど・・・」

すると他の女子が

「じゃあ、何でそんなに拓也と仲いいのぉ~?」

と言い寄ってきた。この状況、ヤバい気がする。

私の思った通り、たくさんの女子が一斉にギャーギャー言ってきた。

「拓也に近寄んな!!!」

「私達の拓也とらないでよ!!!」

「何考えてんのよ!」

私は今にでも耳をふさぎたい気分だった。


するとこれだけ、耳に入ってきた。

「拓也は千堂さんのものなの!!!」


何それ・・・。

拓也がモテることは知ってる。

でも、千堂さんのものって何よ。

すると見計らったように千堂さんが

パチパチと拍手をしながら教室に入ってきた。

「皆さん、お疲れ。もういいわよ」

と言いながら。


私は一瞬、頭がこんがらがった。

バチッ。

千堂さんと目があってさらにこう言われた。

「前に言ったよね?覚悟しててねって。

もう忘れちゃったかなぁ~、清花チャン?」


思いだした。

入学式のとき、千堂さんに言われて、

ここ最近楽しかったから、忘れてた。


「これからが本番だよ?」

千堂さんはニコッと天使の笑顔のなかに

悪魔がすみついてるような微笑み方で、

私に言ってきた。





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~反撃~  【拓也side】





あれから数日が過ぎた。

相変わらず小野はオレが話しかけても

敬語ばっかりだし、あんまりなれなれしくしてこない。


同じクラスなんだからちょっとはあっちから

話しかけてきてもいいんじゃ・・・

あれこれ考えながらオレは次の授業の準備を

していたら

「拓也ぁーーーーーー!!!」

翔が教室の入り口でオレの名前を叫んできた。

「そんな大声で呼ばなくても聞こえるっつーの」


ぶつぶつ言いながらオレは翔のところに行った。

すると翔の前に千堂 莉乃が立っていた。

今日もすべて完ぺきだ。

「初めまして♪私、1-2の千堂 莉乃っていうの。

えっと・・・杉野クンだよねぇ?」

いきなり千堂に名前を呼ばれてオレは

「え?・・・あぁ、よろしくな」

と少しとまどって答えた。

             ただよ

香水の匂いがプンプン漂ってくる

こういう匂い、オレちょっと苦手かも・・・


周りからは

「拓也やるぅ~♪」

「ヒュー付き合っちゃえ~」

など茶化す声が聞こえてくる。

オレは、そんなことは無視して

「じゃあな」と言って席に戻ろうとしたら

「待って!」と千堂の呼ぶ声が聞こえた。

振りかえったら、ハートがいっぱいの

女子が好きそうなメモ帳を渡された。

「それ、私のメアド。よかったら登録

よろしくねっ!」

と耳元で言われた。

オレは今から始まろうとしていることも

知らずにその紙っ切れを学ランのポケットに

つっこんだ。


そして

「あっ、行かなくちゃ。じゃあ、また今度っ!バイバイ♪」

と言いながら自分の教室に千堂は

手を振りながら帰っていった。


オレも席に再び戻ろうとしたら

小野がか弱い瞳でオレのことを見ていた。





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~綺麗な悪魔~ 【清花side】






「覚悟しててね?清花チャン♪」



千堂さんにそう言われて私は嫌な予感がした。

私がぶつかったのは、中学校でもすごく有名だった

千堂 莉乃さん・・・


家がお金持ちで誰もが見とれるくらい綺麗で

何人もの男を落としてきたという噂の女。

実際初めて見て、私もその美しさにビックリしたくらい。

すごく綺麗だった。



私は千堂さんが行った後も、その場に立ちつくしていた。

さっきのは聞き間違いじゃない。

周りの人には聞こえなかったかもしれないけど

私にはしっかり聞こえた。

これからどうしよう・・・。


とりあえず、私は担任の先生に職員室までプリントを

取りに行くという初仕事を頼まれていたので

職員室まで向かうことにした。

すると後ろから「なぁ」と声をかけられた。

低くて少し緊張してしまう声。

振り向くと、そこにはすごくかっこよくて

背が高く、なんでもできそうな男の子が立っていた。

本人は気づいてないと思うけど廊下にいる女子や

すれ違っていく女の子達に「あの男子かっこいい~」

とかいろいろ言われていた。

「お前、さっきあいつになんて言われたの?」

「へ?」              


突然の質問に私は思わず変な声をだしてしまった。

                 すぎの たくや

「あぁ、ごめん。俺1年4組の杉野 拓也。」

「あっ・・・えっと小野 清香です・・・私も1年4組です・・・」

「一緒のクラスか。よろしくな。」

「はい・・・」

「で、さっき千堂に何て言われたの?」

「・・・」

初対面の人に言えるわけがない。

しかも、言ったら千堂さんに何かされそう・・・


杉野君はそんな私の心を読み取ったのか

「初対面の人に言えるわけがないよな。

変なこと聞いてごめん。また、話せるようになったら

いつでも言って。」

と言って教室に別の男の子と戻っていった。


なんなんだろう。

あの人・・・でも優しそうな人だった。

仲良くできるといいな♪


私はそう思いながら再び職員室に向かった。

これから起こることが何かも知らずに・・・







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