よく行く林道は両脇にイタドリが背丈まで成長してしまい、例え河川のほうで(右側)ヤマセミなどの鳴き声が聞こえても如何ともし難く、とても撮影ができる状態ではありません。
イタドリの隙間からは
河原をエゾシカが走ってたり
綺麗なオシドリが泳いでたりします
そんな林道には至る処にクマさんの落とし物があり
(丸印の中の黒い塊)
このあと出す予定のヤマセミ撮影をしたポイントでは前後に4箇所、クマゲラの営巣木では500mほど離れた処ではありますが一つのクマの糞が落ちていて、そんな所での撮影は気が気ではないです(^^ゞ
そんな林道の 年末にクマさんの多数の足跡の写真を載せた付近で ある日 林道の真ん中に車を停めて山菜を採っている人たちに出会いました。沢と林道の間の湿地に男女お二方の姿が見えたので軽くクラクションを鳴らしたのですが気づかれることがないので、もう一度軽くプッとクラクションを鳴らすと男の方が気が付いて奥のほうに「クルマが来たよ」と声を掛けています。それが聞こえなかったようで何度か目に 私の横のほうのイタドリの茂みの向こう側から「くっ、クマぁ~!」と言う叫び声にも似たような声が聞こえて来て"あぁ、もうお一人居られるんだなぁ"と気づきました。 そして声を掛けた男性が「ク・ル・マ」と諭すように言って 無事に林道の真ん中に停めてあった車を避けて貰うことができました。
私、思うんです。たぶん此の人たちは山野に分け入り山菜を採らないと生きていけないほど生活に困窮している訳ではなく、楽しみ・娯楽で山菜を採りに来ているのだと。
そこはヒグマの生息地で、ヒグマ達はそこで生きて行くしかないのに、人間の楽しみだけでこのようなクマ達の生息域にこうして無防備に踏み込んできて「クマに遭遇した」「襲われた」って大騒ぎして、挙句の果てにそこでしか生きていけないクマたちを無差別に殺すと言うのは人間のエゴでしかありません。
ヒグマなどは不意の出会いをした時に人間にとって危険な動物であることは間違いありません。 地震や豪雨災害など自然災害で「最大限に命を守る行動を取って下さい」と呼びかけられた時は身に迫る危機を感じて【命を守る最大限の行動】を取るのに、どうして山菜取りなど娯楽では危険動物と遭遇する可能性が高い所に立ち入っても"命の危機"を感じないのか不思議でなりません? そんな人間の"楽しみ"のために殺されるクマ達は堪ったものではありません。
そこで生きていくしかない野生動物を悪者に仕立てて無差別に殺して、その事に関しては何の疑問にも思わないのかがとても不思議です。 日頃"いのち、いのち"と御呪いのように唱えている私たち日本人が!です。
捕鯨でもIWCから撤退した事でも判るように日本人の人間以外の動物に対する対応って時代錯誤も甚だしく、世界的に先進的な考えができる国々と比べると余りにも程度が劣り 同じ日本人として恥ずかしいです。
因みに1ヶ月ほど前に、根室の林道で母グマが子供を守るために身を挺して軽トラックに体当たりする動画がテレビなどでも大きく取り上げられましたが、あれはYouTubeでアクセスカウントを稼ぐために母グマが体当たりする衝撃シーンだけを編集されたもののようです。動画をアップしたユーチューバーは、偶然にも私が道東でお世話になってる車のディーラーさんのお客さんで、車屋さんから聞いた話しでは例の動画が始まる前よりあの親子グマを追いかけていたらしく、それにイラついた母グマが軽トラに体当たりしたと言うのが事の真相のようでした。
もっとも子供を守るために身を挺して、敵うはずもない自動車に体当たりする母親の必死の思いは美談にこそなれ、逆にそれを凶暴性だと国民に洗脳させるような報道をするマスコミの頭の中を疑いますね。
せめて自分だけでもクマさんたちに迷惑を掛けないようにしようと心に決め林道を進みます
この時期はエゾライチョウが子たちを連れて林道を歩いています
道を譲ってくれたら速やかにその横を通り過ぎます
林道そばのハンノキにクマゲラが開けたと思われる真新しい巣穴を見つけました。ここで営巣していれば撮影には格好のポイントです。
最初に見つけたのは6月の初めだったので もしこの巣穴で営巣してても未だヒナ達は巣穴から顔を出すほど大きくなっていません。まして、まだ抱卵中だと抱卵交替がいつになるか分からないので、暫くこの巣穴を観察することにして6月の下旬まで何度か訪れたのですがヒナの声もしないし、ここでは営巣してそうもありませんでした。
もしかしたら塒かもしれないですね
そのクマゲラの食痕です
この木の下には削られた真新しい木屑が散乱していて、今朝の早い時間にでも掘ったんだろうなぁ・・・クマゲラの食痕にしたら大人しいけど、クマゲラが木を突っついてるところの写真を一度は撮ってみたいなと思いながら食痕を眺めていたら・・なんと!手前からクマゲラが飛び出してきました!! しまったぁ・・・・・まさにちょうど今クマゲラが木を突っついて居たところに私が通りかかったので、クマゲラは私が通り過ぎるのを隠れて待っていたようで千載一遇のチャンスを逃してしまいました(>_<) 逃がした魚は大きいと言いますが、暫くはこの事が尾を引きウワの空で鳥探しに集中できませんでした。
そんな林道をゴトゴトと登っていると
斜里岳の山頂が もうあんな所に見えます
こちらは南斜里岳の南に延びる稜線
随分と高い処まで登ってきました
この地方は
標高1000m辺りからハイマツ帯になります
なんか小鳥の声が聞こえるのでハイマツの上を見ていると普通にギンザンマシコがハイマツの中を出たり入ったりしています。 もしここまで撮影機材を運び上げることが出来たらギンザンマシコを一人で撮り放題できそうです(^^
こんな とっても楽しい林道のお話しでした
最後まで御覧戴いて ありがとうございました