夏の風物詩(1) の続きです。






Sさんの車は法面に突っ込んで、車の対角線がちょうど側溝の真上にくる状態で停止しました。


FF車で重心が前にあるため車は前のめりになり、右前輪が側溝に落ち込み、左後部が浮き上がった形でした。




↑法面に乗り上げ、右フロントタイヤは側溝にはまり車体左後部が浮き上がっている




運転席側のドアは側溝の縁に食い込んでしまって開かず、Sさんはどうにか助手席側から車外に出ました。


当時はまだ携帯も普及していませんでしたから、助けを呼ぶには誰かが通りかかるのを待つしかありません。

仕方なくSさんは他の車が通るのを待つことにしました。


しかし、その道路は観光客向けで、地元の人はあまり使わないようでした。

ましてや夏休みシーズンを外れた9月の下旬、通行車両は皆無でした。


車が通りかかるのを待つ間、あらためて周りを見渡すと、Sさんが事故ったカーブの少し先には川がありました。


当然 橋はかかっていましたが、法面と橋との間には隙間がありました。


もっとスピードが出ていたら・・・

もっと川の近くでスリップしていたら・・・


隙間から車ごと川に転落していたかもしれません。



1時間ほど待ったでしょうか、完全に日が沈み辺りが真っ暗になった頃、ようやく1台の車が現場を通りました。


Sさんは車道に出て両手を振って車を止め、運転していた人に事情を話し、町まで乗せて行ってもらうことになりました。


こうして無事 町に下りたSさんが公衆電話からJAFを呼び救助の要請をした頃には、時計の針は20時を回っていました。






つづく