夏の風物詩(2) の続きです。
救助要請の電話からさらに1時間ほどしてようやく到着したJAFのレッカー車によって救出されたSさんの愛車には、幸いにも右前輪のパンク以外には大した傷もありませんでした。
一安心したSさんは、救出活動を終えたJAFの方に話しかけました。
Sさん「この道路って地元の方は使わないんですか?
1時間くらい待って、ようやく通った車を見つけて町に下りたんです。
誰も通らなかったら、車の中で一夜を明かそうかって
本気で考えてまし たよ」
JAFさん「ここで夜を明かす? いやぁそりゃあ止めといた方がいいねぇ。
この辺は『出る』ってもっぱらのウワサだから。」
Sさん「『出る』って、クマか何かですか?」
JAF「いやいや、こっちだよ」
Sさん「・・・・・え?」
JAF「何年か前にね、台風か何かで大雨が降ってねぇ。
ほら、そこの川が増水して橋が流されたんだよ。
その時に車が何台か流されて・・・
結局 4人くらい行方不明のままなんだよ。」
Sさん「・・・・・・・・」
JAFさんが立ち去り、街灯もない暗闇に取り残されたSさんは急に心細くなり、パンクした右前輪を急いでスペアタイヤに交換して現場を離れました。
つづく