ネタふりネタ【あなたのオススメの一冊」】に答えてみる
ブログネタ:あなたのオススメの一冊
参加中読書はよいですね。保管場所に窮し、書棚付きの変形リビングボードを作ってしまうほどです。ある意味ジャンキーです。
挙げるとキリがないので、パッと思いついたものを読後感別に挙げると
○人生に前向きになれる系
『チェーン・ポイズン』 本多 孝好
○ただただ淡く切なく、悲しい系
『少女七竈と七人の可愛そうな大人』 桜庭 一樹
○背筋と頬に冷たいものが流れる系
『夜一』 恒川 光太郎
○クールに疾走するスッキリ系
の4作品。
以下、簡単な書評です。
『チェーン・ポイズン』
著者は推理小説系作家としてデビューしたと憶えていますが、死を願望する一人の女性の、世界との関わり、心の移ろいを通して、人が生きることの意味を考えさせられる本です。
全体を通して軸・視点が2つある感じで、ミステリー色は薄いのですが、最後の仕掛けはミステリー。その展開に驚かされると同時に「生きるって悪くないね」と爽やかに微笑したくなる本です。
『少女七竈と七人の可愛そうな大人』
『私の男』で第138回直木三十五賞を受賞した桜庭一樹さん(女性ですよ)が、作品発表の場をライトノベルから一般文芸誌へ移してから少し経って発表された作品です。
マジックリアリズム的な手法で、10代少女が抱える、子どもと大人の中間にあるわずかな期間の、淡雪のように、はかなくも美しい内面を描き出します。気高さすら感じる主人公の思いが、切なさをともなって心に響きます。女性の方がより多くのことを感じられるでしょう。
『夜一』
第12回日本ホラー小説大賞受賞作。小説って、映像のように情報を詰め込むことができないので、想像力を働かせて行間を補完する作業が必要になります。
この作品は、その想像を喚起する力がとてもあり、ゆえに怖さも倍増します(お風呂でシャンプーしてるとき、背中に何かが触れた気がすると怖くなって、想像すればするほど怖くなるでしょう? そういうことです)。
ということは、この物語が内包する悲しさも倍増するということで、日本古来の伝承をモチーフにしたストーリーが幻想的な文章で綴られ、怖さと悲しさが同時に押し寄せる作品です。
『ジョーカー・ゲーム』
このミステリーがすごい!2009で2位、週刊文春2008ミステリーベスト10で3位になった、戦時中の陸軍スパイ養成機関を舞台にした全5編の連作小説集。
伏線を丁寧に描いてもらえるともっと深さも出るかなと思いますが、そこは短編ということで。しかし、短編のわりに登場人物の造形もできていますし、短いストーリーの中で二転三転する疾走感で一気に読める、スタイリッシュでかっこいいスパイ・ミステリーです。
イメージとしては、ハリウッドアクション映画のように、もう作品に身をゆだねて最後まで行っちゃえる。そんな感じでしょうか。キャラが立っているので、映像にしても面白い作品じゃないかと思います。
『チェーン・ポイズン』と『ジョーカー・ゲーム』は最近の作品なので、ハードカバーしかありませんが、『少女七竈と七人の可愛そうな大人』と『夜一』は文庫になっていると思います。
なんでもかんでも細かく情報が提供されている時代だからこそ、想像力が必要になってくる書籍を読んでいきたいものです。
