🩸血流が整えば、体は自ら回復する
― 生理解剖学から見るスウェディッシュマッサージ ―
体に不具合や痛みが生じる場所には、必ず局所的な血流量の低下があります。
血液は酸素・栄養・ホルモン・免疫細胞を運び、同時に老廃物や炎症物質を回収する、恒常性(ホメオスタシス)維持の根幹です。
血流が滞ると、組織は**酸素欠乏**状態となり、代謝が低下し、筋繊維間の滑走性も失われます。
この状態では、痛み物質(ブラジキニンやヒスタミンなど)が蓄積し、神経終末が過敏化することで「コリ」や「痛み」として感じられます。
スウェディッシュマッサージでは、掌全体を使った体重圧を呼吸の波に合わせてゆっくりと導入します。
この「力圧」ではなく「体重圧」による接触は、筋繊維を損傷させずに毛細血管の拡張を促し、副交感神経の優位化によって末梢循環と自律神経系の調整を同時に起こします。
また、オイルを最小限に留めることで、皮膚と掌の間に遠赤外線(4〜14μm帯)の熱伝導が生まれ、これが皮下組織の微小循環をさらに活性化します。
結果として、筋膜・血管・神経の滑走性が回復し、細胞レベルでの代謝再生が促されるのです。
血が巡りはじめると、体は外から治されるのではなく、内在する自然治癒力によって、自らバランスを取り戻していきます。
それがスウェディッシュマッサージの本質。
「循環を取り戻すことで、生命の自己調整力を引き出す」技術です。
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