これまでにも、中国社会では共産党政府内部や軍関係者の汚職や賄賂などの腐敗した人間関係が取りざたされ、習近平政権の厳しい摘発が続いていたのだが、ここにきてその腐敗の構造が政権内部や軍にとどまらず一般社会にも浸透しているとの政権の判断により、メディアの経済担当のキャスターほかが逮捕、拘禁されているようである。

 中国は近年になって急激に民主化が進み、目覚ましい経済発展を遂げるに従って、それに伴う貧富の格差や人間関係による差別格差が進行してきているのであったが、これが顕著になってきているのは、中国のこれまでの経済発展の過程にあっての社会構造における歪曲が隠蔽できない状態にまで浸透していることを意味するのであろう。

 しかしながら、こうした社会構造による腐敗の実態が明らかになったとしても、その構造そのものが中国の現代社会の根強く浸透し、それがある種、支配層にとっては当然のごとくに実践しているようで、この撲滅は困難なことであるのも当然であろう。また、この腐敗の構造は摘発する側にも存在しているのであり、一つの端緒が想像を超えたところに飛び火しかねないのである。
 こうした腐敗の構造は、先の共産党幹部であった周永康氏の逮捕やハク・キライ氏の逮捕など、政権内部にまでをも採りこんでいる訳であって、それが今回、中国の一般社会にも、同様の腐敗構造が浸透しているというのである。

 こうした、中国社会の腐敗の構造が敷衍していることを思えば、この浄化は困難を極めることであろう。

(<a href="http://sankei.jp.msn.com/world/news/140714/chn14071419590009-n1.htm" target="_blank">この記事を参照</a>) 

http://sankei.jp.msn.com/world/news/140714/chn14071419590009-n1.htm

 先日、イスラム・スンニ派の武装勢力が「イスラム国」の樹立を宣言したが、これに制圧すべく組織したマリキ政権(シーア派)のイラク政府軍治安部隊が、同じシーア派の別の組織と交戦しており、40名を超える死者を出しているようだが、これに加えてマリキ政権としては、クルド自治区の独立への気運の高まりがあり、これらが並行して大きな問題となっている。他にも、早急に対応すべき難問が山積しているのである。
 こうした中でも、マリキ政権と同じ宗派であるところのシーア派の権威者二人シスタニ師とサルヒ師が、それぞれを支持する民兵組織が交戦するとなれば、まさにシーア派内部、あるいはまた、マリキ政権としても収拾がつかない状態になるのは必至である。

 この混迷を深めるイラクと国境を接するサウジアラビアも800kmに及ぶ長大な国境線に3万名の兵士を配置し、「イスラム国」勢力の侵攻に備えているようなのだが、そもそもサウジアラビアはスンニ派の大国であることからも、同じスンニ派である「イスラム国」武装組織が侵攻するとは考え難いところであるが、シーア派の武装民兵の侵攻は、今後の情勢を考えると想像を絶する展開がありそうなので、サウジアラビアとしても警戒を怠ることはできないであろう。

 こうした中、米国はイラク政府軍兵士の軍事訓練を支援するかたちで兵士の派遣を決めているが、米国のこの中東地域への関わりには慎重であって欲しいものである。米国の参加は、世界を巻き込む戦争になり得ることになりそうなのである。

 とりもなおさず、イスラエル空軍はパレスチナ住民との間でもきな臭い動きがあることも、同時に考えておかねばならないだろう。

 そこで筆者が訝しく思うのは、国連のこの情勢への関わり方が、全くといって良いほどにわれわれには観えて来ない、ということを指摘しておきたい。

(<a href="http://sankei.jp.msn.com/world/news/140703/mds14070309460003-n1.htm" target="_blank">この記事を参照のこと</a>)

http://sankei.jp.msn.com/world/news/140703/mds14070309460003-n1.htm

 すでにイスラム教スンニ派の過激派「イラク・レバントのイスラム国」(ISIS)が支配する北部ティクリートにマリキ政権は、国軍の精鋭部隊を投入し、激しい戦闘が続いているようだが、こうしたゲリラ過激派兵士との戦いでは、その資金面や武器の供給などの兵站部分を分断しなければ何の解決にも向わないのは自明のことなのだろうが、そのような対応をマリキ政権は採ろうとしているような観測ができないのは、どうした理由なのかを考えると、このイスラムの宗派間対立にあっての根源的な齟齬が顕著に伺えるのである。
 つまり、この事実が意味するものは、この宗派間対立が未来永劫にわたって妥協点が皆無なことなのである。もっとも、宗教対立、民族間対立、宗教対立など人間存在の根幹を為す事項においては、妥協の余地がないのであろう。

 しかしながら、このイラクの現状はイスラム圏だけの問題ではなく、世界がグローバル化した現状にあっては、将来的には世界を巻き込んだ大戦争に発展する可能性を推測し得るのである。

 ここで米国や中国、ロシア、ドイツ、英国などが自国の権益保護を理由としてこのイラク情勢に介入でもしようものならば、この大戦争への危険性は一層高まるのは、必定である。

(<a href="http://sankei.jp.msn.com/world/news/140627/mds14062709350004-n1.htm" target="_blank">この記事を参照のこと</a>)

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