国際政治研究室の思い出(随想) | ExcomAdvisorのブログ

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本稿は私・平田幸治の個人の意見・見解等を綴ったものです。

  日高敏隆先生のお弟子の竹内久美子さん @takeuchikumiffy のTWをTLで読むたびに、コンラート・ローレンツ著日高敏隆・久保和彦訳「攻撃―悪の自然誌―1、2」(みすず書房、1970年)を思い出す。

 

  比較行動学の書物ではある。古稀の私が二十歳のころの記憶をたどることになる。私は慶應義塾大学在学中(神谷不二研究室、国際政治)に東京工業大学の永井陽之助研究室(国際政治、政治意識)に通い、永井教授からローレンツの同書の読書指示を受けた。理由は日高先生の「訳者あとがき」を読めば理解が及ぶと思う。ウラジーミル・プーチン氏らロシア指導部の行動様式も多分浮かぶところがあろう。

 

  国際政治学者は、国際政治専門書ばかり読んでいたのではない。例えば、神谷先生は司馬遼太郎先生の「人間の集団について―ベトナムから考えるー」(サンケイ新聞社、1973年)、永井先生は「坂の上の雲」等を読書指定をされた。永井先生は隣室の研究室が文学者の江頭淳夫先生(江藤淳)でよく意見交換をされていた。

 

  情報を総合されていたのである。未来を予見する学問・学術がいる。東京工業大学と東京医科歯科大学に人文系も統合した情報総合大学を期待したい。

 

  日高敏隆先生の該訳書は大方に参考になることが多いと思う。

 

  (ひらた こうじ)<了>