ゲノム編集について(所感) 上 | ExcomAdvisorのブログ

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本稿は私・平田幸治の個人の意見・見解等を綴ったものです。

  

ゲノム編集について(所感) 上  平田幸治

 

 私は若き日にスコットランドの作家A・J・クローニンの書物を読んでいた頃の気持ちになれるかどうか、そういうことも考えていた。

 

 

 ゲノム編集に係る私の本ブログシリーズでの論考は先年から少しく時間が経っている。問題の所在に関してはその読者の方には、このことが一つの分野の出来事に終わるのではなく、未来の人間の生活全般にわたる影響を予見されることに、私の深い関心テーマとなっている。

 

 例えば、英人作家のオルダス・ハクスリーの著作『すばらしい新世界』(1932年)、『島』(1962年)は人間の未来の歩みの吟味を示唆してくれる。

 

 2019年2月10日に政府生命倫理専門調査会委員を兼ねる青野由利・毎日新聞論説室専門編集委員が極めてよくまとまった著書『ゲノム編集の光と闇―人類の未来に何をもたらすか』(筑摩書房)を上梓されたことにより、ゲノム編集のある意味その全貌が私のコミュニティの方々にも読書していただいて問題点が集中討議しやすくなり以降テキストとして意見交換を進めた。

 

 岡山県立図書館レファレンス自然科学担当は、山本卓・広島大学教授のゲノム編集の書物等の日本の研究者の成果の多くを私に紹介してくれた。

 

 

 春のサクラを愛で、ソメイヨシノと山桜の相違など、畑作物を見ながら品種改良についても話を進めてくれた年長の友人がいた。博識の老兄とは全般の集中討議を重ねた。種の保存の自然適合の自然変異と人口変異に関しても議論した。

 

 その頃、ゲノム編集食品についての政府の取り扱いも方向性が出てきて届け出制で報告書によることで販売まで進むことのようだ。これとて、人間の何世代かの食用で不都合がわずかの確率でもみられるその可能性は否定できまい。数値における許容の弾力性はあるのだろうか。

 

 長い歴史を持つ人間の遺伝子と共に生きた人間は、変化を感じる自然ではない操作が加わったことからは予期しえない事象はありうることを利用者も市民一般も認識したうえで食用しなければならないだろう。

 

 ゲノム編集食品が経済学の消費性で生産調整に用いられれば、市場経済合理性とは別に生産者と消費者の需要と供給の調整が可能となり、国際貿易でも計画性が図られることがあろう。

(ひらた こうじ)<上・了>

 

《続く》