クローズアップ2017:米「パリ協定離脱」 緩慢な衰退招く=科学環境部長・元村有希子 - 毎日新聞<リンク>
http://mainichi.jp/articles/20170603/ddm/003/030/094000c
Motomura Yukiko Photo via @chibigenome
ここで地球が氷河期へ向かうとしても元村さんの論に与しないわけにはいくまい。トランプ米大統領が頭を冷やす冷却不動産は足りていて、地球温暖化は忘れたかのようにもある。だが、キャンぺーンで全米各地を飛び回った188センチ70歳の大統領には原風景と人々の声は別のことだったか。自分の手でなせる雇用の創出が18世紀末にイギリスで始まった産業革命の時代に戻ることにしたのだろうか。
さて、本稿は私が科学ジャーナリストとして信頼してやまない元村有希子・毎日新聞科学環境部長の同紙2017年6月3日【クローズアップ2017】「米『パリ協定離脱』 緩慢な衰退招く」を読んでの私の短い所感である。
情報総合複合体である合意形成としての政策形成過程がこの政権では脆弱性があり、政策決定が大統領の「選挙結果の帰結優先」の思惑による意思決定に見える。それも民主主義の過程だが、国益より重い地球利益がある。
前政権がホワイトハウスから頻繁に発していたのが #「気候変動」という地球環境問題であり、人類の共有のターゲットとして取り組むべき大きな課題であった。ビジネスのディールや収益性で語り得る問題ではなかった。政治家が決断することを「高度な政治判断が働く」ともいうが、自身の利益の都合も働くこともあるだろう。
人類は現在「電気エネルギー」なくしてはその営みは難しい。私はいつも国際政治戦略の要素に「IT(情報)、金融、エネルギー、食糧そして宗教」をあげている。複雑なエネルギー戦略はあるが、産業革命の蒸気機関を想い起す事情はあるのか。黒いダイヤを掘るには人力はいろう。
元村部長は結語で「・・月面着陸、ヒトゲノム解読、気候変動。未踏への挑戦を米政府は時に国策として支援した。それが世界を動かし、国を発展させてきた。トランプ氏の独善的な『米国第一主義』は、その狙いに反して米国を緩慢な衰退に追い込むだろう」。
(ひらた こうじ)<了>
《追記》
私は本ブログシリーズで元村さんの著書『気になる科学』(KADOKAWA中経の文庫、2016年)の書評を書いているが、本稿で元村さんを「信頼してやまない」と評したが、その文からそのわけを引用すると「・・科学ジャーナリストの見た科学の事実と思想がよみがえっていた。私(ExcomAdvisor)は科学的アプローチの知見は少ないので、人間生活、家庭生活といった文明論的アプローチを考えることにした。新聞報道はそこに事実がどれだけ書かれ思想があるかだと思う。そこに新聞記者としての元村有希子があるのが本書『気になる科学』だ」。・・だから単なる枕言葉ではないことを銘記しておきたい。同書も味わっていただきたいと思う。
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