南三陸町の思い出
南三陸町の方々には、
以前、こんな形でお世話になりました。
私たちは、南三陸町の方に、
海を見せてもらいました。
漁船に乗せてもらいました。
カキやホヤの採り方を教えてもらいました。
記念写真を撮ってもらいましたした。
家に泊めてもらいました。
美味しい海の幸をご馳走してくれたおばさん。
いろいろなお話を聞かせてくれたおじさん。
自分の町のことを誇らしげに話してくれたっけ。
自分の孫や子供にするように、
あたたかく接してくれたことが忘れられない。
あたたかいひとときを、
一生の思い出を、
プレゼントしてもらいました。
ほんとうに、あたたかい人たちだった。
もう一度、おじさんとおばさんにお礼が言いたい。
でも、お礼を言いたくても、
もう、言えなくなってしまった。
あの船も、
家も、
おじさんもおばさんも、
どこか知らない遠い遠いところへ、
波が運んでしまった。
波がさらって行ってしまった三陸町の思い出。
どうすれば、
あなたがたに思いが届くのか、
今の私には、分からない。
どうすれば、
あなたがたの思いに
報いることができるのか。
どうすれば………。
今の私にできるのは、
あなたがたが生きたかったであろう、
今日のこの1日を、
生きること。
生きて、
あなたがたが生きた証しを、
語り継ぐこと。
今は、それくらいしか考えられない。
あとのことは、まだ分からない。
時が来たら、分かるかもしれない。
あなたがたが、
生きたかったであろう、
今日のこの一日を、
今のこの瞬間を、
大切に生きる。
まずそれが、
残された私たちに、
できること。
今を、大切に生きよう。
そこから、何かが始まる、
そう信じることしか、今はできない。