今回は高齢者施設での、あるエピソードを紹介したいと思います。
高田さん(仮名)という女性は、いつもフロア内をぐるぐると無表情で回っています。
目の前に何があっても、誰がいてもお構いなしというカンジで、とにかく休みなく歩いているんです。
初めてお会いした時は、「まるで回遊魚のようだな」と、失礼ながら思いました。
そして、いつ訪問しても、常に回遊魚のようにぐるぐる回っている高田さんの姿が目に入ってきます。
みんながひとつのフロアに集まって、工作をしていても、漢字クイズで盛り上がっている時も、それらの様子には目もくれず、ただひたすらぐるぐると、一心不乱に前を向いて歩いてらっしゃるわけです。
たまにホワイトボードの前で急に立ち止まり、奇声を上げることもあります。
そんなことが起きるたびに、周囲からは「どうしてあのひと、わざわざあんなところで邪魔するのかしら」なんてヒソヒソ声が聞こえてきます。
そんな高田さんに、ほんの少しずつ、変化が現れ始めます。
お会いする回数を重ねるたびに、なんとなく僕のことを気にするようになってきたんです。
具体的には、こんなカンジでした。
僕のいる前で立ち止まり、そのまま立ち去る。
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僕のいる前で立ち止まり、ニヤリとして立ち去る。
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僕のいる前で立ち止まり、ニヤリとして、あう~と奇声を発して立ち去る。
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僕のいる前で立ち止まり、ニヤリとして、あう~と奇声を発して、もう一回ニヤリとして立ち去る。
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僕のいる前で立ち止まり、ニヤリとして、あう~と奇声を発して、もう一回ニヤリとして、しばらくしてニコニコして、立ち去る。
「気にしてくれてるんだ」とか「ありがたいなぁ」という気持ちはありましたが、いかんせんコミュニケーションが取れないので、どうしたものかなぁと。
それでも顔を合わせる機会は増えていき、先日ついに(というかなんというか)、フロアを一周するごとに僕の肩をつついてニコニコしてくれる(!)ようになったんです。
相変わらず、言葉でのコミュニケーションは困難を極めているわけですが、「回遊魚だった、あの高田さんが!」と思うと、なんとも言えない気持ちになります。
当たり前ですが、会う頻度が高まれば高まるほど、馴染み感が出ることの証明とも言えますね。
いわゆる恋愛心理学で言うところの、「単純接触効果」というアレです。
確かに自分自身も、他の入居者の方よりも高田さんの方が接触回数が多い(回遊している分、何度も顔を合わせることになる)ので、ついつい気にしてしまっているんだなぁと。
そのうちに「ツンデレ」とか、高度なワザを繰り出してくるんじゃないかと、今から楽しみにしています。
高田さんに関しては、またいずれ、レポートすることになるかも知れません。
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