裏MOD名盤137 ブリティッシュ・フォークの武者 | 深夜超特急

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本日はご乗車ありがとうございます。

【問題】

 

デビュー当時ブリティッシュ・フォークの武者、


と謳われたアーティストは以下のどれかを選びなさい。

①ドノヴァン


ニック・ドレイク


③ティラノザウルス・レックス

 

④チューリップ

 

正解は④の今年デビュー50周年を迎えたチューリップでした。

 

今回ご紹介する彼等のデビュー作、

 

「魔法の黄色い靴」(1972年)の帯には、

 

「ブリティッシュフォークの武者

日本のリバプールこと福岡出身の5人組」

 

と書かれておりました。

 

 

Track listing

 

Side one

 

1. 魔法の黄色い靴

 

2. あいつが去った日

 

3. 千鳥橋渋滞

 

4. ハーモニー

 

5. おいらの気楽な商売

 

6. 私の小さな人生

 

Side two

 

1. もう笑わなくっちゃ

 

2. 言葉が出ない

 

3. 思えば遠くへ来たものだ

 

4. どうして僕は淋しいんだ

 

5. 風

 

6. 大魔法の黄色い靴

 

Personnel

 

財津和夫(ギター、ボーカル)

 

姫野達也(ギター、ピアノ、ボーカル)

 

阿部俊幸(ギター、ボーカル)

 

吉田彰(ベース、ボーカル)

 

上田雅利(ドラムス、ボーカル)

 

Additional musicians

 

大野克夫(ピアノ)

 

木田高介(編曲)

 

青木望(オーケストラアレンジ)

 

新田和長(プロデューサー)

 

 

何故日本人なのにブリティッシュ・フォークなのか、

 

私の推測ですが、

 

日本の音楽業界はグループサウンズ衰退後、

 

フォークソングが主流となり、

 

チューリップが所属していた東芝は、

 

ザ・フォーク・クルセダーズの登場を機に、

 

アングラ化する関西フォークとの差別化、

 

また別ベクトルで台頭しつつあった赤い鳥、

 

好敵手となるオフコースとの差異化と思われます。

 

しかしフォークと謳いながらも、

 

奏でられる音はジャケットから分かる通り、

 

ビートルズの影響大。

 

特にメジャーデビューシングルで、

 

和製ポール・マッカートニーこと財津和夫と、

 

元ジャックスの木田高助が邂逅し、

 

ランチャーズに次いでビートルズ的な方法論を用いた、

 

表題曲の「魔法の黄色の靴」

 

 

メンバー最年少の姫野達也が作曲し、

 

バンドの要である阿部俊幸が作詞をした、

 

ソロ初期のポールを彷彿させる、

 

(最後のコーラの瓶の音はビーチ・ボーイズ風)

 

「千鳥橋渋滞」

 

 

ポールを彷彿させるヴォードヴィルナンバーで、

 

ゲストの大野克夫がピアノを弾いた、

 

「おいらの気楽な商売」

 

 

幻のデビューシングルのセルフカバーで、

 

最晩年のビートルズといった、

 

「私の小さな人生」

 

 

ビートルズというか、

 

タイガースのコンセプトアルバム、

 

ヒューマン・ルネッサンスに入っていそうな、

 

ロックオペラ調の「もう笑わなくっちゃ」

 

 

2017年の七夕、

 

天竺から天国へ旅立った阿部が、

 

リンゴ・スターを想定したカントリーで、

 

(作曲は姫野)

 

同郷の海援隊の曲と紛らわしい、

 

「思えば遠くへ来たものだ」等、

 

聴きどころ満載。

 

 

本作を聴いた前述のオフコースの小田和正は、

 

「こりゃ、ヤラレタ」と思いました。

 

すごくいいアルバムだと思いましたね。

 

と絶賛しています。

 

そして本作発表から今年で半世紀、

 

スーパーデラックス版として、

 

アビーロードスタジオにて最新リマスター。

 

そしてCDの他に、

 

LPとデビューEPも当時の仕様で再発。

 

さらに当時の貴重なライヴ音源を初CD化。

 

バンド自体は目下、

 

財津、姫野、上田の他、

 

2代目のベーシストである宮城伸一郎を加え、

 

50周年記念ツアー真っ只中。

 

これは鎌倉殿の13人の北条時政が言う、

 

ちむどんどんする!

 

正月と三嶋明神の祭りがいっぺんに来た!

 

→TO BE CONTINUED

 

◼️次回予告

 

先日目出たく傘寿を迎えた、

 

ポール・マッカートニーの特集です。

 

お楽しみに。