裏MOD名盤122 ウェラーが愛したフォーク2 | 深夜超特急

深夜超特急

本日はご乗車ありがとうございます。

僕は人生に退屈したから

 

大工の弟子になつて勉強しよう。

 

ーーー萩原朔太郎「大工の弟子」

 

 

暮れゆく2020年、

 

生誕80年と没後40年により、

 

各音楽誌の表紙を飾ったジョン・レノン。

 

彼が凶弾に倒れたという報は、

 

同じ月に星となった、

 

米国フォーク界の不遇ポケモン、

 

ティム・ハーディンの訃報を黙殺。

 

40年を経た現在でも、

 

彼のウィキペディアには日本語版がなく、

 

校庭の片隅にひっそり干からびている、

 

セミの死骸扱い。

 

よって今回の小欄は救済措置として、

 

ボビー・ダーリンがカバーした、

 

「この小さな願い」(※)のヒットを受け、

 

アトコから蔵出しされた初期音源集、

 

「This Is Tim Hardin」(1967年)をご紹介します。

 

 

Track listing

 

Side one

 

1. I Can't Slow Down

 

2. Blues on the Ceilin

 

3. Stagger Lee

 

4. Hoochie Coochie Man

 

5. I've Been Working on the Railroad

 

Side two

 

1. 朝日のあたる家

 

2. Fast Freight

 

3. Cocaine Bill

 

4. You Got to Have More Than One Woman

 

5. Danville Dame

 

 

基本的にギター1本、

 

一切の装飾を排した弾き語りで、

 

このコロナ禍では自宅配信的な趣き。

 

「朝日のあたる家」や、

 

 

「Hoochie Coochie Man」の例を挙げるまでもなく、

 

 

全体的にブルース色が漂い、

 

(実際アマゾンミュージックのジャンルでは、

 

ミシシッピデルタ・カントリーブルース扱い)

 

グリニッジ・ヴィレッジ時代の戦友、

 

フレッド・ニールのカバー、

 

「Blues on the Ceili」では、

 

父親がジャズメンという素養を発揮。

 

 

逆にロック色が強いのは自作の、

 

「You Got to Have More Than One Woman」のみ。

 

 

そのポテンシャルの高さとレンジの広さは、

 

英国系ミュージシャンだけでも、

 

スモール・フェイセスをはじめ、

 

ロッド・スチュワートやポール・ウェラー、

 

近年ではモリッシーまで魅了。

 

他収録曲で重要なのは、

 

後のライヴ盤「Tim Hardin 3」や、

 

「Tim Hardin 4」に収録される、

 

自作の「Danville Dame」

 

 

ここでは他と異なる、

 

骨子となった素のバージョンが聴けます。

 

最後に本作とは関係ありませんが、

 

個人的に気になった点は、

 

ティムと交流のあったラヴィン・スプーンフル、

 

彼等のデビュー盤の裏ジャケには、

 

彼の名前が記された壁の写真がありますが、

 

ジョー・バトラーの頭部に隠れ、

 

文章の一部しか読めません。

 

全文をご存じの方はいらっしゃいませんか。

 

→TO BE CONTINUED

 

(※)原題は「If I Were A Carpenter」

 

◼️次回予告

 

来年生誕80年を迎える、

 

デヴィッド・ラフィンが再び登場。

 

お楽しみに。

 

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第92回 ウェラーが愛したフォーク