裏MOD名盤64 世界塔よ永遠に | 深夜超特急

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本日はご乗車ありがとうございます。

露と落ち 

 

露と消へにし 

 

我が身かな 

 

浪速(なにわ)のことは 

 

夢のまた夢

 

―――豊臣秀吉

 

 

さて今回は予告通り、

 

申年に因んで、

 

ザ・モンキーズ「Head」(1968年)をご紹介します。

 

ヘッド/モンキーズ

 

¥2,516
Amazon.co.jp

 

Side one


1. Opening Ceremony

 

2. Porpoise Song

 

3. Ditty Diego/War Chant

 

4. Circle Sky

 

5. Supplicio

 

6. Can You Dig It?

 

7. Gravy


Side two

 

1. Superstitious

 

2. As We Go Along

 

3. Dandruff?

 

4. Daddy's Song

 

5. Poll

 

6. Do I Have to Do This All Over Again

 

7. Swami

 

 

本作はモンキーズ主演の、

 

同名映画と同時発表された、

 

サウンドトラックです。

 

CDでは無味乾燥のアルバムジャケットですが、

 

(ライノの3枚組デラックス・エディションは除く)

 

オリジナル盤LPでは、

 

アンディ・ウォーホル顔負けの、

 

銀箔で装飾され、

 

手に取った人の頭(ヘッド)が反射する、

 

趣向を凝らした仕組みとなっており、

 

鏡京太郎もミラーマンに変身可能な、

 

美しいスリーヴデザインとなっています。

 

日本でも同じ仕様で発売されましたが、

 

(裏ジャケの写真は、

 

モノクロの米国盤と異なり何故かカラー)

 

映画本編はリアルタイムでは公開されず、

 

1981年、

 

リバイバルブームの波に乗じて、

 

今は亡き東急文化会館で上映されました。

 

その際付けられた邦題は、

 

テレビのモンキーズショーを彷彿させる、

 

「恋の合言葉HEAD!」

 

しかし実際の本編は、

 

これまで築き上げてきた、

 

アイドル像からの脱却/解体といった内容で、

 

いわば「ザ・モンキーズ 解体ショー」

 

またベトナム反戦運動の影響も色濃く、

 

サイケデリックな映像の合間に、

 

ベトコン(?)の処刑シーンや、

 

コカコーラの自販機の爆破といった、

 

自国への批判が分かり易く展開されます。

 

監督は前述のテレビショーの脚本を手掛け、

 

本作が初メガホンとなったボブ・ラフェルソン

 

また共同脚本を務めた、

 

ジャック・ニコルソンは本人役として、

 

画面にも登場しています。

 

サウンドトラックの方は、

 

挿入歌とダイアローグが半々の割合で、

 

映画に出演していた、

 

フランク・ザッパ「Uncle Meat」をはじめとする、

 

諸作品同様、

 

本編を観ずとも、

 

サイケデリックな実験作として、

 

楽しめる内容となっています。

 

とはいえ、

 

ウルトラセブンの「遊星より愛をこめて」や、

 

怪奇大作戦の「狂気人間」といった、

 

放送禁止作品が、

 

気軽にネットで観られる時代なので、

 

(法的には違法ですが)

 

みすみす見逃すテはないと思います。

 

さて前置きが長くなりましたが、

 

収録曲は以下の7曲。

 

まず口火を切るのは、

 

フリッパーズ・ギターの「Dolphin Song」の、

 

元ネタとなった、

 

ゴフィン&キング史上最もサイケな、

 

「Porpoise Song」


 

シングルカットされるも、

 

ビルボード62位と奮わず。

 

ギターはキング絡みで、

 

ダニー”クーチ”コーチマーが参加。

 

お次は前述のフリッパーズ・ギターが、

 

「世界塔よ永遠に」で堂々カバー(?)した、

 

「Ditty Diego/War Chant」は、

 

猿だけに沐猴(もっこう)にして冠(かん)す。

 

歌詞(?)は前述の、

 

ボブ・ラフェルソンと、

 

ジャック・ニコルソンの極悪コンビ。


 

「Circle Sky」はライヴ映えする、

 

マイク・ネスミスのオリジナル。

 

本編の演奏シーンでは、

 

衣装はバラバラながらも、

 

白一色で統一され、

 

もし私がバンドを組んだ際は、

 

一度真似をしてみたいものです。

 

 

モンキーズ流ラーガロックの、

 

「Can You Dig It?」は、

 

これまで周りのスタッフから軽視されていた、

 

天然キャラのピーター・トークの面目躍如。

 

個人的には彼のベストトラック。

 

ボーカルはミッキー・ドレンツ


 

「As We Go Along」は、

 

キャロル・キングとトニー・スターン作。

 

ギターはその彼女とダニー、

 

そしてニール・ヤングと、

 

ライ・クーダーが豪華共演。

 

ボーカルはミッキー。

 

前述のシングルのB面。


 

ビートルズの映画、

 

「マジカル・ミステリー・ツアー」の、

 

「Your Mother Should Know」と対を成す、

 

「Daddy's Song」は、

 

ハリー・ニルソンお得意のヴォードヴィル。

 

映画ではデイビー・ジョーンズが、

 

単身タキシードを着込み、

 

軽快にステップを踏み、

 

そのショーマン・シップぶりを遺憾なく発揮。

 

個人的にはこちらへ軍配。


 

「Do I Have to Do This All Over Again」は、

 

ピーター作による、

 

喧騒に満ちたガレージパンク。

 

ボーカルは彼自身で、

 

ギターはスティーヴン・スティルスが参加。

 

映画は和物ファン必見の、

 

ラリラリゲバゲバなダンスシーン有り。


 

最後に蛇足ですが、

 

映画の邦題にある「恋の合言葉」こと、

 

「Words」は収録されていません。

 

→TO BE CONTINUED

 

■次回予告

 

バレンタインやホワイトデーの贈物に最適な、

 

作品をご紹介します。

 

お楽しみに。