進化系考 | アッシュのブログ

進化系考

京楽機種が、かつてのような圧倒的な人気を保てなくなっていますね。
まだ新しい戦国無双ですら空席が目立ちますし、あしたのジョー以前の機種はガラガラです。

低迷の兆候はどこから始まったのでしょう?

仕事人3の頃が京楽の絶頂期だったと思います。
新枠で、Pフラッシュやお客を照射する赤いサーチライトを装備したあの頃です。
冬のソナタを筆頭に、ヒットを重ねてきた京楽は快調に突き進んでいきました。
1機種1スペックというのもこの頃の話です。

多少の浮き沈みはあっても、冬のソナタ2の甘デジまでは頂点にあったはず。
それが、キン肉マンとグラディエーターを出したところからケチがつきました。
進化系。
グラディエーターはともかく、大人気のネタで万全の構えでリリースされたはずのキン肉マンが、いわゆる特殊スペックであったことにお客がついていけなかった。
以後、おぼっちゃまくん、キン肉マンMAX、天国の階段、仮面ライダーMAX、美空ひばり不死鳥伝説、あしたのジョー・・・と、潜伏確変を多用した機種が続き、いまやお客はすっかり離れてしまいました。

言うまでもないですが、進化系って、京楽は本気で良い仕様とみなして採用したに違いありません。
苦肉の策とかじゃないはずです。

パチンコの基本を考えてみると、京楽の考えはわからなくもない。
パチンコは、何か当りを引くと玉が出る。
ハズレには見返りなし。
これが基本のルールです。
白か黒かの二分法。

大当たりをすれば玉がたくさん出て勝つ。
大当たりしなければ負ける。
そのシンプルさを崩したのが、連荘をもたらした確変&時短です。
確変で電サポ中なら、玉を減らすことなくすぐに次の大当たりが引ける。つまり、複数回の大当たりが確約される。
こうなると、確変大当たりを引けば勝ち、通常大当たりだと微妙、大当たりしなければ負け、という具合に3通りの結果が生まれます。
すでに二分法じゃなくなっていますね。

ラウンド振分や時短回数の振分は、本質的に確変と同じ作用をもたらします。
白か黒かではなく、その中間の灰色をもたらすのです。
(ただし、これらの振分の配分を大きく偏らせると、一部の甘デジwのように白か黒かの両極端に分かれる性能をもたらすので、これらも使いようであるとは言えます)

ここで、灰色の部分に着目したのが京楽。
勝ちか負けかという二分法から、確変採用による複雑化を経て、灰色の部分をうまく遊技に取り込むことでパチンコを「進化」させるのが、進化系のコンセプトだと私は理解しています。
白黒を問うだけのシンプルな遊技から、多様な展開をもたらすより刺激的な遊技への進化。
潜確は、内部状態を隠すという点で、多様な演出をつくりだすにはもってこいの仕掛けともいえます。
それまで細々と試みられていた特殊スペックとしての潜確をメインストリームで採用して、新しい領域を切り開くのが狙いだったと言ってよいのではないですかね。

ただ、結果をみるに、京楽の提案は、開始から3年経っても不評なままです。
2ちゃんねるの掲示板でクソ台に選ばれたとか、そういうのは一部の嗜好なのかもしれませんけれど、ホールでの稼動低下を見れば明らかですよね。
特に、最新機種ではない、ちょっと古い京楽機種の人気のなさは目に付きます。
固定ファンがとても少ない。
進化系ぱちんこは、パチンコの演出を、遊技を多様化したはずなのに、それをお客は誰も支持していないんじゃないかという疑問が生じるのです。


ハズレ(アウトに飲まれる玉)があるから当たりがある。
ハズレがなかったら当たりはあり得ません。
だから、私は「甘いスペック」という言葉に疑念をもつのです。
バランスの問題なのだから、スペックが甘ければ他のところがそれを補うように辛くなるだけでしょう。
どこが辛くてどこが甘いと面白くなるのか。それが重要な点です。

進化系は、潜確(および、潜確っぽい状態)を避けて通れないようにした点が最大の特徴です。
この灰色のゾーンが甘いのか辛いのかといえば、一般的な観点でいえば辛い仕様ですね。
内部では確変なのにわからない。内部では通常なのに確変だと思わされてしまう。
お客にとっては、追加投資以外の方法で確認できないのですから、辛い仕様と言い切ってよいでしょう。
追加投資を厭うようだと潜確を見逃してしまうかもしれませんし。

それでは、潜確の辛さに対し、どこを甘くしているのか。
これは、大当たり確率に対する出玉数・・・の期待値です。
確変大当たりで玉が出たときの勝ち分が大きくなる。


京楽は、灰色のゾーンを拡大して遊技に多様性をもたらしたはずなのに、お客の勝敗、すなわち玉の出入りという点では依然として白か黒かの領域にとらわれており、しかも勝敗の差を拡大する方向に働きかけているということになります。
勝敗の差を拡大すると、パチンコの仕組みからいって、負ける人が増えて勝つ人が減るという傾向が出ますよね。
機種として、あるいはホール全体ではバランスが取れているけれど、個々のお客にとっては、多くの場合、バランスが崩れたように見える恐れがあります。
遊技としては、お客の期待するポイントからバランス点がずれているうえに、それを一番はっきり感じさせるポイントが、潜確と小当たりなんですよね。
進化系の潜確&小当たりは、チャンスをイメージさせる一方で、玉が出る前から負けを直感させるのです。

繰り返し学習する中で、お客は「進化系はきつい・勝てない」というイメージを抱きやすい。
本質的に、進化系ぱちんこは重い方にバランス点がずれるから、MAXタイプとの相性は良いのかもしれませんが、実態以上に甘いふりをすると、長期的な客離れにつながる恐れがある、ということだと思います。

京楽が狙った、演出的な灰色のゾーンの効果はどうかというと、上記のように負けを直感させるとか、追加投資を要求されるということから、灰色のゾーンで遊技が多様化する以前に、灰色のゾーンに入ったことで嫌な感じを受けてしまうので、好き嫌いが大きく分かれるでしょう。嫌いな人は進化系から急速に離れていくはずです。だって、勝つために打つのに、負けや投資が頭に浮かぶ機種を打ちませんから。
ホールにBOX単位で入れる機種としては、これは致命的な欠点じゃないかと私は思うのです。

お客にとっては、進化系だろうと何だろうと、最後は出玉と投資金額との差という、白黒はっきりした結果しかありません。
結果は数字で出てしまうから、演出の多様性の介在する余地はあまりありませんね。
演出の多様性は、結果が出るまでの過程を多様化して、パチンコの面白さを高めるのが目的のはずです。
しかし、進化系ぱちんこは、過程だけでなく結果にまで介入しますから、過程の多様化と結果の辛さとが不可分なセットになってしまっています。
理屈からいえば、たくさん打ちまくればこの辛さの部分が解消されるはずですが、昨今のホール事情により釘がとてもきつい。打ちまくれば負けまくることになるでしょう。ゆえに大多数のお客にはそのような選択肢はないのです。
結局、無条件に進化系を楽しめるお客なんて、想像上のホールにしかいない。
実際のホールには、負けても負けてもパチンコを打つお客か、進化系を見ると嫌な気分になるお客しかいなくなっていくわけですよね。

ホールが釘を開けて済む問題でもありません。
ホールは利益を取らないといけないから、どれだけ開けたとしてもお客が負ける範囲に留まります。
従って、たくさん打つお客はたくさん負けるのが既定路線です。
たくさん打たなくてはバランスがとれない進化系ぱちんこが、たくさん打ってもバランスが取れないという矛盾。
もはや単なるきついパチンコです。
だから、進化系ぱちんこの方向性は、京楽がやることじゃなかった、と私は考えます。
進化系ぱちんこにはまだ見えていない成功点が仮にあるのだとしても、それはもっと責任をともなわないw他メーカーが研究すべきだったんじゃないか。あるいは、京楽の一部の機種で試行錯誤してみるべきだったんじゃないかと。
今の時期にこんなことを語ってもただの結果論ですけど、もうそろそろ見切りをつけるべきじゃないかと言いたいのです。