ザ・ブリッジ | アッシュのブログ

ザ・ブリッジ

"The Bridge"
1959年 西ドイツ映画
監督: ベルナルド・ヴィッキ
出演: フォルカー・ボネット、フランツ・ヴェッパほか

第二次大戦末期のヨーロッパ西部戦線を描いた戦争映画です。

敗色濃厚なドイツ。
しかし、まだ戦地となっていないドイツ国内では、それなりに日常生活が営まれています。
人々は敗戦を予期しながら、生き残ることを第一に考えており、本気で戦おうとはもはや考えていない様子です。
そんな中、7人の少年たちが国民擲弾兵に徴兵されます。

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国民擲弾兵とは、大戦末期にドイツで組織された軍部隊であり、主に少年や老人からなる二線級の兵士からなるものです。

わずかな訓練の後、彼らは、とある橋の防御部隊として配属されます。
指揮官1名、新兵7名が守る橋。
アメリカ軍の通過を阻止することが彼らの任務です。

しかし、実はこの橋は重要な戦略拠点などではなく、アメリカ軍の進軍を食い止めるように爆破命令が出されています。それが、指揮官の命令によって、彼らはその橋を守るものと思い込んでしまう。

夜明けの近づいた深夜、後方に向かった指揮官は戻らぬまま、7人の少年兵だけで橋の警備を続けます。

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前線から撤退してきた友軍が橋に到着。
トラックは兵隊で満員です。
荷台に乗れないためにステップにまで乗り込んでいます。
傷病兵も、鉄十字章をつけた古参兵も、誰もが必死になって、橋を渡って撤退してゆく。
何百人という兵隊が、少年たちを残して去っていきます。

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そして夜明けがきて、最後のトラックも去っていきました。

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橋の上でそれを見送る少年たち。

ここに1機の戦闘爆撃機が襲来し、機銃掃射で1人の少年が死亡。
そのショックも覚めやらぬうちに、とうとうアメリカ軍の地上部隊がやってきます。
戦車3両とトラック1台の小部隊ですが、ドイツの少年たちと比較すれば圧倒的な戦力です。

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軽機関銃2門とパンツァーファウスト、それに自動小銃1丁。
いわば絶望的な武装しかない中で抵抗を開始します。
橋を守るために。



戦後14年経った1959年の映画ですから、ここで描かれている物語は、観客の多くが実際に体験したようなものですね。
前半の牧歌的ですらある少年たちの日常風景と、後半の入隊後の戦争の描写は、いずれも当時のドイツ人の心を強く揺さぶったことでしょう。
国民擲弾兵が少年と老人で構成されている映像だけでも泣けたんじゃないかな。


また、戦争の記憶が新しい時代の作だけに描写がリアルな部分が随所にあります。
パンツァーファウストの後方に噴出した燃焼ガスで人が負傷するとか、機関銃がたびたびジャムを起こして止まるとか、開けた箇所に煙幕を張って撤退するとか、実体験のある世代ならではです。

反戦を訴える意味合いが濃厚な作品ですが、メッセージばかりが先行するようなことはなく、リアリティを備えた描写によってじっくりと観客に訴えかけるものであり、非常に優れた作品です。
安易にセリフで説明するのでなく、映画全体から理解させる。映画とはこうあるべきものです。


追記:
この映画、日本盤が出ていないかと思っていたんですが、IVCからDVDが出ています。
ただし、なぜか収録時間がオリジナルより短いです。
イギリス盤だとオリジナル通りの103分。日本盤は99分。
イギリスより日本の方が検閲が厳しくてカットが増えたということはないでしょうから、多分使用したマスターフィルムが違うのでしょう。
憶測ですが、数箇所の控えめながらグロい負傷描写がカットになっているんじゃないかな。

なお、イギリス盤にも落とし穴があります。
英語吹き替えの音声と英語の字幕とが違うんですよ。
ちょっと違う程度じゃなくて全く違う。
両方同時に使うとわけがわからなくなります。
さすがにストーリーは同じなので、ドイツ語音声で英語字幕か、英語音声で字幕無しかにすればよいのですけどね。