14時間 | アッシュのブログ

14時間

"Fourteen Hours"
アメリカ映画。1951年作品。
ヘンリー・ハサウェイ監督。ポール・ダグラス主演。


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フィルム・ノワールの1本とされる映画です。
しかし、フィルム・ノワールとしては異色であり、定式に当てはまらない点が多くみられます。
まず、犯罪映画じゃありませんし、主人公に絡む恋愛もありません。
また、背徳的な性質も希薄です。

ノワールっぽい点といえば、都会を舞台にしている点と、後半に夜のシーンがある点がまず挙げられるでしょうか。
ホテルの15階の窓外で展開されるサスペンス。

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外壁際に立つ男の真意が不明な点と、生死を賭けた状況が続く緊張感が、ノワール的な雰囲気を醸し出しています。


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ためらいながらも飛び降りようとする男を、思いとどまらせるべく説得する警官(ポール・ダグラス)。


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このシンプルな関係を、多角的に描くことでリアリティを増すような技法が使われています。

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下から見上げてみたり、

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見下ろしてみたり、

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下方で大きな動きがあるのを上方から捉えたり、上下方向の空間的な関係に対して観客の意識を向かわせます。


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一方、向かいのビルから報道するレポーターなど、都会的な視点もふんだんに盛り込まれています。
このあたりの臨場感は、フィルム・ノワールのドキュメンタリー的なタイプの作品と共通しているのではないでしょうか。

あまり言うとネタバレになるのでいけませんが、全体的な構成も、それだけ取り出すと実はあまりノワール的じゃないのに、全体としてはなんだかノワールっぽくなっている変わった映画です。
細かいところでは、グレース・ケリーがチョイ役で出演しています。
劇中では親子ほど歳が離れているのかと思わせるポール・ダグラスとリチャード・ベイスハートですが、若者役のベイスハートはこのとき既に30代後半であり、2人の年齢は7歳しか違わないというのも意外なところ。

こうしてDVD化されるのも当然というべき隠れた名作ですが、当時のプリントは1本しか現存していないらしいレア作です。忘れ去られなくて本当によかった。