しかし、タランチュラはただのバカ映画ではない | アッシュのブログ

しかし、タランチュラはただのバカ映画ではない

昨日の「タランチュラ」について少し補足しておきます。

この映画は、単なるバカ映画ではありません。
ただのバカ映画が、こんなにきっちりバカ映画のお約束を守るわけがない。
しかも1955年当時の特撮映画です。
怪獣映画やパニック映画というものがまだジャンルとして確立されていなかった時代です。

思うに、この映画は、わかりやすいステレオタイプな演出を徹底した娯楽作というコンセプトで制作されたのでしょう。
例えば、巨大クモを攻撃するのに自走砲や爆撃機じゃなくてジェット戦闘機の編隊が飛んでくるとか、大人向けの発想じゃありません。明らかに、子供と、童心を持った大人wの鑑賞のための作品です。

そして、1955年。
映画自体はすでに産業として成熟していたけれど、ホラー、SF、パニックなど、後の娯楽作の定番になるタイプの映画はまだジャンルとして明確になっていなかった時代です。
そうした時代背景も考え合わせると、この映画は後のバカ映画のひな形になったものじゃないでしょうか。
いわば、この映画がバカ映画なのではなく、この映画からバカ映画が派生したのだと。
始祖はこの映画だけじゃないでしょうけど、恐らくはこのバカ映画要素満載な演出が、当時としてはかなりのインパクトを与えたのだろうと思われます。



ところで、当時すでにバカ映画というものは認知されていたはずです。
コメディで言えばマルクス兄弟ものなんかは、キートンやチャップリンの映画とは違って、本当にバカな映画として認知されていたでしょう。あまりにもナンセンスですから。
また、ターザンものなんかも、そのバカっぽさを当時の人々はよくわかっていたんじゃないかと思います。

マンガやアニメが広まるのとあわせて、バカ映画的な映像演出に対するニーズが形成されていったというのも考えられます。

ミッキーマウスシリーズの「蒸気船ウィリー」が1928年。
その後、1930年代後半から1950年代にかけて主要な作品が発表されます。
スーパーマンが世に送り出されたのが1938年。アニメになったのが1941年。実写映画は1950年代になってから。
ルーニー・テューンズの原型が1930年スタート。バッグス・バニー登場が1940年で、ドルーピーが1943年。
トムとジェリーは1940年スタート。

1950年代の特撮映画ブームの中でバカ映画が続々と登場した背景には、既に過剰なギャグ表現やありえないシーンの再現がマンガやアニメの中で盛んに行われていたからなんじゃないでしょうか。
その中でひとつの様式とも言うべきレベルに達したのが「タランチュラ」なのかな。
映画の歴史に疎いので、あくまでも勝手な想像ですが。
1950年代はバカ映画の宝庫なので、もっと違う線があるのかもしれませんが、今はちょっとわかりません。

おいおい、映画の歴史を勉強しながらバカ映画をいろいろと観ていきたいですね。