【CEDEC2008】私的レポート | 遠藤雅伸公式blog「ゲームの神様」

【CEDEC2008】私的レポート

 今年も9/9~9/11の3日間でCEDEC2008が行われました。遠藤もいくつかのセッションを見ているので、そのレポートを!


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◆「CEDECの10年、これからの10年」

松原健二((株)コーエー代表取締役社長/CESA副会長兼技術委員会委員長)


 まず松原さん自体の経歴を紹介、実はこれって凄くよかったと思う。

 遠藤は東京大学大学院のコンテンツ創造科学産学連携教育プログラム で、松原さんと一緒に学生に教えてたりとか、平成19年度特許出願技術動向調査委員会の電子ゲーム部門の委員を一緒にやっていたりで、松原さんが日本の技術に対して大きな愛を持って、その支援に尽力していることを知っている。

 CESAでも技術委員会を設立して、CESAができる支援を推進するために頑張ってくれている。今回のCEDECから、アカデミックセッションが増えたり、海外から招待して最先端のゲーム開発の実態を紹介してもらったり、事前登録をやめて聴きたいセッションは立ち見してでも聴きたいという要望に応えたりと、随分その成果は感じられた。


 そんな松原さんなんだけど、コーエーの社長さんになってしまったりで、開発者から見ると「経営者」分類されて「技術や開発が分からない人」と勘違いされ安くなってしまった。人前での語り口が落ち着いているから余計なのかも知れないんだけど、実は色んなところで遠藤と議論してたりと、理論派でもあり情熱家でもあるんだよね。


 松原さんは大学を出てから、日立でメインフレームとかスパコンとかの開発に関わって、その後オラクルで仕事していた関係からコーエーのネットワーク部門に来た人で、バリバリの技術畑。その紹介の後は、CEDEC、10年の歴史の紹介と、今後のCEDECの在り方についての話となった。


 E3がより商業的なイベントとして縮小されてから、ゲーム界で最大のイベントはGDCに移った。アメリカでは産学連携が進んでいて、学術的な研究結果が商業利用され、その技術がGDCなどで公開されて、また新たな進歩を産んでいる。日本は、日本ならではの方法論でゲームが作られている。その手法や技術を皆が共有し、より新しい日本ならではのゲーム作りに向かうことを目的として、CEDECがその場となるよう、日本のゲーム製作技術を支援する。

 まぁ、こんな感じだと遠藤は思う。要するに、みんながゲームを作ってて工夫したところや困ったところを、日本語で紹介してお互い参考にしようよ。もう発売されちゃったゲームだったら、公開してもいいじゃないか!だね。

 日本の技術者の日本語以外苦手は相当のものだから(笑)、絶対底上げになったり、モチベーションアップに繋がると思う。転職で技術が流れるより、その人の手柄として発表した方が本人もうれしいし。


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◆「10年前のモバイルゲーム、10年後のモバイルゲーム」
遠藤雅伸
宮路 武((株)ジー・モード代表取締役社長)


モバイルセッションの皮切り


 遠藤自身のセッション。

 1999年に始まったiモードは、メールやインターネットなどなどの通信サービスを包括的に提供する、日本独自の携帯電話ビジネスモデルだ。01年からJAVAが搭載され、それに伴ってゲームの新しいプラットホームとなった。それ以来、端末は急激に進化し、モバイルゲームは家庭用ゲーム機が辿ってきた歴史を急速に追っている。
 ただし、その客層やプレイスタイルは全く異なり、ゲーム制作も同じ視点で行っていては失敗する。日本ではWebの閲覧にPCではなく携帯電話の利用が多く、個人的なメールは圧倒的に携帯電話によっている。そしてもちろん携帯電話は本来、通話するためのコミュニケーションツールだ。


 モバイルゲームは、一部のマニア向けに家庭用ゲームのマルチプラットホームとして機能している部分もあるが、マスとなるターゲットはカジュアルゲームユーザーとなる。
 無料ゲームなども一般化したこれからは、広い視点でビジネスモデルから企画構築できる能力と、モバイルの携帯性、通信機能、Webとの親和性に対する理解を持ったクリエイターだけが生き残れるのかも知れない。そのキーワードとなるのは「カジュアル」「コミュニケーション」だろう。

 会場は補助席が出るくらいに盛況だったんだけど、ちゃんとメッセージが伝わったかどうかは不安。メモを取っているタイミングが、モバイルに携わる人間なら既に直面している問題の部分で、多分モバイルゲームに詳しくないのかな?と思った。


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【CEDEC 2008】10年前のモバイルゲーム、10年後のモバイルゲーム

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◆「ゲーム開発のためのプロシージャル技術の応用」
三宅陽一郎(フロム・ソフトウェア技術部)


 ゲーム制作では、爆発的な量的規模の拡大に伴い、必要となる工数が飛躍的に増えている。特にレベルデザインの分野でこの傾向は強く、プロシージャル技術で問題解決し、コスト・納期の削減に繋げている。
 プロシージャル技術とは、コンテンツのデータなどをプログラムによって生成・発展・消失させる技術で、地形の自動生成、自然現象の制御などで効果を発揮している。リアルなビジュアルを求める大規模コンテンツでは、この技術がなければ工数削減が難しいまでになっている。

 プロシージャルはゲーム内に埋め込んで、動的にパラメータなどを生成する方法と、レベルデザインでパラメータのチューニングなどの効率化に用いる方法がある。
 いずれにせよ、人手による個別対処とプロシージャルの効率差と、プロシージャルプログラムに掛かる工数を考慮し、コストのボーダーラインを見極めることが大切。うまく利用することが、新世代機のゲーム制作では必須になってくるだろう。


 遠藤は昔からコンテンツデータを、プログラムによって求めることが多かった。でも完全な自動化では無味乾燥な気がして、人手で修正を加えながら使っていた。今はパズルの問題生成などにプロシージャル技術を応用しており、しっかりした評価関数があれば完全自動化も可能ではと考えている。

 ちなみに「遠藤雅伸の数魂」のことで、操作性とゲーム性の自己ルールによる希薄化、そして問題作成のプロシージャル化で大好きなナンプレを自分アレンジしたもの。


【CEDEC 2008】ゲーム開発のためのプロシージャル技術の応用

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◆「すべてはここからはじまった ~インベーダーゲーム30周年~」
西角友宏((株)ドリームス代表取締役社長)
岩谷 徹(東京工芸大学芸術学部教授)
Jamil Moledina(Think Services Game Group)
高橋利幸((株)ハドソン宣伝部『名人』)


 黎明期、アメリカの模倣から始まった日本のビデオゲームだが、ブレイクアウト(ブロック崩し)のゲーム性にアレンジを加え、全く新たなゲームとして昇華された2作品が、日本で、世界で大ヒットとなった。今さら説明は要らないと思うけど、西角さんが作った「インベーダー」と、岩谷さんが作った「パックマン」。
 いずれも限られたプログラム容量の中で、論理的に面白さの要素を組み上げ、演出の部分でも日本のゲームらしい遊びが入っている。お二人ともゲーム制作の一線からは引かれている現在だが、普遍の面白さはシンプルであるという点に共通点があった。


 もう1つの共通点が実は重要で「何でもやってしまったことが、世界初だった時代」ということ。これは黎明期だけに特徴的なことなんだけど、クリエイターとして何かを発信する立場に居るからには、「初」という驚きを提供することが必要だと思う。
 成熟期に入っている今は、ゲームメカニクスの大きな枠組みで全く新しいものを作るのが難しい(できないではない)ので、ゲームデザインだけではない外力に新規性がないとなかなか大きな「初」は作れない。例えば「WiiFit」みたいなものが、それに当たるんだけど、上田・海道「ICO」や飯野「Dの食卓」みたいな感性に訴える方法、森川「アストロノーカ」みたいに新しい理論の導入とか、まだまだ余地はあると思っている。


 さて、スゴく残念だったのは、会場から「最近のゲームで注目しているものは?」という質問に対して、即答できずに
西角「ゲームやってない」
岩谷「最近のゲームはちょっと…」と答えたこと。
 西角さんはどちらかというと技術者だし、現在は会社経営に携わる身だから許せるけど、岩谷さんは学校で後進を指導しているんだから許せない!
 講演終了後にすぐに「嘘でもいいから、モンハンとか言って欲しかった」と、それについて意見したんだけど、「それはできない」と返されてしまって、あぁやっぱり岩谷さんは岩谷さんなんだな(笑)と感心した。仲はいいんだけど、毎度意見は全然合わない。遠藤には信念が足りないんだろうね。


西角友宏氏(左から2人目)岩谷徹氏(右から2人目)

左から名人、西角氏、今回のコーディネーターを務めた新井氏、岩谷氏、Jamilさん

報道以外は写真を撮ってはいけないんだけど、終わった後のスナップなのでOK。


「スペースインベーダー」、「パックマン」を生みだした開発者からのメッセージ 高橋名人を司会に語られる、ゲームが生まれた背景と、次世代への模索

『スペースインベーダー』の西角氏、『パックマン』の岩谷氏――業界の黎明期を牽引したふたりが語るゲームの“本質

「スペースインベーダー」「パックマン」を振り返りつつ次世代を考える

【CEDEC 2008】インベーダーとパックマンの生みの親が次世代のクリエイターに贈る言葉

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 CEDECはどうやって講演者が決定しているのか、という話をしよう。遠藤は運営側の人間ではないので、公式な情報でもないし、正確でもないんだけど、呼ばれた側から見た印象ってことで。


 まずは大きなテーマが決められる。今回だったら、「CEDECラボ」「AI DAY」「CEDEC10年」とか。それと、「モバイル」や「ネットワーク」みたいなジャンル分けを合わせて、それぞれにコーディネーターさんが担当する形でセッションを決めていく。早くから決まっているのは、内容として必然確定しているものや、それについて話せる人が決め打ちできてスケジュールが押さえられたもの。遠藤のセッションとかは、早めに決まっていたね。

 逆にスケジュールの都合を付けるのが難しい大物とか、話題について話せる人を見つけるのに時間が掛かる場合はなかなか確定できない。見つけてくると言っても、企業の中にいる開発者を企業秘密があるのに引き出してこなければならないので、コーディネーターの力量が物を言うわけ。


 今回は10年の節目ということもあって、宮本茂さんが来てくれたけど、普段聞ける話とは全く異なるうえに、内容を公開しないものだったので、とても価値が高かった。公開しないというのは、報道をシャットアウトするだけではなく、事前に松原技術委員長より「個人のブログへの紹介も遠慮してくれ」と断りがあったくらいだから、もしどこかで紹介されていたらCESAに通報してほしい。

 それでも多くの人に直接聞いてほしいから、ビデオ中継とかで会場のキャパを確保してくれた運営の努力には感謝。そうそう、昭和女子大学には人見記念講堂というクラシックのコンサートにも使えるような、定員2300名の大ホールがあるので、あれを使えばもっと入れたのでは?という疑問を遠藤も持った。

遠藤「人見を使えなかったんですか?」

松原「いや、本当に使いたかったんですよ。でも夏休みの間に改修するとかで、工事が入っているんですよね。」

遠藤「えーっ、それじゃ仕方ないですね」

松原「それと、人見を使うのにはそれなりのネームバリューがないとダメらしいんです。でも、天下の宮本茂ですからね、そっちは問題なかったと思うですけど・・・」


 今回のCEDECは部屋のキャパが足りないという事態が、頻繁に起こっていたのだけど、それだけ大きな講堂がたくさんある場所はなかなかない。夏休みの大学だから何とかなっているのだけど、いずれは有明や幕張でやることになってしまうのか?


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◆「ゲームというビジネス、ビジネスというゲーム」
稲船敬二((株)カプコン常務執行役員/(株)ダレット代表取締役社長)


 ビジネスでは矛盾を克服した商品はヒットする。これは食べ物屋で「安くてうまい」という矛盾を克服しているところが繁盛するのと同じだ。クリエイターとしては、安くてうまいに当たるゲームを作ることが大切だが、経営的に見ると海外でも売れるコンテンツが大切でもある。
 しかし、日本と海外ではコンテンツの売れ方に差があり、日本を想定して作ったコンテンツでは海外で勝つことはできない。


 サッカーのブラジル戦で、前半0対3で負けていたとしたら「4点目を取られないようにしよう」とするより「1点でも取り返そう」とするのが当然。逆に3対0で勝っていたとしたら、「失点を2点以内にすませよう」と45分守るのはしんどい。むしろ「4点目を取りに行く」と攻撃していれば、守る時間は半分で済む。
 ビジネスもそれと同じで、攻め続けていた方が可能性も高く、気持ちも負けないのではないだろうか。


 経営者が引き気味になりたがることに対して、クリエイターの立場から攻めようという話でもあったのだが、多分に「ビジネスというゲーム」ではなく「ビジネスというギャンブル」な雰囲気で、カプコンらしい(笑)
 カプコンは看板タイトルのプロデューサが、一時期大量に独立した印象がある。逆に残ったのが稲船さんという感じもするのだが、自身が代表を務めるダレットでは、「ダレットワールド」とかの挑戦的なコンテンツも作っている。海外でも勝負に勝てるものを作ろうという姿勢が、日本代表なんだなぁと頼もしく思った。


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◆「いま、必要とされるゲームプロデュース」
岡本吉起((株)ゲームリパブリック代表取締役社長)


 ゲームリパブリックは、5年前に1人で始めて今は300人になった。この調子で行くと、5年後には9万人の大会社に、10年後には2700万人の会社になって北朝鮮と並ぶ。だから君らもみんないずれはゲムリパ社員だ。決して「下痢パブ」とは言うなよ!みたいなトークを交えてのセッション。


 プロデューサのやる仕事は、企画、人事、財務、管理からスタッフのガス抜きまで多様である。しかし、その全てをこなすプロデューサは稀少で、それを分業統括できれば十分に敏腕プロデューサとして評価される時代になった。
 カプコンの立て直しに対し、プロデューサの強化を行うことになったが、次のようなことにトライしている。まずはプロデューサ自身をキャラクター付けし、作品と名前を一致させることで品質を信じてもらえるようなブランディング。そのためにプロデューサごとに看板タイトルを持たせ、新たなプロデューサには無理にでも大作を当てはめてそれを作った。そうすることで「××を作ったあの××氏の最新作××」という言い方で、ユーザーの信頼感を得ることができるから。


 実名を交えた話でスゴく分かりやすかったのだが、客のノリが悪くてちょっと辛そうだった。途中で「この中で2ちゃんねるに書き込んでる人」と会場に問い掛けて、誰も手を挙げないので「はい、遠藤さんちゃんと手を挙げてください!」って言われたけど、その前からちゃんと手を挙げてたぞ(笑)。でも会場の笑いは皆無。
 岡本さんには、岡本吉起にしかできないプロデュース手法があるのだが、それを紹介するのではなく、一般的な話になっていて、専門学校の学校長的なテイストだった。残念ながら客の年齢層が高いのとスレてるので、芸風とマッチしてなかったんだけどね。


 岡本さんは実はすごく真面目な人なので、もうちょっとテーマを絞って、ウケを狙わなくても構わないオーディエンスの前で濃い話が聞きたいな。


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◆「ゲームとAIはホントに相性がいいのか?」
森川幸人((株)ムームー取締役社長)


 GA(Genetic Algorithm 遺伝的アリゴリズム)を使うことでゲームはどうなるのか?
 その実験的な作品でもあり、成功例でもあるのが「アストロノーカ」であった。プレイヤーが設置したトラップを避け、侵攻してくる敵が、GAによって進化してトラップを抜けるようになっていく。その手法の紹介。


 パラメータの2進数化と各ビットの重みつけ、動作シミュレーションによる成果の定量評価、親の決定と遺伝子の操作による世代交代。これがGAの基本的部分になる。遺伝子の操作は、2進数をDNAの塩基配列と同様の遺伝子として見て、親同士の遺伝子配列を途中で入れ替える「交叉」と、「突然変異」となるビット反転による。
 定量評価はゲームフィールドにセットされたトラップに対し、バックグランドでシミュレーションを行い、いくつかの重みの違う目的をクリアしたら得点が加算されるシステム。これで高得点を挙げたモデルほど確率が高くなるように、次世代の親を選んで淘汰を行う。


 ゲームへの応用では
・実際に画面に登場させるモデルは、バックグランドで計算しているモデルから数体だけ。これは全部見せてもテンポが悪いため。
・ゲーム1ターンに付き、世代交代を10世代行っている。これは1世代では違いがハッキリしないため。
・親の遺伝子を破棄せずに、親も次回の評価に子供と共に加えている。これは最適解であったかも知れない親の資質を確保するため。
・親の確保のためにモデル群から成績の低い2モデルを淘汰している。これは進化のスピードを上げるため。
・2ヵ所で交叉を行う2点交叉を採用、突然変異率は0.3%。これはトライ&エラーで導いたらしい、ご苦労様。

 こうした技術はゲーム内だけでなく、AIのパラメータ設定のためにも使うことができる。例えばレースゲームにおけるCPU車のパラメータ設定とか。
 ただし検証が難しいのが難点で、デバッグなどは全結果のダンプと見比べたりする必要も出てくる。またニューラルネットワーク的な方法もあるのだが、こちらはデバッグ不可能なブラックボックスとなるので、利用リスクは大きい。


 森川さんは、人工知能系ゲームでは日本を代表する作家だけど、どちらかというとグラフィックが本職。一度、ボールペン絵画の個展を見に行ったことがあるけど、細かいのは得意なんだよね。後、無類のボードゲーム好き(笑)。ボードゲームの方がAIは馴染むだろうけど、それをデジタル化するという手法は独特だ。今回の資料は、そのうちpdf化してムームーのサイトに上げてくれるらしい。絵が可愛いので、苦手な人でもわかりやすいかも知れない。
 プロシージャルのエンジンとしても使える方法だけに、遠藤も何かで使ってみたいんだけど、技術はそれを使うために企画を立てると変なモノができるという原則もあるので、まずはレベルデザイン系への応用からかな。


[CEDEC 2008#08]生き物を相手にするようなゲームを作る~遺伝的アルゴリズム

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◆「どこから作ればいいんだろう?」
宮本茂(任天堂(株)専務取締役情報開発本部長)


 セッションの内容は前述の通りの事情で明らかにできないが、遠藤は宮本さんとの付き合いが短くないけど、改めて初めて聞く内容が多かった。松原さんから「特に開発者に向けて、一般の人には分からないレベルの話で」というお願いがあったらしいけど、任天堂ならでは、宮本さんならではの話が聞けた。


 講演終了後に、控え室に行って講演の感想を伝えたんだけど「あれ、遠藤君とこんな話はせえへんかった?」と切り返されてしまった。ゲーム談義は随分してると思うんだけど、具体的な話より深い話の方が多いから、逆に「やっぱり」と思う部分が補完された感じで、多分一般の人とは違った面白さだったのかも知れない。
 是非、学会の研究会とかでも話してほしいと言ったんだけど、本当に講演系が苦手みたいなので、やっぱり京都へ行った時に個人的に訪ねるしか…。


 本当に内容が知りたいゲーム開発者の方は、遠藤のオフにでも参加してください。エッセンスだけはお伝えできると思います。ただし他言無用で(笑)


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◆「『龍が如く』が生み出すタイトルプロデュースの未来」
名越稔洋((株)セガCS研究開発本部R&Dクリエイティブオフィサー)


 「龍が如く」の最新作をテーマとして、名越節を語るというセッション。画像資料などは一切なし、フリートークの形で進行したので名越ファンなら大満足だったと思う。


 名越さんの信念や行動原理に関するキーワードで、面白かったのを紹介しよう。


「日本人が外国向けに作っても、この手のソフトは絶対的外れになる。だったら最初から日本向けにベタで作った方がいい。それが分かる外国人が買ってくれるはず。」
確かに日本向けに外国人が作ったモノって、いきなりセリフから違和感ある実情。アクションゲームは共通言語的で、世界でも勝負できるけど、ソニックが出すだけで売れるのは…、という話もあったが、己が道を進む名越さんらしい。


「必然性のある暴力は存在する。」
映画のレーティングに比べて、ゲームのレイティングが成熟していないことが問題でもある。ちょっと前にCEROレーティングに関するエントリーを書いたけど、成人指定されるのを嫌うと、15歳以上になってしまうが、それは本意ではないだろう。実際の購買者の年齢が高いということを考慮すると、成人指定によって表現規制が緩和されるのなら、性表現も含めてもっと攻めた作品が見れるかも知れない。ちょっと期待できそうだけど、それならそれで外しに行くのも名越流に思える(笑)。


「名越は説教がしたい!」
これは面白いと思った。多分名越ファンの多くは「説教されたい」派ではないだろうか?セガの番長として頑張ってほしいよね。


”『龍が如く』から見るタイトルプロデュースの今後”を名越稔洋氏が語る

セガ、名越稔洋氏が語る「タイトルプロデュースの未来」 「龍が如く」の“かっこいい大人”に託したゲーム開発への想い

絞ることで得た成功――「『龍が如く』を生み出すタイトルプロデュースの未来」

【CEDEC 2008】名越氏講演――『龍が如く3』はエンカウント戦闘がシームレスに

【CEDEC 2008】セガ名越氏講演「『龍が如く』はまず、世界展開を捨てた」

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◆「射影を用いた関節角度制限方法~3次元ローテーションと特異点の不思議~」
山口兼太郎((株)バンダイナムコゲームスコンテンツ制作本部)


 丁寧なデモプログラムを駆使した、3Dモデルのモーション制御の話と、楽しい実演を交えたトポロジー(位相幾何学)の話。内容についてはブログのような文字情報では伝えきれないの割愛。

 前半を要約すると、xyz系の従来型回転制御や、クォータニオンを利用した制御とは異なる、デザイナーが分かりやすい方法を「鉄拳6」で使ったよ。ということ。
 後半を要約すると、1つ高い次元でモノを見ると、その見え方が簡単になるということ。


 山口さんという人は初めてお会いしたのだけど、語り口も穏やかで学校の先生みたいだったです。質問の中で、トポロジーは難しいけど、どうやって理解したのか?というのがあって「実は私も理解はできていません」と答えられたのが人柄の良さだと思った。何かの機会があれば、多くの人に紹介したいんだけど「わかったつもり」までしか到達できないんだろうね。かく言う遠藤もそうなのだけど(笑)


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 会期中、初日と2日目にパーティーが開催された。

 初日の「Welcome party」は講演者と関係者だけのクローズドなパーティー。2日目の「Developers Night」はCEDEC参加者の懇親パーティー。遠藤は2日目がトリプルブッキングを調整しきれず不参加だったので、遠藤と会うのを楽しみにしていた人にはごめんなさい。


 その代わりと言っては何ですが、初日のパーティーの様子をレポートします。


ウェルカムパーティーの様子


 会場内はこんな感じでした。最初に松原さんの挨拶があった後、セッション順に講演者あるいはコーディネーターが数十秒の持ち時間で自己紹介します。中には専用のパワポとかまで用意している人がいて、海外からの参加者も含めてワイワイとやってました。


ゲーム界3大××のうち2人

高橋名人と一緒に


 お互いのブログねたとして、仲良し写真を確保。来年は2人で何かやろうか!という話もしましたが、さてどうなりますか(笑)

 講演者の中には遠藤や名人のファンも多く、30枚くらい持ってた名刺もはけてしまったし、写真も随分一緒に撮ったしだったのですが、一番ビックリした写真を紹介するかな。


お父さんが熱狂的ゼビウスファン!


 海上でアクアグリーンのTシャツを着て頑張ってくれていたのは、ボランティアのスタッフなんだけど、バンダイナムコゲームスの2009年内定者の方が数多く手伝ってくれていた。その中の一人、21歳の女の子なんだけど

「父がゲーム全然やらないんですけど、ゼビウスだけは超ファンなんです」だそうだ。多分、彼女のお父さんの方が遠藤より年下だと思うと、ゲームを作っていますと胸を張って言える大人に、自分がちゃんとなれているのかが気になる。