結局あのおじさんが無事に入国できたのか、知る由もなかったけれど、

私たちは何の問題もなく入国した。

 

着いたとたんに、先進国のカオリがする。

よく、先進国と途上国をわけるものはなんなんだろうと考える。

建物の新しさや美しさなどの違いだけでは決してないと思う。

バリ島の空港だって、2年ほど前に新しくなったばかりで充分に大きくクリーンなのだけど、でもそこには先進国のカオリはしないのである。

そして、それがいい雰囲気を出している。

 

私の知っているここ15年だけでも、インドネシアは急速に発展をとげたけれど、

私がそこに先進国のカオリを感じる日が来るのか、というと、なかなか来ないような気がする。

一方、例えばシンガポールは最初から最後まで先進国なのである。

私が感じ取っているのは、建物や街の美しさや機能性ではなく、国の経済力でもなく、そこに住む人が持っている考え方や世界観なのかもしれない。

 

到着後、まっすぐにタクシー乗り場に向かう。

若いころは、どうしたら一番安く動けるか事前にちゃんと調べてその通りに動いたものだけど、今は知らない土地でもタクシーに乗って行き先を告げるだけで楽に確実にホテルに到着できるという快適さを優先させている。

今回も予約したホテルが街のどの辺にあるのかあまり知らないままに、タクシーに運転手さんに私たちの身を委ねる。

 

オーストラリアは2度目だけれど、パースは初めて。

全く知らない土地だ。

パースは、「世界で最も美しい街」だとか「世界で最も住みたい街」だとか「世界で最も孤立した街」だとか言われているらしい。最後のは、周辺何千キロにわたって大都市が全くないという意味だって、物知りな人に教えてもらった。

オーストラリアは、手つかずの大自然から湧き立つワイルドなエネルギーと、先進国のもつ都会の人工的な洗練のバランスがちょうどいい、と思う。

例えばバリだと、自然の生命力が強すぎて、人間がそれに負けていると感じることもあるし、日本、特に東京をはじめとする都市は人工物が目につきすぎる。

オーストラリアは両方のバランスがとれているような気がする。

 

1日目は、特に予定を決めていなかったので、とりあえず歩きながら店を探して、どこかでご飯を食べようということになった。

昔はガイドブックを隅から隅まで読んで行きたいところの目星をつけて計画を立てたものだけど、今はあまりそれをしなくなった。

私がしなくても、誰かが素敵な場所に導いてくれることもあるし、そのとき出会ったことや人、起こってくることを楽しみにする気持ちが大きい。

 

街を少し歩くだけで、ほとんどこの街のことなんて何も知らないのに、ここが「世界で最も美しい街」であることにだんだん疑いがなくなってくる。

世界のすべての街を知っているわけではもちろんないのだけど。

そして、人口密度が圧倒的に低い、落ち着きと平和の街だと感じる。

人々は誰もせかせかしておらず、バスや車の運転手さんは、必ず私たちに道を譲ってくれ、ときには手まで振ってくれる。

道幅は広く、歩道も広く歩きやすく、街全体が人の生活にとても優しい設計になっている。

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こんなどこからも遠く離れた世界の果てのような場所に、誰が最初に街をつくろうとしたのだろう、どのように今のように発展していったのだろうか、とても興味がわく。

商店街もごちゃごちゃしておらず、大規模ショッピングセンターにお客さんをとられたような悲壮感が一切なく、お店のひとつひとつが個性を主張しながらも、あるべきところにきちんとおさまっている感じ。肉屋さんがちゃんと肉屋さんとして機能しているような、あたたかい都会。

そして、空の透明感が際立っていて美しい。

夏の北海道の空と似ていると思った。

 

その日街を歩き始めたのは、14時過ぎだったが、飲食店以外の店舗は、ほとんど17時で閉まってしまう。

そしてみんな、友人や家族と時間を過ごすのだろう。

街が醸し出している幸福感は、仕事とプライベートのバランスが取れている人が多いことの現れでもあると思う。

 

夕刻からは電車に乗って、フリーマントルという海辺の地区に繰り出した。

平日の夕方だったけれども、電車は混んでいなかった。

この街に、通勤ラッシュなんてあるのだろうか?

フリーマントルでは、白くて美しいカモメが優雅に街中を飛んだり歩いたりしていた。海辺以外でカモメを見るのは新鮮だった。
日本人にはなじみがない、でも映画や本で見たような歴史を感じさせる街で、陽気な店員さんが私たちにビールとワインと地元のシーフードを提供してくれた幸せな時間。

 

オーストラリアは世界的に見ても物価が高いことは知っていたけれど、パースももちろん例外ではない。物価に比例して、ここで働く人たちの給料も高い水準だそうだ。

働く人に還元されているのであれば、物価が高いことはいいことだと思う。

旅行者にとっては、飲食物の物価がびっくりするほど高いとは感じるけれど、ここは本当に地上の楽園と言って差し支えない街だな、ここで仕事を得て暮らしていく人は幸せだなと、初日にして思う。

 

世界は平等じゃない。

こんな美しくゆったりとした光あふれた街に住むのと、空気が澱んで人や車や建物でキュウキュウとしている街に住むことは、人生の質を大きく左右する。 

もちろんどこに住んでいたって幸せを見つけられるけれど、その難易度は明らかに違う。

でも、どこに住むかは選べるから、やっぱり平等なのかもしれない。

私もこれまで住みたい街に住もうと試行錯誤した人生だった。
住みたい街に住む自由を選択するのに必要なのは、ただ少しの幸せになる勇気だと思う。
 

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