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何かにならなくったっていい
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こんにちは。
心理セラピストの渡邉千恵です。
先日、樹木希林さん主演の
『あん』という映画を観ました。
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どら焼き屋「どら春」の雇われ店長として
単調な日々をこなしていた千太郎(永瀬正敏)。
ある日、
一人の老女徳江(樹木希林)が現れ、
どらやきの粒あん作りを任せることに。
徳江の作った粒あんはあまりに美味しく、
みるみるうちに店は繁盛し
行列のできる店に。
けれどハンセン病の後遺症で
曲がって固まった徳江の手を観て
心ない噂が広がり
徳江は辞めざるを得なくなる…
そんなストーリーです。
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ハンセン病の方の生涯を描いた映画です。
そういうと、特別な人の、
あまり身近な話ではないように
思うかもしれません。
でもね、この映画が描いているのは
人間が生きるときに誰もが抱える問い、
人は何のためにいきるのか?
ということなんです。
驚くことに日本では
ほんの20年前、1996年に
らい病予防法が撤廃されるまで、
この病気を患った方々は全員
完治しても完全隔離されていたのです。
患者はハンセン病を発病すると
両親や家族から引き離され
人里離れた完全隔離施設に収容され
例え完治しても
二度と家族には会えず
戸籍からも抹消され
亡くなってさえも
故郷に戻ることができなかったんです。
何の罪もないんです。
ただ、ハンセン病になっただけなんです。
それだけで
悪魔のように扱われ
人間の尊厳と自由を奪われ
社会からはじき出されてしまったんです。
この映画は
人が人を差別することだったり
社会的不正義だったりがなぜ起こるのか?
という重いテーマを内包していて
観終わってからずっと
喉の奥に小さな
けれど鋭い骨がひっかかっているような
もどかしさが残っているのだけれど…
私がね、
この映画を観て一番感じたこと…
それは
人は“社会”で生きているうちに
人の役に立たなければ、とか
社会の役に立たなければ
生きている意味がない、
とどこかで
思い込んでしまっているのだけれど
本当に何かの役に立たなければ
何かをしなければ
人は生きている意味がないのだろうか?
ということでした。
簡単に語れる話ではないから
これはあくまで私が観じたことを書きます。
私自身もいつもそのことを問いながら
生きてきました。
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私たちはこの世を
見るために
聴くために
生まれてきた。
だから何かにならなくったって
意味があるのよ。
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自由と尊厳を奪われ
悲惨を味わい尽くし
それでもなお希望を失わなかった徳江さんが
最期に
千太郎に贈った言葉です。
徳江さんはね、
月や桜や
あんを作る材料の小豆と語るんです。
物理学で
この世界のすべては
自分が認知をすることで
初めて存在することができる、
人間原理論という説があるそうです。
平たくいうと
“月”は
私たちがそれを見ることで
それが初めて世界に存在する、
という見方です。
ずいぶんと
人間に都合のよい解釈な気もしますが
これはある意味
真理でもあると思います。
徳江さんが
大豆ひと粒ひと粒を
まるで宝物のように
愛おしんでおしゃべりをしながら
あんを作っていくシーン。
そして曲がった腰を精一杯伸ばして
空を見上げてお月様に語りかけるシーン。
徳江さんの見ていた
感じていたその世界は
他の誰のそれよりも豊かで
美しい輝きに満ちあふれていて
それはまさに
徳江さんのまなこを通してしか
現れることがなかった世界です。
それを思う時
確かに
人が見る世界は
その人がいて
初めて存在するのです。
徳江さんは
塀の中に閉じ込められ
不自由だったけれども
心はいつも月や星や空と語り合い
どこにでも自由に飛んでいくことができていました。
そして徳江さんが見る世界では
月も星々も花も樹も
きらきらとして
無限の輝きと美しさを
放っているのです。
その一方で
どら焼き屋の千太郎は
いつでも自由に
自分の人生を選択できるのに
過去の失敗をひきずって
自分が自分を閉じ込めて
不自由な世界を生きていました。
世界をどう捉え
どう生きるか?
究極のところ
その人次第です。
そして
いろいろな考えがあると思います。
それでも私は
私たちがこの世にいるということは
社会に受け入れられなくったって
誰かに承認されなくったって
この星に愛され
必要とされているから生まれてきた
何にも代え難い存在なのだ。
そう、想っています。
宇宙飛行士ジェームス・アーウィンが
立花隆との対談の中で
宇宙から見た地球を
こんな風に語っていました。
「…宇宙空間から地球の姿を見たとき、
この地球が
宇宙において
全く特別の存在であることが
どう否定しようもなくわかった。
地球と、
地球以外の宇宙のすべてとは、
全くの別物なのだ。
その否定しがたい事実が
目の前に突きつけられる。
そのとき、
これは
神の直接の創造物以外では
ありえないと思った」
〜『宇宙からの帰還』〜
絶望の底で
それでもなお生きることを
諦めなかった徳江さんの
希望の光となったのは
地球そのもののもつ
美しさ優しさでした。
宇宙から見たアーウィンが
神々しいまでに美しい
神の創造物と讃えた地球。
その星に生まれた私たちも
この星の一部として
なくてはならなくて
そして本当にかけがえのない
奇蹟のような存在なのだと思うのです。
先日、星野道夫さんの写真を観ている時
なぜか徳江さんの声が
頭の中をこだましていました。
私たちはこの世界を
見るために
聞くために
生まれてきた…
今日はとりとめのない話になりました。
それでも最後までお付き合いくださって
ありがとうございます。
映画『あん』はレンタルDVDで借りることができます。
☆ 映画『あん』予告編はこちらから
☆ 樹木希林/『あん』インタビューはこちらから
今日も読んでくださったことに
心からの感謝を込めて。
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