
と言っても、ほとんどの方が知らないと思うから、ちょっと説明をすると、
1989年にドイツで生まれた、真っ暗闇のソーシャル・エンターテイメント。参加者は完全に光を遮断した空間の中へ、何人かとグループを組んで入り、暗闇のエキスパートであるアテンド(視覚障害者)のサポートのもと、中を探検し、様々なシーンを体験する。日本のダイアログは、1999年から東京・外苑前に常設。
となります。
要するに正真正銘の真っ暗闇の中で約1時間色々な体験をする訳です。
ところで、みなさんは、ほのかな灯り一つない真っ暗闇って体験したことがありますか?
まず、明る過ぎる都会ではあり得ないし、どんな田舎に行ったって、夜空には星がまたたいています。
だからね、人が本当にどんなに目を凝らしてもまったく何も見えない真っ暗闇を経験することって、日常的にはあり得ないのではないかと思います。
参加者は白杖という視覚障害者が使う杖を渡されて、ただ暗黒の世界を、その杖と、アテンドの声を頼りに歩くんです。
正直、暗闇の世界って本当にこわくって、最初は一歩踏み出すことさえできなかったりします。
私なんて、日頃からなんにもない道でも意味なくころんだりするほど、トロいので(> <;;
それはもう言葉に表現できないぐらいの恐怖で、めっちゃへっぴり腰になってしまい、出てきたら腰の辺りが筋肉痛でした(笑)
でもね、慣れるに従ってビクビクしながらも、どんどん楽しくなって、次は何が起こるんだろうって楽しくなってくる。
視覚が遮断された分、聴覚、臭覚、触覚がどんどん鋭敏になってきて、
わらの匂いと感触ってこんなだったんだ、とか
土の肌触りだったり、水の匂いと音がものすごく涼しげに聴こえたり、
畳の匂いや感触がとってもなつかしかったり、
あらゆることが、新鮮で感動な訳です。
それは、私達が子供の頃に、初めて出会うものすべてが、とっても新鮮で感動だったように。
確かに真っ暗闇はこわくて、ちゃんと歩けないし不自由です。
私達が日常生活の中で、いかに視覚というものに頼っているかを思い知らされます。
でもね、不自由だけれど、なにも見えないけれど、そこにはいままで体験したこともないような、新しい世界が見えてくる。人間が本来は持っていたのに、あまりに便利な現代社会で忘れてしまったような…
本当は生きる上で忘れてはいけない大事な感覚…
そして、もう一つ思ったことが、漆黒の世界では、私達はまったく無力なので、アテンドの指示に従って、グループを組んだ仲間が、声を掛け合ったり、手を取り合ったりして助け合うんですね。
仲間と言っても、数分前にチームを組まされたまったくの赤の他人です(笑)
でも一歩暗闇に入ったら、一人ではなんにもできないから、お互いが声を掛け合い、助け合いながら進む。その手のぬくもりだったり、声だったりが、ものすごくあたたかくてありがたい訳です。
漆黒の世界では、まったく姿かたちはわからないから、年齢も性別も職業もまったく関係ない。
どんなにスタイルが良くても、美人でもハンサムでも見えない訳ですから(笑) 裸で歩いていたって恥ずかしくない(笑)
人は人を見る時、視覚から入ってしまって、見えるところでしか判断しなくなってしまうけれど、実はなんにも本当のところなんて分かってない。
ニコニコしながら心で泣いているとか、
温厚そうに見えて実は腹黒いとか(笑)
だから、考えてみたら、これほど平等で偏見のない世界はないのかもしれません。
ただ一人の人間として存在する。そして、それぞれが単体じゃなくて、漆黒の世界では闇に解け合ってなんの区別もない。みんな一緒なんです。
そして助け合うことで、初めて生きていける。
世界のはじまりは、実はこんなシンプルなことだったんじゃないかと。。
そして世界が破滅の危機に面している現代社会においての活路でもあるのでは、と。
人は本当に様々な可能性を秘めていて、いつでも変わることができるし、
心ひとつで、いくらでも豊かに生きることができる。
そんなことを心から実感できるダイアログは、本当に貴重な存在です。

このうちわは、暗闇で書いたものなんですが、明るいところで見たら、結構ちゃんと書けていて、なんだかとっても嬉しくなりました♫