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クスリのはてな

現役薬剤師が語る、薬の正しい使い方とは。間違った知識があなただけでなく、患者さんを苦しめることになります。このブログでは主に看護師や介護士の方を対象にしていますが、一般の方や薬剤師の方も読んで頂きご意見があればお願いします。

PSD(post stroke depression)への抗うつ薬の効果ですが、通常のうつ症状と同様に抗うつ薬による治療は有効なようです。
特に、PSD特有のアルゴニズムは未だ確率はされていませんが、老年性うつ病のアルゴニズムにそった治療を使用するといいようです。

老年性うつ病は、患者が高齢なことを考えると様々な身体合併症をもっている可能性があるため薬剤の選択に注意が必要です。

三環系・四環系抗うつ薬
 抗コリン作用
  認知症状の悪化・尿閉・便秘・イレウス・せん妄・口渇
 抗ヒスタミン作用
  過鎮静・眠気(転倒リスクアップ)
 α1阻害作用
  起立性低血圧

スルピリド(ドグマチール)
 抗ドパミン作用
  パーキンソニズム

以上のことから古典的抗うつ薬は使いにくいです。

よって第一選択はSSRIまたはSNRIになります。

高齢者の患者は様々な身体合併症を有していることから、他にも薬剤を併用している場合が多く
薬物相互作用の多いフルボキサミン(ルボックス・デプロメール)やパロキセチン(パキシル)は使い勝手が悪いといえます。

よって薬物代謝酵素への影響が少ないセルトラリン(ジェイゾロフト)やミルナシプラン(トレドミン)が良いとされていますが、現在はレクサプロ(SSRI)やサインバルタ(SNRI)も治療の選択のひとつとして使用できます。

不安の強い患者にはSSRI
精神運動抑制が強い患者にはSNRI

を選択の基準にすると良いようです。

効果判定はすぐに行わず4~6週間は使用してみることが必要です。
そこで効果がない場合は異なるSSRIやSNRIを使用しさらに4~6週間経過観察を行います。

どれも効果がでない場合は最終手段として三環系のなかでも抗コリン作用の少ない
ノルトリプチリン(ノリトレン)が好ましいようです。

治療アルゴニズムには記載がありませんが、現在はNaSSA(リフレックス・レメロン)という薬剤もあります。こちらの薬は眠気が高頻度で出現するため転倒リスクから第一選択にはならないのではないかと思いますが、第二、第三の選択肢としてはありだと思います。



ここからは個人的な意見ですが、ジェイゾロフトは副作用の面でドロップアウトする人は少ないですが、効果がいまいちで中止する方が多いような気がします。
新薬であるレクサプロも外来患者さんに数例使用していますが、継続して使用する人は少ないです。
世界的にはレクサプロが忍容性や、有効性において優れているとされています(下記参照)が日本人にあっていないんでしょうかね・・(;´_`)

併用薬が問題ないようなら個人的にはパロキセチンの方が効果が高いように思います。
(世界的にみると有効性ランクが超低いですが、経験的に継続率が高いように思います)
しかし中止する際に問題となりますし、副作用のでやすい薬剤ということを考慮すると
やはり高齢者(PSD患者)の第一選択はジェイゾロフトやサインバルタがいいのかなぁと思います。

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有効性の指標による抗うつ剤の世界ランキング(最も良い治療である可能性(%))
①ミルタザピン(レメロン)     24.4
②エスシタロプラム(レクサプロ)  23.7
③ベンラファキシン(エフェクサー) 22.3
④セルトラリン(ジェイゾロフト)  20.3
⑤シタロプラム(セレクサ)     3.4
⑥ミルナシプラン(トレドミン)   2.7
⑦ブプロピオン(ウエルブトリン)  2.0
⑧デュロキセチン(サインバルタ)   0.9
⑨フルボキサミン(デプロメール)  0.7
⑩パロキセチン(パキシル)     0.1
⑪フルオキセチン(プロザック)   0.0
⑫レボキセチン(Davedax)      0.0

受容率(忍容性)の指標による抗うつ剤の世界ランキング(最も良い治療である可能性(%))
①エスシタロプラム(レクサプロ)  27.6
②セルトラリン(ジェイゾロフト)  21.3
③ブプロピオン(ウエルブトリン)  19.3
④シタロプラム(セレクサ)     18.7
⑤ミルナシプラン(トレドミン)   7.1
⑥ミルタザピン(レメロン)     4.4
⑦フルオキセチン(プロザック)   3.4
⑧ベンラファキシン(エフェクサー) 0.9
⑨デュロキセチン(サインバルタ)   0.7
⑩フルボキサミン(デプロメール)  0.4
⑪パロキセチン(パキシル)     0.2
⑫レボキセチン(Davedax)      0.1

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参考文献
1)山下英尚:SSRIとSNRIによる脳卒中後うつ病の治療,成人病と生活習慣病37巻4号:457-462,2007.4
2)小沢寛樹,山田真吾,斎藤利和:老年期の気分障害,気分障害の薬物治療アルゴニズム,精神科薬物療法研究会編,株式会社じほう,東京,2003,pp101-110