先日またまたロンドンのジャパンハウスでアイヌについての講演とワークショップに参加してきた。今回はアイヌ刺繍について。世界各地で施したアイヌ刺繍をパッチワークにして、今年春にオープンする国立アイヌ民族博物館で展示されるというもの。知らないこともたくさんあり、とても勉強にはなったが、何だか説明不足だったような感じで、自分で少し調べてみた。
アイヌ文様 = 魔除けであった
基本的なデザイン = モレウ(渦巻)・アイウシ(棘紋、とげ)・シク(目紋、鎖模様)
アイヌの女性はチシポと呼ばれる針入れを常に携帯していて、いつでもどこでも針仕事や刺繍をしていたそう。昨年Beamsでも取り扱いがあったらしい。
https://www.beams.co.jp/blog/beams_japan/45574/
冬の間に女性は家族に危険が及ばないように一針一針思いを込めて刺繍をしたそう。そんな思いも魔除けになっていたのかもしれない。模様は唐草模様にもあるような渦巻だが、もっと力強いものが多い感じだ。縫い始め、またとがっているデザインの箇所はとげのように一針出す。今回はチェーンステッチでデザインの線の上を鎖模様にした。これで、上にあるように3つのデザインパターンをすべて網羅している。
デザインの意味は何ですかという質問も出た。私も知りたかったことだ。しかし、答えは’自然発生したもの’とか、’他人に触発されて新しいデザインがどんどん発生していった’、とか何だか煮え切れない感じの答えだった。少し調べてみると、実際は自然事象を抽象化(例えば水・火・風など)したものだったらしい。アイヌは森羅万象にカムイ(神)がいると信じているので、それを表現した文様はそれだけで魔除けになったのだろうか。しかし言葉を持たなかったアイヌ文化なので、はっきりしたことはわからないそう。なので、講演会で聞いた答えはまんざら間違えでもないのだろう。
アイヌ宗教はいわゆるアニミズム(animisum)という、生物・無機質を問わない全てのものに霊魂が宿っているという、原始宗教のようなものである。日本の神道もアニミズムの色を帯びている。世界の各地で、3大宗教が生まれる前はこのような原始宗教が主なものであった。私は今までそういうものをまとめてペイガニズム(paganism)と呼んでいたが、それは実は差別用語・侮辱後になるそう。調べてみてよかった。キリスト教が先に浸透していた都会の者たちが、軽蔑の意味を込めて田舎者でキリスト教を信仰していない・原始宗教を信じている者のことをこのように読んだらしい。アニミズムのアニマはラテン語に由来し、気息・霊魂・生命といった意味である。
さて、このアイヌ刺繍に戻るが、アイヌの女性達は他の文化でもそうであったように母から娘へ針仕事を伝授していったそう。時間を作ってゆったりと刺繍などをする時間を娘達と設けても楽しいかなと思う。今回のワークショップにお友達の7歳の娘さんも参加していて、夢中になってやっていた。うちのも連れていこうかなとは思ったが、もうすぐ7歳の上の娘はともかく、5歳になったばかりの下の子のヘルプで終わりそうだったので、私は連れて行かなかった。北海道のある地域ではアイヌ刺繍を小学四年生から教えているそう。もう少ししたら家で一緒にできるかな。