詩人三代目魚武濱田成夫 | EVERYBODY KNOWS ?

詩人三代目魚武濱田成夫

三代目魚武濱田成夫と東


NO.529 5/5 O.A GUEST:三代目魚武濱田成夫さん


長いこと続けているとスタッフが入れ替わったり何だり、

よりフットワーク軽くラジオを制作するスタイルになってきた。


この日のゲストトークは話ながらミキサーもどきもやるという

ある意味アメリカンスタイル(?)のDJでゲストを迎えた。


記憶によれば、2001年12月以来のご出演の魚武さん。

詩のイベントで3度ほどご一緒したり、共通の知人がいたりでその時期はよく顔を合わせていたが、

2枚組のアルバムを出されたということで久しぶりに連絡を取ってお越し頂いた次第。

再会までの時間ご活躍されていたご様子。

その頃は確か日本中を1ヶ月ごと各地遊牧民のように住み替えながら暮らすのだと言ってたっけ。

その旅も一段落しているとのこと。


1枚は声だけ、ポエトリー・リーディング表現のみで構成された「NAKED」。

そして音楽と詩を並走させた「ANTHEMS」。


僕は主にバンドスタイルで詩と音楽を並走させようと実験を試みている。

魚武さんはソロ。

スタンスは異なれど、歌ではないコトバをどう表現するかを

互いにパフォーマンス含めて実験し続けている。


「ミュージシャンとどんなセッションを試みていました?」

「波形プレイとか(笑)」

スタジオで映し出される声の波形が立たない所に音を差してもらうという。

分りやすく言えば声とぶつからない音の隙間で楽器を鳴らすということ。

非常に納得の出来るお話。

しゃべりながら、時間を気にしながら、

同じスタンスでものづくりをしている氏に共感。

気持ちを交歓。

「ビートルズやストーンズは歌ってるからなぁ。俺歌ってないもん(笑)」

勇気の出る発言。


彼ほどパブリックに自己愛(俺)を恥ずかしげも無く主張しているアーティストを知らない。

形態の差こそあれ、何事かの表現者は自己愛の塊である。

「俺、俺」としつこいくらい主張するが、聞く側に投げた瞬間受け手のものになり得る。

歌と同じ。


魚武さんの詩は「俺詩」に留まらず、子供の視点というか、非常に分りやすい

無垢な当たり前だけど大人になると言わなくなってしまうようなテーマの寓話的な詩も非常にいい。

ライブでの押せ押せの「俺大好き詩」のエネルギッシュさに加え、

個人的にはそこが好きな部分でもある。


スタジオでは「ほんとの一」という詩をリーディングしてもらう。


「子供には負けたくないんですよ!」

よく絵や詩など

「子供の無垢さにはかなわない」と言われるが、

「子供になぞ負けてたまるか!」と冗談交じりに本気に語れることは素敵だ。

子供の日らしいトークだったんではと思う。


パブリックイメージで好き嫌いが別れる人ではあるが、

実際会った人は誰でも好きになる人なのではないだろうか。

それくらい丁寧で腰が低い。見習わなくてはね。

そしてもっとギラギラしないとな。


「エブリバディノウズ」は引き出した話をリスナーに届けるのと同時に、

僕も学ぶ場所「SCHOOL OF RADIO」なのだ。


「今度一緒にライブやりましょう」と挨拶しながら再会しましょうと期した。



●EPISODE

①前回魚武さんに来てもらった時は「俺の好きなマンガ」という単行本の出版で来てもらった。

番組内で「実は僕子供の頃マンガ家になりたかったんですよ」と告白したことがある。

その頃、Flight Of Ideaを始めたばかりで2002年春にレコーディングをして、

出すアテのないまま時間が過ぎ、その冬2002年12月。

僕はちょっとロクでもない目的でなぜか秩父方面へと短い旅をしていた。

その時に前回の同録を聞きながらいた。その時ヒントをもらった。


「ひとつひとつの詩に絵を付けた作品にしたらどうかな」というアイデアが、

寒空の乗り換えのホームで思いついた。


翌年の春。どうにかリリースのメドが立って、そのプランを具体的アクションへと移した。

10才の時に稚拙なマンガを見てもらった「森田拳次」先生に20数年ぶりに連絡を取り、

魚武さんとの会話から1stアルバム「a Day」のジャケットは生まれたのだと言ってもいいだろう。


そのくせまだそのことは伝えていなかったので、CDを渡しつつ「ありがとうございました」と伝えた。

ブックレットを開きつつ魚武さんは僕の詩を収録外で面白そうに読む。

少々説明過多な部分もある僕の詩を詠まれ恥ずかしくも新鮮に聞こえた。


あと、思い出した。


②96年くらい、歌舞伎町のキャバクラ嬢でN美ちゃんという子とデートしたことがあった。

ウチまで来たその子と音楽や詩の話をしたことがある。

「私、魚武さんっていう詩人の人と友達なんだ」

「へぇ。そうなんだ」

「家にも遊びに行ったことがあるよ」

「へえ。そうなんだ」

その時はなぜか少し嫉妬した。


魚武さんにそのことを聞いたことがある。

「憶えてないなぁ(笑)」


僕もその子の顔は忘れてしまった。

どうしてるのかなとは思うけど。





詩人 三代目魚武濱田成夫 (2枚組コンプリートBOX)
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