ネットで ’やる気がでない’、 ’誰とも会いたくない’ と普段誰もがたまには感じるようなことをキーワード検索するとすぐさま ’うつ’ という言葉にリンクされ、うつ病の説明に始まり治療のことなどを紹介する誰かの気軽なブログや、Q&Aサイトの誰かの回答にさらされてしまいます。
 私はこの傾向に非常に疑問を持っています。一言 ’なんか気分が重い’ といっただけで、なぜうつ病の疑いになってしまうのか。うつ病はれっきとした病気でシリアスなものであり、ゆえにきちんとアセスメントが必要でたまたま土曜の朝に少しブルーな気持ちだったくらいで ’うつなんじゃないの?’ となるのはおかしいし、そのように ’鬱’ という言葉を乱用するせいで、意味のない不安を助長して心療内科などに足を運んでしまい、患者のことを考えずに ’はい、うつですね。じゃあSSRI始めましょう’ とお金儲けのためだけにさっさと薬物治療を開始する医者がいる現状で、処方箋なんか必要ない人が治療を始めてしまう可能性を高めてしまっているような気がして非常に懸念してしまいます。おまけにうつ病のための処方箋は長期(数年)投与のものであり、一度始めてしまうと簡単に辞める事ができず、患者は経過観察のために毎週一度医者から来いと言われ、’大丈夫そうですね。’という1分の問診のために1500円支払い、国は(つまり一般国民が間接的に)3000円を負担することになる。おまけにSSRIのような薬は副作用のせいで一度始めると簡単に(自己判断で)辞めれない事を医者が説明をしないケースが多い。(これはインフォームドコンセプトの観点からおかしいと思うのですが。)さらに辞めたいといっても今度はよくわからない理由でなかなか辞めさせなかったりする。
 心の病気は目に見えず、可視化できないにもかかわらず、ネットなどでたかが少しの質問に答えるだけで’あなたは鬱の可能性が高いです’と本当に責任を持って言っているのか不明なサイトが多い。SSRIについてもその仕組みを説明することは多くても、副作用として性欲がなくなってしまうなど患者としてはかなり敏感になってしまう情報はあまり書いていない。
 今やネットは人々が何かの情報を探そうとするときに最初に使うツールであり、故に情報に信頼性がないといけないのですが、実際には出版される本などと違い、誰でも情報発信が気軽にでき、しかもその内容が精査されない、匿名性もある。なんの知識もない人とがあることについて情報をネット発信しても、その内容が正しいから検索画面の上に出てくるのではなく、グーグルにお金を払ったら出てくるということがある。この視点から、ネットという存在が生んでしまう誤解、危険性をとても危惧するこのごろです。