待ち合わせは 新宿駅
京王線の改札前の 大きな大きな柱の前
彼はいつも遅れてきた
30分 1時間
でも 彼に会うため
私は柱に寄りかかり ず~っと待っていた。
携帯も ipodもない時代。
次に会う約束は 別れ際に
「来週は 何時に会える?」
「今日と同じ。」
同じ都内に居ながら 連絡手段は 手紙だけ。
彼は 浪人生で電話のない生活。
1時間半遅れて 彼がやってきた。
手には参考書。
元々無口な彼と 会話が弾むはずもなく、
でも 大好きな彼の顔を見つめるだけで それだけでよかった。
半日いっしょにいても ほとんど話さず さよならの日も多かった。
ある日 連絡が取れなくなった彼に 手紙を書いた。
「八王子の駅で 1時に待っています」
田町から新宿へ そして間違って各駅に乗ってしまったから
もうどれくらい電車に揺られていたのか・・・。
でも 彼に会うためならいとわなかった。
30分前に駅前のベンチに着いた。
「きっと 遅れてくるわね」
オーバーオールにトレーナー。
ポケットに手を入れ ずっと待っていた。
ずっと ずっと・・・
2時間 3時間 4時間・・・
いつも遅れてくる彼だから きっと来る。
悲しくも 怒りもなく
ただただ 彼に会いたかった。
3月のはじめ
大きなボタン雪が 降っていた。
時々 改札の切符切りのお兄さんと 目が合う。
お互い パッと目を逸らす。
あたりが暗くなりかけた頃
手紙をにぎりしめた彼が 走ってきた。
「友達が集まっているので いっしょにいられない」 と。
「わかったわ。帰るね。」
「おう またな」
ずっと見ていた改札のお兄さんに 切符を切られ
振り向かずに ホームへ。
「ああ 好きなのは 私だけだったんだ」
大きなボタン雪は ゆらゆらとのん気に
線路の上に落ちて 消えていった。
京王線の改札前の 大きな大きな柱の前
彼はいつも遅れてきた
30分 1時間
でも 彼に会うため
私は柱に寄りかかり ず~っと待っていた。
携帯も ipodもない時代。
次に会う約束は 別れ際に
「来週は 何時に会える?」
「今日と同じ。」
同じ都内に居ながら 連絡手段は 手紙だけ。
彼は 浪人生で電話のない生活。
1時間半遅れて 彼がやってきた。
手には参考書。
元々無口な彼と 会話が弾むはずもなく、
でも 大好きな彼の顔を見つめるだけで それだけでよかった。
半日いっしょにいても ほとんど話さず さよならの日も多かった。
ある日 連絡が取れなくなった彼に 手紙を書いた。
「八王子の駅で 1時に待っています」
田町から新宿へ そして間違って各駅に乗ってしまったから
もうどれくらい電車に揺られていたのか・・・。
でも 彼に会うためならいとわなかった。
30分前に駅前のベンチに着いた。
「きっと 遅れてくるわね」
オーバーオールにトレーナー。
ポケットに手を入れ ずっと待っていた。
ずっと ずっと・・・
2時間 3時間 4時間・・・
いつも遅れてくる彼だから きっと来る。
悲しくも 怒りもなく
ただただ 彼に会いたかった。
3月のはじめ
大きなボタン雪が 降っていた。
時々 改札の切符切りのお兄さんと 目が合う。
お互い パッと目を逸らす。
あたりが暗くなりかけた頃
手紙をにぎりしめた彼が 走ってきた。
「友達が集まっているので いっしょにいられない」 と。
「わかったわ。帰るね。」
「おう またな」
ずっと見ていた改札のお兄さんに 切符を切られ
振り向かずに ホームへ。
「ああ 好きなのは 私だけだったんだ」
大きなボタン雪は ゆらゆらとのん気に
線路の上に落ちて 消えていった。