2016年の訪日外国人数は2403万9000人、トップの中国は初の600万人台に
前回記事で書いたように、なりふり構わずの外国人誘致政策で、2千万人を突破しました。
政府の目標は、2020年のオリンピック時には4千万人、2030年には6千万人らしいです。
しかし、上のグラフからもわかるように東日本大震災時には600万人と落ち込んでいます。
これは国際インバウンドは主要産業になり得ない、すべきものではないことを示しています。
では、どうやって政府は外国人を呼び込む国際インバウンドの必要性を説いているのでしょうか?
官邸HPで観光をめぐる現状と課題等について(平成27年12月8日(火)国土交通大臣政務官津島 淳)という資料を見ることが出来ます。
政府はGDPを使って、まだ国際インバウンドには伸びしろがあるという説得を試みたいようです。
(こちらの表とは少し数字が違う表ではカナダが日本より少なくなっています。また、韓国が日本より多いこともわかります。韓国は日本同様中国人観光客に頼っており、THAADをめぐる経済制裁を中国から受けていて、国際インバウンドが弱点となることもわかります。)
当然のようにGDP比を出していますが、どうしてGDPを使うのか理由がわかりません。
例えばエンゲル係数の低い金持ちに対してもっと上げろと言ってもそうそう出来ませんが、それと同じくらい、GDP比で伸びしろがあるという意味が理解できません。
少し前ですが、アジアでGDP比が一番多いのはカンボジアで14%という記事があります。
私たちはカンボジアを目指すんでしょうか?
(ちなみに、有名なアンコールワット観光は外国人だけ有料です)
また、G7の中で日本以外はすべて大陸国家、他国と陸続きです。だから外国人が旅行しやすくなっています。(※イギリスは海峡トンネルで繋がっていますし、世界中に植民地を持っていた過去があり歴史が違います。たぶんこれを見て日韓トンネルという気味の悪い話があるのかもしれませんね。)
そして誰しも距離の近いところに行く傾向がありますので、まわりを人のいない海に囲まれている日本は、そもそも外国から人が来にくいところだと言えるのです。
(参照:フランスへの外国人訪問者数が多い理由 orangeさま)
GDPは、説得に使うには都合の良い物差しだったのでしょう。だから利用されたのです。
なのに、その政府の凄い掛け声に、ビジネスチャンスとばかりに産業界が反応してしまいました。
「世界全体GDPの1割は旅行観光産業」ということで、こんな記事Industry Co-Creation(ICC) を見つけました。
安倍総理大臣が提示したプランは2020年のオリンピック・パラリンピック開催年、訪日外国人旅行者を4,000万人とするとしていますが、さらに2030年には6,000万人を目指すとしています。
この6,000万人がどのような数字かというと、世界で一番大きな観光大国はフランスですが、このフランスを訪れる旅行者数に迫るということを数字で示しています。
そのことから考えても、日本は世界で一番の観光立国になるという決意表明に近いと思っています。
もしインバウンド観光産業を輸出産業と捉えるならば、政府は2030年に15兆円の産業規模にしたいと宣言しています。
この15兆円がどのような意味かというと、去年2015年時点での輸出において一番大きな産業は自動車の輸出ですが、この自動車産業より大きな規模になるということを示しています。
今日こんな記事も見つけました。
「地方は観光で稼ぎなさい」という号令が、甚だ見当違いである理由 現代ビジネス
(政府の観光立国が純粋な観光産業振興や地方創生だとの前提の上で、おかしいという内容です)
ここまで読まれてどう思われたでしょうか?
私には、本気で政府が観光立国を目指しているようには思えないのです。観光でそこそこ儲かるならそれはそれでよし、副次的な作用としては万々歳ということでしょう。
観光業界は(騙されて、又はわざと騙されて)協力しているのではないかと思います。
何の協力かというと、移民受け入れ政策への協力です。彼らにもメリットがあるからです。
政府は、国際インバウンドを地方創生に絡めています。
上記の図にDMOという耳慣れない言葉が使われています。
DMO(Destination Management Organization:デスティネーション・マネージメント・オーガニゼーション)とは、観光物件、自然、食、芸術・芸能、風習、風俗など当該地域にある観光資源に精通し、地域と協同して観光地域作りを行う法人のこと。DMCはDestination Management Company(デスティネーション・マネージメント・カンパニー)の略。(JTB総合研究所)
DMOはこの取り組みの要となっていますし、先に出てきた同じ官邸資料の中にあるので、外国人旅行客を狙った仕組みづくりで大事な役割を果たすこともわかります。
もちろん大々的に外国人だけをターゲットするようなへまはしていません。しかし多言語とかムスリムへの特別扱い(表の飲食店のところ)をサラッと押し込んでいます。
貧しくなる一方の日本人が、やっと国内観光地へ行くことが出来ても、そこには野蛮で金持ちでもない外国人が待ち構えており、ますます日本人を遠ざけています。
これも願ったり叶ったりなんです。
邪魔者(日本人)がいなくなり、観光地がますます外国人頼りとなるからです。
NHKを見ていると外国人観光客というと、必ずといっていいほど白人が登場します。
しかし、実際には2015年の外国人観光客の85%が東アジアと東南アジアからきています。(2015年 国籍別 / 目的別 訪日外客数 (確定値):日本政府観光局(JNTO))
こういうのも、印象操作です。先進国からきているんだと思い込ませ安心させるためです。
DMOと呼ばれる法人は、内外の人材やノウハウを取り込みつつ、多様な関係者と連携することになっています。政府は日本版DMOという定義も作って既に動いています。
そして、DMOは観光庁に登録、登録されたDMO候補法人に対して、関係省庁連携支援チームを通じて支援するという仕組みです。
外国人を呼び込みたいのですから、当然外国人を様々な場面で採用して活躍の場を与えていくでしょう。
地方の人はおとなしい人が多いです。政府をバックにしたDMOが乗り込んできて、「ここが変だよ日本人」みたいなことを言い出して、少しずつ外国人仕様に変えていくつもりです。
政府は欧州の惨状を見ていないわけではないのです。
テロまみれの欧州のようにならないようにしようではなくて、やがてああなるからその前に儲けようという力が働いていると思います。
経団連が長年執拗に政府に迫っている移民受け入れは揺るぎない政府の既定方針です。
だから、どうやって移民嫌いな日本人を騙しながら移民を入れてしまおうか?
長年かけて制度改正を少しずつ行い、シナリオ通りに進めているのだろうと思います。
(自民も民進も政策に大差ありません。性急にやって国民に見つかったのが民主党、狡猾で見つからないのが自民党です。)
移民受け入れはまず、自治体が外国人に慣れることが必要です。
2012年に外国人住民が住民基本台帳制度の適用対象となりましたが、これによって、たった3か月の滞在期間でほぼ日本人同様の扱いとなってしまいました。
第三世界の住民を多く自治体のロビーで見るようになり、私はとても不愉快ですが、役所にも市民にも、外国人が仲間だと思わせるにはうってつけの制度です。
そして、外国人の犯罪が頻繁にありますが、これも訓練です。
警察や市民に外国人の加害者や被害者に慣れてもらううってつけの機会ですから、少々の外国人犯罪は政府として歓迎していると思います。(酷すぎると国民から警戒されるので、メディアが操作できる範囲で)
今回取り上げた観光は、一番日本人の反対が少なく、騙しやすい分野だと政府は考え、これを機会に大量の外国人を呼びこんで、日本人に「外国人は良い人だよ」、「怖くないよ」、ということを浸透させたいのだろうと思います。そして何より外国人によって生計を立てる人が増えることを仕組んでいると思います。
日韓ワールドカップ共催から韓流ブームのあの不気味な流れを思い出してください。
今までも技能実習生、留学生、日系人など手当たり次第に移民を入れてきましたが、どうもそれだけでは多くの日本人が関与せず、移民嫌いも変わらず、大量移民受け入れは難しいと思ったのかもしれません。
だから観光です。
多くの日本人が好きなオリンピックをダシに、オリンピックで褒められたいなら、外国人さまを大事にしろという政策が堂々と恫喝まがいで行われるようになりました。
そして、外国人には大都市だけでなく、日本の地方に行って生活を見てもらいたいのです。
なぜなら、外国人移民を入れたい地域は大都会ではなくて農村などの過疎化が進む地域だからです。
日本で暮らせるかどうか現地見学に来てくださいということでしょう。
これをインバウンド観光という看板で行っているのです。
多言語とか外国人の同僚とかに違和感なく感じるようになったらしめたものです。
結婚や出産で日本人との人間関係ができると、移民擁護派が増えてきます。
移民国家でもない欧州がそうなりました。
外国人が私たちの生活の歯車に完全に入り込んだところで、国民から「移民が必要だ」と言わせたいのだろうと思います。
安倍政権の場合、言葉にした目標と政策にずれがあることが多いですが、そのやり方は、だいたい弱者を救済するような体裁を取っています。
日本人だけかと思っていたら、いつの間にかちゃっかり外国人がその恩恵に浴していた!
この移民政策との関連で、次回は最近法案が可決した「改正住宅セーフティーネット法」を見てみたいと思います。