「ぼくは・・・」


初夏の頃、この子は生まれた。
名を「大城卓也」長男の誕生
夫、智史(さとし)亜衣(あい)に生まれた。
卓也が生まれてくるまでに、亜衣は
一度、流産をしていた。
原因は分からなかった。
必ず、20週目~24週目の間に流産をしていた。
だから、「卓也」がお腹に妊娠したときには
正直、だめだと思っていた。

智史と亜衣の出会いは
高校時代だった。3年間
同じクラス、同じ番号だった。
その頃智史は、亜衣の事は好きではなかった。
その前に、女性というものに興味が無かった。
でも、そういうクールな所に亜衣は
好きになっていた。
3年生、智史にずっと思いを伝えていた。
すると智史は、亜衣のことが好きになってしまった。
二人は付き合い、大学も同じ所に行った。
大学卒業後、二人が25歳のときに
初めて妊娠。21週目に流産。
流産した赤ちゃんを見た亜衣は、精神がおかしくなってしまった
ときがあった。でも、そんなときは
智史が仕事をしながら、看病をした。
そのおかげで、亜衣は元気になった。




「さっちゃん!!、さっちゃん!!!!起きて」
亜衣のモーニングコールが始まった。
目覚ましの音と交じり合っている。
それでも智史は
「うー・・・ん」
と言って起きない。
それに怒った亜衣は、智史の足を広げて
股間めがけて、甲キックをした。
「ゴォン!!」
変な音が鳴った。
智史は跳ね上がった。男にとって一番痛い所を蹴られたからだ。
「アゥ、アゥ。NO---------------」
起きた。
亜衣は智史が起きたのを確認して、部屋のカーテン、窓を
全部あけた。すると、朝日の光が智史に降り注いでいた。
智史はまだ、跳ねている。