「第一発見者の情報によると、この学校の第二体育館の裏で叫び声が聞こえたので行ってみたら
この学校の生徒会長神野真司が地面にあお向けに倒れていて、制服が血だらけだったそうです。」
新米刑事岡田一郎が手帳を確認しながらもう一人の刑事大城香奈に言う。
殺害現場は、警察が包囲して立ち入り禁止の黄色いテープで
仕切られていた。
「目撃者はそれだけ?」
と香奈はベテラン風に言った
「はい、第一発見者だけです。」
「なるほど」
「ちょっと悪いけど・・・あなたは?」
「あ!はい、先週刑事になった岡田一郎です。
よろしくおねがいします。」
「新米ってこと、こちらこそよろしく」
と会話が弾む。
「あの・・・大城刑事、」
と岡田は香奈を呼ぶ
「何?」
「この殺人って、5年前と殺害方法が似ているってさっき、耳にしたんですけど・・・」
「そうね、あの日私も現場に立ち寄ったけど、むごくて見ていられないほどだったわ
刺し傷が50ヶ所以上あったのよ。顔も刺されていて原型をとどめていなかった。」
「そんなにですか!?」
「えぇ。」
「犯人は捕まったんですか?」
「いいえ、捕まっていないわ。指紋・足跡、ひとつ無かったのよ。」
「それに、殺害道具も見つからなかった」
香奈は、声がおかしかった。
その話を切り替えるように岡田はこう言った。
「今回の殺人ってもしかして・・・」
「そうよ、もしかしたら5年前の殺人鬼がここに帰ってきたってわけね。」
その言葉を聞いていた周りの警察官たちは、ゾクッと背筋が凍りついた。
そのころ、美術教官室では左藤杏と優斗があることを考えていた。