その日は、雨。
生徒会長の神野真司を離れの第二体育館の裏に呼び出した。
そこは、5年前に当時の生徒副会長江口陽子が殺された現場だった。
そんな場所に呼び出した理由は、5年前の江口陽子殺人事件の犯人と警察思わせるためだからだ。
あともうひとつ、人が来ないからである。
待ち合わせの6時になっても神野は来ない。
イライラしている優斗をよそに神野はゆっくりと歩いてきた。
神野も怒っていた。
優斗は、
「すいません、いきなり呼び出して」
「いや、こっちこそ遅れてすまない。で、用とは?」
「すぐ終わりますから。」
と言った優斗は心で
「お前は、あの世行きだ。僕を怒らせたからな」
と思う。
「早くしてくれないか!!こっちだって暇じゃない!!」
神野は怒っていた。
「はい、分かりました。」
と言って、腰に隠し持っていた刃渡り25cmの刺身包丁を右手にとった。
その包丁には、血がにじんで赤黒くなっていた。
それを見た神野は、
「っ!!な、なんだそれは!!」
と驚きで声が変になっていた。
それに恨みをぶつけるように優斗はこう言った
「ぼくを怒らせたらこうなるんだーーーーーーーーーー」
と言いながら、包丁を両手に持ち替えて神野の所に走っていく。
距離は4m弱。避け切れなかった
「うわぁぁぁーーー」
グサッ、
神野の声が響いた。
25cmの刺身包丁は神野の体に刺さり、心臓を貫通し背中から包丁の先が出ていた。
神野は地面に膝をついた。
口からも血を垂らしている。
ピクッ、ピクッ ピッ・・・ク 神野はだんだん動かなくなった。
それを見て、優斗は
「はぁ、はぁ、ハハハハハ。」
悪魔だ。悪魔のようだ。
「ふぅー、さよなら。クソ生徒会長。」
そう言った瞬間に神野は動かなくなった。
神野真司 18歳 2154年5月20日 午後6時20分 大量出血により死亡。
優斗は死亡した神野を確認したら
「よし、行くか。」
神野の血がにじんだ包丁をポケットにしまってあったビニール袋を出して
血のついた制服と包丁を入れた。
そして、新しい制服に着替えてその場を去るのあった。