2014年度 灘高等学校 | Seraph Boy~渦巻く記憶~ 小学生当時、偏差値30代のライトノベル作家が入試問題を解くと…?

Seraph Boy~渦巻く記憶~ 小学生当時、偏差値30代のライトノベル作家が入試問題を解くと…?

塾講師経験のある物書きのブログです。原稿の傍ら、脳トレも兼ねて入試問題を気ままに眺めています。

4月に入りましたね。前々回の有名校入試の紹介が何気なく好評だったようで、リクエストのあった学校をおまけに載せることにしました。
それは、この学校です。




日本屈指の難関校として知られる灘高校です。当然問題も難問揃いで、1以外は証明を含む記述式です。試験時間は110分と長く、粘り強さも求められる試験です。この学校を受験するには、十分な対策が必要でしょう。
構成としては例年変わらず大問にして6題です。

大問1は小問集合4題で、数と式、資料の整理、図形から構成されています。
(1)④ (2)④ (3)④ (4)④
(1)は展開をヒントに三乗の計算を問うています。そのまま計算をすると大変なので、うまく変形して答えを導けるようにしましょう。
(2)はサイコロを用いた確率問題です。問われるのが4回と超上位校らしい出題です。表を利用して数え落としをしないように注意しましょう。
(3)は正五角形の対角線を用いて正二十角形の面積を求める問題です。黄金比は超上位校受験にはよく用いられるテーマですので、しっかりおさえておきましょう。正二十角形は頂角18°なので、2つ分として考えれば36°と見慣れた図形になります。補助線を上手く駆使して四角形の面積を求め10をかければよいのです。
(4)は線分の軌道による立体の計量問題です。どのような形になるのか読み取れれば難しくないのですが、文章がやや難解に感じられるかと思います。受験生によっては戸惑ったかもしれません。

大問2は資料の整理より場合の数の問題です。灘高校の場合の数問題は例年難解なものが出題されますが、今年は易しめのものでした。ここは完答して、余裕を得たいところでしたね。
(1)② (2)③ (3)③
(1)はこの学校の受験生であれば絶対に間違えてはいけません。積の法則を利用すれば1分どころか30秒もかかりません。
(2)は3の倍数を問うものなんですが、3の倍数の性質・・・この学校の受験生で知らない人はいないでしょう。各位の数の和が3の倍数になるものです。その中で先頭が0にならないような場合の数を見つければよいのです。
(3)は6の倍数です。難関校は6の倍数がよく出題されるので、6の倍数とはどのようなものなのか今一度確認しておきましょう。3の倍数であり、かつ一の位が偶数のものです。あとは数え落としをしないように気を付けるだけです。

大問3は方程式より、絶対値を利用した文章題です。これも例年に比べれば易しいレベルです。中学一年生でも解ける内容なので、学校のレベルで物足りない人、最高レベルのものに挑戦したい人は是非取り組んでみてください。
(1)② (2)③
(1)は比としてありえるものを書きだす問題です。絶対値が5となるものは5と-5のように、絶対値がx-yとなるものは(x-y)と-(x-y)です。あとは比例式の性質から方程式を起こして、x:yを求めればいいのです。
(2)は求めた比のうち、点数が整数になるものを取ればいいのです。7:1と7:13、正解は後者の方なんですが、なんとなく7:1は違うだろうと推測できた受験生も多かったはずです。

大問4は比例と関数より、文字を含んだ二次関数と一次関数の融合問題です。傾きに連比が用いられており、これを用いて仮の式を利用するのですが、二つの文字の入った二次方程式は超上位校では当たり前にできなくてはいけないので、ここはなんとしても得点しておきたいところですね。
(1)④ (2)④ (3)④
(1)は残りの座標を求める問題です。大問4で一番難しいのがここでしょう。計算もやや繁雑なので、こんがらがることのないようにじっくり取り組みましょう。
(2)は文字式の入った一次関数の交点を求め、そこから長さの比を求める問題です。x座標の長さの比と線分の長さの比が同じという性質は、トップレベルを目指す者として必ず覚えておきたいところです。
(3)は面積を二等分する直線です。最終問題とはいえ計算でいえば一番楽です。x座標の積が面積比に反映されるという性質も当たり前に使える学力が必要です。

大問5は灘高校の名物、図形の論証問題です。今年は平行四辺形がテーマでした。平行四辺形とはいかような性質を持つのかなど、基本的事項をしっかりと使って取り組みたいところです。
(1)③ (2)③
(1)は円の内接に関する論証問題です。同一円周上にあることは円周角が等しいこと、そして向かい合う角の和が180°となることから導けます。公立中学校では当然習わない事項なので、+αの知識は必須なのです。
(2)は円周角や二等辺三角形の性質から直交を導く論証問題です。二等辺三角形の頂角から中点に下ろした線は直交する・・・このことから取り組めれば、証明として成立します。
いずれにせよ、論証問題は、灘高校受験において避けて通れない関門です。しかも、この学校の証明はトップレベルです。証明自体に苦手意識を持っているようでは、正直お話になりません。どんなものでもぶつかれる強さをみせて下さい。

大問6は図形より、球と三角錐の共通部分の面積問題です。共通部分をイメージしにくく難しい問題だったと思います。特に最終問題はどのように面積を求めるのか戸惑った受験生もいたのではないでしょうか。どの問題でもそうですが、立体のまま考えるのではなく平面にしてどのような位置関係なのかを掴んでから取り組むようにしましょう。
(1)③ (2)④ (3)⑤
(1)は正三角形と円の共通部分で、60°の扇形と正三角形となります。面積を求めるのは簡単ですよね?
(2)は二等辺三角形と円の共通部分で、90°の扇形と二等辺三角形となります。67.5°という馴染みがないような二等辺三角形ですが、頂角が45°ということは、補助線を引くことによって直角二等辺三角形がつくれるということです。あとは同様に面積を求めましょう。
(3)は前二問を用いてどこが含まれているかをイメージするのですが、やはり最終問題だけあって難しいと感じたことでしょう。球=中心を通ればすべて半径1の円になるという基本事項が鍵だったのですが、意外にも気付かない受験生が多かったと思われます。計算自体はそれほど難しくないのですが、どのようになるのか・・・それを掴むのはやはり慣れとセンスも問われたでしょうね。

スキャナの不具合のせいで文字がつぶれている箇所もあるので、一応答案をすべて書き出すと、
1.
(1)
(2)
(3)
(4)

2.
(1)100個 (2)40個 (3)21個

3.
(1)7:1と7:13 (2)61点

4.
(1)Bのx座標:,Cのx座標: (2)5:4 (3)

5.
(1)四角形ABCDは平行四辺形であるから,∠BAC=∠BCD
 これと仮定∠BAP=∠BCPより∠DAP=∠DCP…①
 次にAB//DC, AB//RPよりPR//CD, AB=DC, AB=RPよりPR=CDとなり
 1組の対辺が平行で長さも等しいので四角形PCDRも平行四辺形である。
 ゆえに∠DCP=∠DRP…②
 したがって①, ②より∠DAP=∠DRPとなり円周角が等しいので4点A,P,D,Rは同一円周上にある。

(2)平行四辺形ABPRにおける∠PBA,∠ARPをmとおく。条件より4点Q,A,P,Rは同一円周上にあるので弧PAに対する円周角より∠PRA=∠PQA
∠PBA=∠PBQ,∠PQA=∠PQBであるから∠PBA=∠PBQ=m, ∠PQA=∠PQB=m
よって△PBQは∠PBQ=∠PQBとなり2角が等しいので二等辺三角形である。
ここで△PQMと△PBMについてPQ=PB(仮定),QM=BM(仮定),PMは共通より3辺が等しいので△PQM≡△PBM ゆえに∠PMQ=∠PMB
∠QMB=180°より∠PMQ=∠PMB=180÷2=90°
したがってPM⊥BQ<終>

6.
(1) (2) (3)

以上が2014年の灘高校の入学試験です。日本最難関といわれるこの高校に挑戦する受験生諸君、恐らく関西の子が多いかと思われますが・・・関東の人間としてエールを贈ります。どうか頑張って下さいね。