ボブ・ディランのロックの金字塔アルバムとして名高い65年リリースの「追憶のハイウェイ61」に収録している「やせっぽちのバラッド Ballad of a Thin Man」
今回紹介するのは66年のロイヤル・アルバート・ホールでのライブ。
現在ではこの年のイギリス・ツアーは名演・伝説と呼ばれていますが、
当時は信じられないほどの大不評でした。
各公演でブーイングの嵐。ディランは大好きなのにやってる音楽は大嫌い。
ディランもさすがに疲れ果て、ライブをやるのにうんざりしてました。
そんな中でも、ディランの洒落っ気も抜群。
ブーイングの中、今からフォーク・ソングを歌うと言い出し、会場は大盛り上がり。
喜ぶと思ったよと言い、曲のタイトルは「ヒョウ皮のふちなし帽」
当然、フォークではなく、発売前のバリバリのロック・サウンドの新曲。
当時はディラン=フォーク、多くの人が裏切られた思いが爆発して
ファンの女の子からもくわせもの、ペテン師呼ばわりされたり
挙句の果てには、若者から「あんなのゴミだ」と言われます。
そのゴミだと言われた演奏です。
Ballad of a Thin Man Bob Dylan
オフィシャル・ブートレッグ・シリーズVol.4より
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鉛筆を手に
あんたが部屋に入ると
素っ裸の人間がいて
“こいつは何者なんだ?”とあんたは言う
あんたは必死だが
家に帰ったら
何と言うべきなのか
分からないでいる
何かがいま起こっているのに
あんたにはそれが分からない
どうです ジョーンズさん?
頭をあげて
“ここがそうなのか?”とあんたは訊く
誰かがあんたを指して
“奴のだよ”と答える
“私のはどれだ?”とあんたが言うと
別の誰かが言う “何がどこだって?”
そしてあんたは言う “何てことだ
ここで私はひとりぼっちなのか?”
何かがいま起こっているのに
あんたにはそれが分からない
どうです ジョーンズさん?
チケットを手に
見せ物師の芸を見に行くと
そいつはさっそくあんたに近寄ってきて
あんたが喋るのを聞きながら
こう言う
“変人になって どんな気分だい?”
やつに骨を手渡されながらあんたは
“我慢がならん”とつぶやく
何かがいま起こっているのに
あんたにはそれが分からない
どうです ジョーンズさん?
誰かがあんたの想像力を非難したときに
事実を提供してくれるようなコネを
あんたは樵(きこり)たちの間にたくさん持っているが
誰ひとり敬意など払わないし
実際のところ あんたがこれまで期待されて来たのは
税控除の慈善団体へ小切手を切ること
あんたは大学の教授たちと付き合いがあって
みんなあんたの身なりを気に入ってくれていた
著名な弁護士たちとあんたは
癩病者や詐欺師について論じもしたし
F・スコット・フィッツジェラルドの著作は
すべて読破した
あんたが大した博学なのは
世間じゃ有名だ
何かがいま起こっているのに
あんたにはそれが分からない
どうです ジョーンズさん?
さて 短剣飲みの男があんたに近づいてきて
ひざまずく
みずから十字を切り
ハイ・ヒールをカチッと鳴らし
唐突に どんな気分かとあんたに尋ね
それからこうも言う
“そら あんたの昔の喉だ
貸してくれてありがとさん”
何かがいま起こっているのに
あんたにはそれが分からない
どうです ジョーンズさん?
続いて現れたるは “いま”という言葉を叫んでいる
一つ目のこびと
“いったい何のつもりだ?”とあんたが訊けば
こびとが答えて“何だって?”
“そいつはどんな意味があるのかね?” あんたが言うと
“牛野郎め”とこびとが叫び返す
“ミルクをくれないんだったら
トットと帰んな”
何かがいま起こっているのに
あんたにはそれが分からない
どうです ジョーンズさん?
駱駝のように あんたは部屋に入り
そうして眉をひそめる
自分の目をポケットに入れ
鼻を地べたにつける
あんたがそこらをうろつくのを
取り締まる法律があるべきだ
あんたの耳につける
イヤフォーンをこしらえるべきだ
何かがいま起こっているのに
あんたにはそれが分からない
どうです ジョーンズさん?
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ザ・グレイト!! これぞディラン、むちゃくちゃカッコイイ!!
きっとゴミ呼ばわりした人も、今はこう言うでしょう。