平成元年、昭和天皇が崩御されて、時代が昭和から、平成に変わったとき、ワタシの中でなにかがガラガラと音を立てて崩れた。
それまでずっと昭和だったので、「あっ、時代というのは変わるんだ。」と、びっくりしたのだ。
ワタシはこれはきっと、現状を打破してお前も変化しチャレンジせよ!というサインだと感じ、その年の夏、最初に勤めた会社を辞めて、ドイツへと旅立った。
ドイツでジュエリーのマイスターになろうと思ったのである。
とにかく、並外れたキャリア、飛び抜けたスキルが欲しかった。…
ワタシが、進化や変化を求めているのは、じつは、今に始まったことではない。
もともとジュエリー業界を就職先に選んだのは、腕一本で食っていけるような人間になるのが希望だったからである。
たとえば、ペン一本で食っている作家とか、ギター一本で稼げるギタリストとかそういうのが理想だった。
ワタシは、文章もうまくないし、ギターも弾けないので、ならば、ジュエリーの職人にでもなろうと思ったわけである。
なまじ大企業なんぞに就職して、住むところも勤務時間も仕事の内容まで会社に決められるなんて、ワタシには納得がいかない。
住みたいところに住んで、好きな時間にやりたい仕事をやりたいのだ。
だが、そんな都合のいい仕事はまず、存在しない。(笑)
周りの都合で、周りに合わせて働いている人がほとんど、である。
でも、腕を磨いて、磨き上げて、人並外れた何か特殊なスキルがあれば、希望が叶うかもしれない。
そう思ってドイツに渡ったのだが、結果は、知ってる人は知ってのとおりで、知らない人にはどうでもいいことである。
しかし、図らずもその年ドイツではベルリンの壁が崩壊し、それまで分断されていた西と東がダイナミックに混じりあっていく様を間近で見ることが出来て、得難い経験にはなった。
そんなこんなでいろいろあって、現在に至るわけだが、元号の変わり目は、ワタシにとって新しいチャレンジの年と決まっている。
平成の後半は、ほとんど引きこもって自分のやりたいことだけにたっぷり時間をかけることが出来たので、下拵えは整っている感じである。(笑)