沈黙の艦隊 (1) (講談社漫画文庫)/かわぐち かいじ
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この漫画の要素を大きく二つに分けると


潜水艦による戦争と


世界のトップによる外交政治であると思うが、


どちらも迫力と説得力のある内容であった。




潜水艦というものについて私は全く知識は無いが、


かなり細部まで描いてあるのを読んで


なぜ作者はこんなに詳しいのだろうかと驚いた。


潜水艦によるアクロバティックな戦闘シーンは


不可能なこともあるかもしれないが、


海戦を大変興味深く描いていて引き込まれた。




大国のトップによるやりとりも迫力があった。


連載当初は冷戦時代で


アメリカ対ロシアの構図の中で


「やまと」艦長・海江田が戦いを挑むという設定であったが


たぶん連載中に冷戦が終わり、


途中からはアメリカ大統領vs海江田艦長の一騎打ちになって行った。


アメリカ大統領ベネットはいかにもアメリカのトップ(世界のキング)らしく


リアリティーがあって面白かった。




政治家や軍人の言葉も非常に興味深いものばかりだった。


この作品の最も重要な部分は登場人物の言葉だと思う。


海江田艦長、アメリカ大統領、日本の首相、フランス大統領、ソ連(ロシア)書記長の言葉は


皆堂々としていて全てが正論に聞こえる。


正論に正論でやり返す言葉の戦争は迫力満点だった。


海江田の挑戦に対する世界の代表が次々と考える政治的解決策は


どれもアイディアに富んでて


作者かわぐちかいじはなんてイマジネーションを持った人なんだと驚いた。




海江田(=かわぐちかいじ)が考える世界平和は


現実離れしてるような気がするが、


アメリカ大統領や海江田艦長が発する堂々たる言葉によって


完全な世界平和も可能なんじゃないかとすら思えてくる。




この作品の中で核廃絶、世界平和の為のアイディアがいくつか示されている。


国家に属さない核抑止力、国連主導の戦争・紛争解決、


政軍分離、国連軍による平和維持活動、世界政府による統治などなど。


国家というくくりを世界というくくりにしてしまえば


戦争はなくなるかもしれないというところまで発想している。




現在の大国の核による抑止力、アメリカの膨大な国力による統制にはやはり限界がある。


かわぐちかいじは次の時代の平和維持システム構築の必要性を訴えている。