今回の「キルヒト」からevaに参加してくれている新人が二人、そして、この稽古場日記が始まる前は参加してくれていたんだけど、あまり皆様になじみの無いかもしれない半新人が一人、いる。
その人たちを、順次紹介していきたいと思う。
今回ご紹介したいのは、佐藤五郎くん。
芝居に対して凄いストイック。
一軒家に7人くらいで芝居仲間と共同生活している。
ガレージのある家で、そこで週3回くらい稽古をするそうだ。
それ以外に、日本舞踊をやっている。
そして、evaに週二日、参加してくれている。
週六日、なにかしら芝居なり、舞踊なりの稽古をしている計算・・・。
ストイックだ。芝居の申し子だ。
そんな話を聞いた後で
「そうか~ 佐藤君は偉いなあ、凄い求道精神だなあ、気軽に『さとうくん』なんて、呼べないなあ」
と言ったら
「では、『小劇場界の空海』と呼んでください」
と言われたので、
それ以来僕は彼のことを「空海」と呼んでいる。
空海はラーメン屋「なんでんかんでん」とビル警備員のバイトをしている。
でも「なんでんかんでん」はつぶれて、カレー屋になるそうだ。
そこでも、空海は求道精神はマンテンで、現在、インドのスパイスの研究にも没頭している。
ビル警備員の時も求道精神はマンテンで、警備とは関係の無い、中国思想の本をたくさん読んでいる。
空海はビル警備の時は、本ばっかり読んでいる。
求道精神マンテンだ。
今回の稽古でも、その求道精神を遺憾なく発揮し、周りに良い影響を与えてくれている。
しかも、今回の台本、家での練習の際の台本以外にも、常に4~5種類(シェイクスピアから太田省吾まで様々)の台本を読破、記憶しているらしい・・・。
「いつ、何の役がくるか分からないじゃないですか! 僕は役者ですから」
求道者、空海は言うのだった。
そんな彼へのエールの意味で、「近代の求道者」ともいえる哲学者ハイデッガーが、晩年、唐十郎の
テント芝居(ドイツ公演)を見た後に、感動とともに口にしたといわれる名言を贈りたい。
「 ん~ よくわかんなかった 」(1971年 ドイツ、ボンにて ハイデッガー)
