よく、役者統括のY氏に言われるのですが、Y氏がまだEvaに来て間もない頃、私に「おい!芝居すんなよ!」というダメだしをされたそうです。
「そうです」といっているのは、私はよく覚えていないからです。
覚えていないので、「どういう意味で言ったんだろう?」といろいろ考えてみました。すると、どうも「(あんまり頭で考えて作りこんだ)芝居を(しようと)するな!」くらいの意味だったのではないかと思います。
どうも、きちんとお芝居の勉強をしてきた人ほど、頭でその役を作って、それを体で表現しようとします。
でも、本来、自分でない脚本家が創作し、別世界として広がっている物語世界を、役者一人の頭で完全に復元、想定はできません。
仮にできたつもりになっていたとしても、それは本来の物語が求めるものより、矮小なものになっている可能生が高い。なぜなら、「物語」とは常に(どんなにダメな脚本家が書いたとしても)壮大なものだからです。
だから、まず、あんまり考えず、その代わり、体当たりで必死にセリフを読んでみる、役を演じてみる。そうすると見えてくるものがある。それを元に少し考える。で、自分で「考えた」ことで満足せずに、それをヒント程度にして、また必死で体当たりで演じてみる。また何か見えてくる・・・。
この方法で行くと、考えるのと肉体を使うのは、役者の場合等価、もしくは若干肉体を使う方が重要だということです。
それなのに 頭(考え)→演技(肉体表現) という順番になっていて、あたかも「考えること」が先である、役者というのは「頭脳派」な仕事・・・と考えるのは、行き過ぎると誤解だと思います。(もちろん頭も使うんですが)
だから、そういう感じが垣間見えた時に、「役者は肉体労働者である」という意味をこめて、「芝居すんな」とか言ってたんでしょう、当時の僕は。
今は優しくなったので言いません。
今回は小林、久しぶりの「役者のみ」での出演。
で、そんなことを考えてみました。