I先生は、肝がん切除手術の際もお世話になった先生で、今回がんが副腎に遠隔転移した際も、僕の病状について相談にのっていただきました。
そして、I先生のご子息で腎臓、副腎などのがん治療を行う先生がいらっしゃいます。
まりさんは、僕の診察を一度してもらえるように、お願いしに行ってくれていたのです。
まりさんは僕の主治医のK先生に対して、かなりの不信感を持っていました。
患者である僕に対し、あまりにも事務的で誠意のない対応にイラだっていたのです。
まりさんを怒らせたら怖いのは、長年の経験で知っています。
一方僕は正直それどころじゃなくて、主治医の対応よりも今後どのような治療を受けるべきなのか、そのことで頭はいっぱいでした。
生死について頭はいっぱいでした。
後日、まりさんに付き添ってもらい診察を受けることになりました。
僕のこれまでの経緯、カルテ等、病状に関しての情報は、既にご覧になっていたようです。
そして結論を言えば、治療方針はネクサバールを使用する化学療法。
粗方、同様の治療方針でした。
ネクサバールの副作用として、皮膚症状、脱毛、消化器症状、肝機能障害や腎臓障害、出血などなど。
費用は月額60万円以上。
3割負担として、約20万円。
高額医療制度を活用しても、毎月の負担は大きい。
I先生がお話しされている最中に、多分もう治療方針は、どこで伺っても変わらないのだろうと思っていました。
もともと自由診療はあたまになかったしね。
先生によって考えの違いはあるにせよ、話しを聞いた上で結論を出すのは、自分なのだと思いました。
抗がん剤では死ぬなと。
そんな延命いらんと。
ある意味この診察が、僕に治療を止めさせる決断をさせました。
『やめた!』
治療は全て放棄することに決めました。
自力で延命してやると。