http://toyokeizai.net/articles/-/113189

 4月4日、トランプ氏(左)の娘のイバンカさん(右から2番目)の夫ジャレッド・クシュナー氏(右)は、同氏の数少ないアドバイザーとして台頭している。米アイオワ州で2月撮影(2016年 ロイター/Rick Wilking)

[ニューヨーク 4日 ロイター] - ワシントンの法律事務所ジョーンズ・デイのオフィスで、不動産王ドナルド・トランプ氏を十数人の共和党議員に紹介しようとしたジェフ・セッションズ米上院議員は、1人の男性の存在に気が付いた。その男性はこの密室会談を以前から進めていたという。

男性は35歳の不動産投資家で新聞社オーナーでもあるジャレッド・クシュナー氏。トランプ氏がさらに多くの議員を味方にできると主張し、先月開催されたその会合を持ちかけた張本人だと当時の参加者の1人が明かした。

クシュナー氏はトランプ氏の義理の息子

クシュナー氏はトランプ氏の義理の息子でもある。トランプ氏の娘のイバンカさんと2009年に結婚した。

トランプ氏の5人の側近によれば、義理の父親同様、不動産王でもあるクシュナー氏は、トランプ氏が11月8日の米大統領選に向け共和党候補指名の獲得を目指すなかで、同氏の数少ないアドバイザーとして台頭している。

これは極めて珍しいことだ。というのも、自分のベストアドバイザーは自分自身だと称するトランプ氏は、相談する相手は極めて少数だと語っていたからだ。その一方で同氏は、大統領に当選したら、最高の人材を雇うとの公約を表明している。

トランプ氏の広報担当を務めるホープ・ヒックス氏は、クシュナー氏が「とても尊敬されている」ものの、選挙運動での公式な肩書きを持っていないことを明かした。また、クシュナー氏がセッションズ上院議員との会合を助けたり、イスラエルをはじめとする諸問題について、トランプ氏に対し非公式に助言を与えてきたりしたことを認めた。

 

 

音楽出版会社の創業者で、クシュナー氏の友人であるデビット・シュルホフ氏はインタビューの中で、クシュナー氏の冷静さと人の話を聞く能力が、人の心を穏やかにする効果をもたらしていると指摘する。

これは、69歳になるトランプ氏にとって役立つかもしれない。これまで公職に就いたことのなかった同氏は10カ月前、大統領選の指名争いに加わった。しかし、同氏の選挙キャンペーンは、女性やイスラム教徒、移民や一部の共和党の忠誠者らに対する攻撃的な言葉が物議をかもしており、波乱含みだ。

トランプ氏に近い複数の関係者によれば、クシュナー氏は、トランプ氏に対し、時にはもっと従来型の候補者のように振舞うことを促し、政治家や昔ながらの援助資金供与者との関係構築の大切さを強調したという。

また、クシュナー氏は、トランプ氏と親交のない実力者との懸け橋として、自身のメディア王ルパート・マードック氏や億万長者のロナルド・ペレルマン氏といった人々との友好関係を利用できると関係者は語る。マードック氏とペレルマン氏からはコメントは得られなかった。

イスラエルコネクション

クシュナー氏は正統派ユダヤ教徒であり、妻のイバンカさんも結婚前にユダヤ教徒に改宗している。クシュナー氏と同氏の家族はイスラエルとのつながりがある。

義理の父親同様、有名な不動産デベロッパーであるクシュナー氏は、アメリカ・イスラエル公共問題委員会(AIPAC)の不動産委員会の後援者として昨年の報告書に名前を連ねている。少なくとも3万6000ドル(約400万円)をこの親イスラエルのロビー団体に寄付したことになる。

クシュナー氏の両親は2年前、エルサレムの医大に2000万ドルを寄付した。このキャンパスには彼らの名前が付けられた。

関係者によると、トランプ氏が昨年イスラエルへの訪問を計画した際に、クシュナー氏は、家族やビジネス上のつながりを生かし、さまざまな会合をアレンジしたという。

しかし、イスラエル行きは実現しなかった。イスラム教徒の入国禁止を提唱したトランプ氏の発言を、イスラエルのネタニヤフ首相が非難したことで、計画は中止された。

 

 

後にトランプ氏は、大統領に当選すれば、パレスチナとイスラエルの紛争では、中立的な立場をとることで、和平交渉に資すると発言しているが、これはイスラエル寄りの有権者の支持を求める米国の政治家としては異例に中立的なものだ。

先月のワシントンでのAIPAC年次総会に先立ち、クシュナー氏はトランプ氏に対し、ユダヤ人コミュニティーとの関係を円滑にするための具体的な政策を示すよう助言したと2人の関係者が明らかにした。さらに、普段の語りかけるスタイルを捨て、演説ではテレプロンプターを使うようアドバイスしたという。

AIPAC総会でのトランプ氏の演説前に、イスラエル政府の立場を伝えようとした駐米イスラエル大使のロン・ダーマー氏からの電話に対応したのもクシュナー氏だったという。ダーマー氏の事務所はコメントを避けた。

トランプ氏は結局、1万8000人の会議参加者に対して、概ねAIPACの方針に沿った施策方針について、いつになく詳細な演説をした。AIPACの広報担当者はコメントを避けた。

トランプ氏は聴衆に対し、パレスチナは、教育制度からイスラエルへの憎悪を拭い去るべきだと主張し、公共施設にイスラエルを攻撃した者の名前を付けることはやめるべきだと語った。

また、イスラエルとパレスチナの和平交渉では、米国はイスラエル側に立つと表明。国連が自らの意思をイスラエルに押し付けようとすれば抵抗すると述べた。米国とイランの核合意についても、イスラエルにとって好ましくないとして非難した。

家族の絆

舞台裏で発揮されている影響力にもかかわらず、クシュナー氏は選挙戦においては控えめな態度を保っている。昨年11月に行われたサウスカロライナ州での選挙集会では、他の家族が壇上に上がっても、トランプ氏に呼ばれるまで姿を見せなかった。

「ジャレッドはどこだ。ジャレッドはここに来なさい」とトランプ氏が叫び、チャコールのズボンに黒いダウンベストを着たクシュナー氏が、ポケットに手を入れ、足を引きずるようにして現れた。

「ジャレッドは、大いに成功したデベロッパーで、彼はいま政治を愛している」とトランプ氏は述べ、はしゃいで、からかうように続けた。「彼を見ろ。彼の着こなしを見たか」

 

(転載終わり)

AIPAC(ウィキ参照)というイスラエルのロビー団体があるそうでトランプ氏の父親もこれに属していたようです。なのでイスラエルと反目しては大変なことになるという家族の配慮でしょうね、素晴らしい家族ですね、本当に。。単にお金持ちというだけではないブレーンでもある家族の存在は頼もしいですね。奥さんも確かユダヤ教徒だそうです。そのあたりもアピールすべきかもしれません。ユダヤ人は敵ではないのですから。アメリカと組んでしまったイスラエル親米派が問題を作っているに過ぎません。ユダヤ人、パレスチナ人を敵に回してはいけませんね。