出展:http://www.nikkeibp.co.jp/news/eco08q3/585142/


■神奈川県による大胆なEV施策

もし、市価300万円で売られている電気自動車(EV)を、半額の150万円ほどで購入できるとしたら?


これは、神奈川県が打ち出している「かながわ電気自動車普及推進方策」の目玉「EVイニシアティブかながわ」で取り上げたEV導入優遇策の一例。軽乗用車ベースのEVの想定価格が約300万円であるのに対し、国からの補助は約100万円と見込まれている。そこへ、さらに県が50万円程度の補助を行うというわけだ。そのほか、自動車取得税や自動車税も90%を減額し、購入時に約3万円の負担を軽減できる。ガソリンに代わって電気で走るEVは燃料代も安いことから、一般に100万円程度の軽自動車の価格と比べたEV購入時の費用増加分は、約5年で回収できる計算となる。県は、このほかにも、県内のインターチェンジを起終点にしてETC(自動料金収受システム)を使用する場合に限り、高速道路料金の50%のキャッシュバックが受けられることや、県直営あるいは所管の有料駐車場の一部で50%程度の料金割引を受けることができるなど、EV利用者に手厚い優遇策を用意する考え。これらの優遇策は、2009年度から実施予定だ。


神奈川県は今年3月、「2014年度までに、県内で3000台のEVの普及をめざす」との目標を掲げ、「かながわ電気自動車普及推進方策」を打ち出した。EVは走行時の二酸化炭素(CO2)排出量がゼロ。発電する際の排出量を考慮しても、ガソリン車の4分の1、ハイブリッド車の2分の1以下となる。2006年における日本の部門別温室効果ガス(GHG)排出量をみると、運輸部門は19.9%。「地球温暖化防止や石油依存度の低減に取り組むうえで、“究極のエコカー”であるEVの普及は切り札の一つ」と、神奈川県環境農政部の杉江嘉美電気自動車担当課長は話す。


実は、この「EV普及推進方策」は、松沢成文・神奈川県知事の肝いりの政策だ。県では、今年度中に「地球温暖化対策推進条例」の制定をめざしているが、それとは別に、今年1月、条例の制定を待つことなく、低炭素社会に向けた取り組みを積極的に発信するための「クールルネッサンス宣言」を知事自らが発表した。宣言では、「太陽光発電普及拡大プロジェクト」や「神奈川県独自の炭素税等プロジェクト」など、11のリーディング・プロジェクトを掲げた。そのなかでも、EV普及推進方策は、「県の取り組みを全国に発信することにより、CO2の大幅削減など自動車社会の大変革を促す」(松沢知事)と、率先して日本の交通のあり方を変革する意気込みを示すメニューとなっている。