<食料自給率>09年度は40% 1ポイント低下
山田正彦農相は10日の閣議後会見で、09年度の食料自給率(カロリーベース)が40%となり、08年度から1ポイント低下したと発表した。3年ぶりの低下で、自給率40%という水準は07年度以来となる。輸入小麦の値下がりなどを背景に、消費がコメから小麦にシフトしたうえ、国産小麦が不作だったことも影響し、自給率低下につながった。政府は今年3月に閣議決定した「食料・農業・農村基本計画」で食料自給率を20年度までに50%に上げる目標を掲げたが、達成が一歩遠のいた形。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100810-00000024-mai-bus_all
食料自給率 1ポイント減 底上げ要因消え「低落」再び
農林水産省が10日発表した09年度の食料自給率(カロリーベース)が前年度より1ポイント低下して40%となったのは、国際的な穀物価格高騰などの底上げ要因がなくなったためだ。国民のコメ離れなどを背景とする自給率の長期低落傾向が再び顕在化したことで、「20年度までに50%」を目指す政府は戦略の見直しを迫られている。~政府は3月に閣議決定した食料・農業・農村基本計画で、それまで「15年度までに45%」としていた自給率目標を「20年度までに50%」に引き上げた。従来通り米粉や飼料米、小麦、大豆の生産振興などを掲げているが、現実には農家の高齢化で耕作放棄地が拡大するなど生産基盤の弱体化が進んでいる。
また、民主党が衆院選マニフェスト(政権公約)で推進を掲げた自由貿易協定(FTA)などの交渉でも、外国産品の輸入拡大につながる農産物の関税引き下げが焦点となるが、自給率向上策との整合性は不明確。農水省は「農業や漁業の戸別所得補償制度で基盤は強化される」とするものの、財政上の制約が厳しさを増す中、その効果を疑問視する声もある。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100810-00000024-maip-bus_all
やはりといいますか、自給率が下がりました。
大きいのは、小麦の生産が20万トン減ったことなどがあるでしょう。
それに加え、去年までの価格高騰がコメに有利に働いたけれども、それが単に戻ってきているということです。
去年は「自給率が上がった」としきりに宣伝していましたが、小麦価格が下がれば元の木阿弥となるのは当たり前です。農林水産省はそこらへん予想していなかったんでしょうか。
農林水産省が「自給率向上」を政策に組み込んで結構経ちます。
最初からわかっていることですが、農林水産省は「自給率」という数字を操作することができないのです。
品目の定義などを変更して数字を変えることは可能かもしれませんが、実際問題、ここ十数年農水省の方針で自給率を上げた政策は全くありません。
つまり、農水省が「自給率向上の為」として予算を組んだことによって「お金をどぶにすてた」ことになります。
いくらCMを流しても、「米粉ブーム」がテレビで特集されても、コメの需要は落ち込む一方です。
それと同時に、自給率について「上げるべきか」という議論になること自体がもうすでに意味がないことなんです。
安全保障や、地産地消などを挙げて「自給率を上げるべきだ」といっても、一市民に関与する方法は無いです。
それに地産野菜などは元々の流通量が少なく、よって自給率にはほとんど反映されません。
コメと違ってカロリーが少ないのでカロリー自給率に寄与する率が少ないのです。
では、生産額ベース自給率はどうかというと・・・
なんと、5%アップ!
これ、ものすごい数字ですよ。なんでニュースに一切出てこないのだろうか。
でもこれ、前の二年間食料価格高騰で輸入飼料が高くなってたことに原因があるみたいですね。
カロリーベース、生産額ベース共に4年前の状況に戻ったと考えるのが正しいみたいです。
もう一つ、気になったニュースが・・・
備蓄米:飼料用に売却へ 農水省、主食用から方針転換
農林水産省は9日、不作などに備えて政府がコメを保管する備蓄制度について、一定期間保有した後のコメを主食用に売却する現行方式から、備蓄米を家畜の飼料など非主食用にして処分する新方式に転換する方針を固めた。同省は「米価や需給に影響を及ぼさない備蓄運用にする」としているが、「主食用米の価格維持が狙い」との見方も出ている。~新方式の備蓄制度の導入は昨年の衆院選で民主党が掲げた公約の一つ。農水省が検討中の案では、政府が毎年20万トンずつコメを買い、5年間保管した後で飼料用などに売る。売却も20万トンずつとし、現行制度と同じ100万トンの在庫を維持。年間で約380億円の売買差損と約140億円の管理経費がかかると試算している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100810-00000006-maiall-soci
これはいただけません。
特になんのメリットも無く、520億円もの負担を毎年させられるのです。
農林水産省は予算の拡大しかしようとしていないように思えます。
朝日でもこのことについて「消費者から見れば、コメの値下がりの恩恵を受けられず、事実上のコメの価格維持のため、国民負担を強いられる形になる。~背景には、消費者のコメ離れによる価格下落がある。~その一方、政府の備蓄と農協などの民間在庫を合わせた在庫量は6月末現在で316万トンと、7年ぶりに300万トンを突破。国内で1年間に消費される量の4割にあたるコメがだぶついているのが現状だ」と書いています。
実際の流通について表面的に(実際にどうかは当事者でもない私にはわからないので)見てみると、
食料需給表では、21年度は約880万トン程度が消費量です。
この発表の主眼は「主食用から飼料米へ」の転換ということですから、21年度の飼料用米の消費量を見てみると、概算で2万4千トン・・。
水田利活用自給力向上事業というのが新しく始まって、生産が拡大している飼料用米。
「30~40万トン生産が拡大する 」という見通しもあるようです。
それに加えて、毎年20万トンを放出することになります。
そのため60万トンと考えると、実に25倍の流通量になります。
はたしてそれだけの飼料用米を買ってくれる畜産業者はいるのでしょうか。
検索したら、こんなの出てきました。
米粉・飼料用米をめぐる動向 - 農中総研 調査と情報 2010年1月号
「筆者がヒアリングしたある飼料米生産者は、「水田を水田として利用でき、少ない投下労働量で生産できる飼料米は転作の栽培作目として適している」と評価しつつも、「政府などからの助成金が現在の水準にあってこそ飼料用米を作付けできる」と、飼料用米生産が助成金頼みであると話した。その飼料米を配合した濃厚飼料を給餌している養豚業者は「トウモロコシの価格と同じ価格で飼料用米を利用できるなら、飼料用米の利用を増やしたい。しかし、トウモロコシの価格が高騰したときですら、飼料用米の価格の方が高かった」と、飼料用米の価格の高さが利用拡大のネックとなっていることを指摘した。また、ある米粉用米生産者は、「主食用米の価格が年々低下するなかで、8万円/10aの助成を受けられる米粉用米は転作作物として魅力である」と評価しつつも、「米粉用米の需要量が拡大せず、生産量だけが増えると米粉用米の価格が下落し、生産調整の轍を再び踏むことになるのではないか」と、不安を語った。」
前回も書きましたが 、一時的かもしれない補助金のために輸入飼料から切り替える畜産家はいないと
米価維持と自給率向上は逆のベクトルだというのが私にはしっくりくるのですがどうでしょうか。
追記
新聞には出てましたが、次の日の朝のニュースには全く取り上げられていませんね。
それだけ関心度が低くなったということでしょうか。
それとも前の「踊らされ感」を各社が覚えているということでしょうか。
どちらにせよ国民の関心事とは言えなくなった印象を受けますね。