さて、農業関係では私は「減反をやめ、専業農家を優遇するべき」というほうに魅力を感じています。
もっと作れるのに作らないで、消費者が逆進的に(所得の少ない人のほうが多い負担率になる)生活保護をさせている格好になっているのは納得がいかないからです。
関税撤廃云々にかかわらず、国の予算から出すようにするべきだと思っています。

で、最初に書いた「戸別所得補償で、価格下落は補填されるのだから農業で反対は間違い」というのは鈴木氏の本で真っ向否定されていました。
それは財源の問題です。
最高年間4兆円もの予算が出せるのか、が焦点としています。

確かに財源の問題はありますね。

そこで焦点となるのはこの試算が正しいのかどうか、です。
鈴木氏は一俵3000円が正しいとしていましたが、どうも私には納得できないところがあります。

・「今の輸入価格は上がっている。そんなに支払うことはない」というのは危険。現在は今の日本の輸入量に合わせて、輸出国側が価格をつり上げている。
・貿易量の少ない農産物市場では、日本の輸入増加によって価格が上昇しやすく、消費者の利益が減って関税の損失額が大きくなる。

この二つは矛盾していないのか?ということです。
実際に解禁すれば外国産品が安くて支払い額は増大、最大4兆円。
日本の輸入が増加したら価格は上がって補填するべき価格差は減る。
どっちなんでしょうか。

もしかして最初に挙げた、果樹への転換でコメが作られなくなることを前提にしているんでしょうか。
それでも納得できないです。


まず、急に関税がゼロになった場合には、たしかに最初の「価格差ショック」で、財政負担が増して農業のピンチになるでしょう。
「協定発効から十年程度かけて段階的に関税を引き下げる」ことを前提にした場合(長期段階引き下げは認められているようです)これは通じません。
低需要を前提にした海外産品の高価格は、段階的に価格が下がることになるでしょう。
しかしそれとともに関税の引き下げに伴って輸入量が増加した場合は、おそらく段階的に増えるようになる。
結局需給のバランスによって価格が決定されるようになります。

でも試しにアマゾンで検索してみると、日本のコメと同等と言える短粒プレミアム米は一キロ300円から400円の間くらいなんですよ。一俵60キロだと二万円以上。一俵3000円なんてあるはずがない。
まさかとは思うんですが、専門の農業学者の人が日本人はほとんど食べないインディカ米の値段を基準に話してるんじゃないでしょうね?なにか見落としがあるのか?生産者受取価格って表記があるけど、いくらなんでもそこまで生産者が少ない額しか受け取ってないことはないはず。

もしインディカ米を相手にするんだったらなんにも心配ありません。日本はいくら安くてもインディカ米の輸入を増やすことはあり得ません。93年の不作の教訓がありますからね。

あと反対派も賛成派もなぜ中国のコメ価格を参考にしているのでしょうか。
鈴木氏も書いている通り、「悪い仲間作り」である自由貿易協定は、他国をのけ者にする効果をもちます。
TPPが結ばれれば政府の指示でない限り高い中国産米をアメリカ産米と比べて買う事業者などほとんどいなくなるでしょう。
つまり輸入先がアメリカ、オーストラリアだけになって、中国産米が輸入されなくなるはずです。
「FTAAPなどありえない」と言っているのだから、同じ関税率で中国から輸入する前提はおかしいし。


それはおいといて、言うとおりに価格差が発生して財源の負担を考えなくてはならなくなったときには、やはり消費税として徴収されることが妥当でしょう。
山下氏の主張では1.6%分。かなりの痛手になります。
どうせ上げるのなら食料品を無税にして付加価値税にしたほうが私のような無収入の人間にとっては適当なのですが。
実際に値段が下がったとしても国民的理解は得られないでしょうね。
やれやれ八方ふさがり。